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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/【ザ・ホーリイ・ブラッド】

こんばんは、望月もなかです。
AoMシーズン3本編で登場したサラリマンニンジャのサガサマ・ミネさんが好きなんですよ。

S3第3話【デス・フロム・アバブ・UCA ♯6】より

名刺交換かわいい


で。
AoM本編最新話に追いついて、PLUSに加入し、ようやくサガサマさん初登場エピソードが存在することに気づきました。ならば読まねばなるまいな!

……今日まで読まずに来たのは複雑な感情経路が働いたためです。私はあくまで彼の人生の背景になりたい。例えるならチカハ社支店近くにある眼鏡チェーンの店員になりたいんですよ。たまたまサガサマさんの来店時間にシフトを入れていることが多く、3回に2回ほど担当することになり何度かサガサマさんの眼鏡のフィッティングや洗浄をしながら世間話をする顔見知り未満くらいの距離感が理想です。いわゆるあれです。夢モブになりたいなっていう。モブの分際であんまりサガサマさんの私生活に積極的に首を突っ込むのもよくないですよね(?)。何を言っているのかわからねーと思うが以下略。

でも、やっぱりサガサマさんのことがもっと知りたくなったんですよね!欲望には勝てなかった!!

というわけでトリロジー第一部を読み終え、【マスター・オブ・パペッツ】連載も終わったキリのいいタイミングだったこともあり、ついに噂のエピソードに手を出してしまいました!

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。
(各セクション版の方が、冒頭に人物&状況一覧が冒頭に表示されるので、読みやすいかも?と思いました)

AoM-PLUS/【ザ・ホーリイ・ブラッド】

電子戦争後――アメリカ合衆国は金持ちの築いた「シティ」と追い出された難民の「荒野」に別れ、見る影もなく荒廃していた。元カリフォルニア州南西部から内陸へ進むと、荒野の中に一軒の酒場。看板には【ホーリイ・ブラッド】。大西部趣味の調度品と動作停止した美人オイランドロイド、足の悪い店主が住まう酒場に、次々と胡乱なニンジャが転がり込んでくる。

 ♯1

忍殺AoM世界におけるアメリカの現状が興味深いです。ふむふむ……マッポ―の世……

 その結果、下町の街灯は深夜に消灯し、ひび割れたアスファルトの整備は後回しになり、図書館からは書物が失われ、学校は閉鎖し、警察の規模が縮小し、下水に白いワニが溢れ、毎日のように保険金目当ての火災が起こるようになった。

白いワニって何!?

調べたら、アメリカじゃ有名な都市伝説らしいです。フロリダから引き取ってペット化するのが流行ったけど飼いきれず捨てたワニが、下水道で生き延びている……みたいな。へー。知りませんでした。

海外の都市伝説や流行替え歌みたいな文化って、こういう引っ掛かりでもないと意外と知る機会ないですよね。アメリカ国内ならともかく、百年も経てば翻訳先の外国ではもはや何のことだかわからない表現になってしまいそうなローカル感があります。こういうの面白いなあ。

(そういう意味ではアニメ『裏世界ピクニック』ってけっこう貴重な映像記録になってるのでは?と感じました)

ニーズヘグさんが大怪我している! 

ニーズヘグさんに続いて、アウトロー三人組、危険なカップル、サラリマン(サガサマさん!!!!)、アズールさん(!!)が次々とお宿にIN。凄い顔ぶれですね。

これは……時系列的にはおそらくシーズン3の前なんですよね。アズールさんがこのあと依頼を受けてネザーキョウ入りするのか……登場タイミングなど考えると、サガサマさんと綺麗にすれ違う形でニンジャスレイヤー一行と合流したのもなんだか面白いです。


 ♯2

ニンジャ店主・インダルジの酒場に流れ着いたのはやはりニンジャばかりが8名。この地に明るくないニーズヘグは、<消失者>の説明を求める。ヒトでありながら文明を失い、言葉も知らず自我もなく、獣と同様の生き方を余儀なくされた者たち……<消失者>とは文明を捨てた荒野の、なれの果てであった。

AoM本編(シーズン3)では名前だけ出ていて、実際に登場することはほぼなかった<消失者>。ここで詳しく説明されていたんですね!なるほど!ネザーキョウだけの問題じゃなくて、北アメリカ大陸全土にわたる存在だったのですね。

そして、<消失者>問題を踏まえてからネザーキョウという国の在り方を振り返ってみると、ネザーキョウが大陸北部に現れたことは必然だったのかもしれない、という気がしてきました。弱肉強食のスローガンに惹かれた人々が大勢いた理由も。

強烈に弱肉強食の論理に支配された土地でありながらも、アメリカ大陸の現実は「強者」≒「お金持ち」になっているわけですね。いわば「捩じれ」があります。いくら物理的に強くとも、カネがなければ人権がない。シティの内側には入れない。強ければ生き弱ければ死ぬ世界なのに、なぜ?

そのような自己矛盾をはらんだ地に生きる一部の人々にとって、タイクーンが掲げた「カラテの強さこそが正義であり、地位と名誉はカラテの強さにのみ付随するのだ!」という理念は、なんと眩い光だったことでしょう。

しかしまた、タイクーンの理念も「より強いカラテの持ち主」(赤黒の死神)によってじきに打ち砕かれてしまうのであります。うーむ。諸行無常。

サガサマさん、マナウスでビジネスされていたんですか!? じゃあひょっとしてサワタリ・カンパニーの面々とすれ違ったりもしていたんでしょうか。夢が広がる!

「西のことを話してくれんか。西は俺の魂の帰る場所だ。この地は全ての終わりだ。だが……終わりの地の、なお西に、なお西に……そこに、きっと俺の魂の帰るべき場所があるのだ……」

『指輪物語』もそうでしたが、「西」ってなにかこう、古くから「死」と「終わり」のイメージが共通してある感じがしますね。やっぱり太陽が沈む方角だからなのかな……。


 ♯3

酒場内での争いを収めたのは、アズールによる無慈悲な弾丸であった。一触即発の空気を打ち破ったのは外部の脅威。配電盤の故障で灯りが消え、【ホーリイ・ブラッド】は無数の青い光に取り囲まれていた!

サガサマさんがよく「アイエエエ」してくれるのカワイイ……ニンジャは普通「アイエエエ」しないので嘘くさくてカワイイ……でもサガサマさんの場合ある程度はホントにビビってそうなところも好き……ウフフ……ウフフフフ……

俺はニンジャだ。この店に外の連中が入って来られないのは何故だかわかるか。俺がジツで守っておるからだ……!

あっ!?
ひょっとして宿屋で最初に「名乗らせた」の、インダルジさんのジツの構成要素だったりします? 名乗りあった相手のみを、己の境界内に招き入れ構成要素とする、的な。西遊記の瓢箪みたいな。だったら面白いですね。

 ♯4

配電盤を修理したインダルジ組は酒場内へ戻ろうとするが、なんと閂が掛けられていた!…… 屋内組5名は、締め出し派と反対派に分かれて争い合っていたのである。だがその時、飾り物でしかなかった人形が、不意に動き出した……!

人形怖いよ~。

おっかなびっくりの手つきで治療行為を始めるサガサマを横目で見ながら、

治療行為に勤しむサガサマさんちょっと興奮する(こら)。


 ♯5

締め出されたインダルジ・スカルホード・アズールは井戸から隠し通路を通っての侵入を試みる。

壁には、写真を引き延ばしたと思しきパネルが、額縁に入れられて飾られている。山と、古の白い文字看板。HOLLYWOOD。

あ、あああ、あああああああああああ!

ハリウッド~~~~!!? 白い看板! なるほど! そうかそういうことでしたか~~!! ひええええそう来ましたか、確かに位置的にはそれしかなかったですね! 全然気づきませんでした。こりゃ面白い!!

「何もいねえぞ」フランク・シナトラの「あなたはしっかり私のもの」が流れる中、アイアガートは目をすがめ、訝しんだ。

BGMが本文中に出てくるたびにバックグラウンド再生しながら読んでました。楽しい。

サラリマン・スーツが裂け、テッコ義手が露出! UNIXライトが腕の接合部を駆け巡った。彼はチカハ社のサラリマン・ニンジャであり、サイバネニンジャなのだ!

ハァハァ、だんだん本気を出してくるサガサマさん……! カッコいい! 素敵! 

 ♯6

死んだはずのニンジャが<青い火>の仲間に加わり襲撃者となる。壊れたアンドロイドが動き出す。壊れた調度品が元に戻っていく。「ホーリィ・ブラッドの完全性」とは? 夜は本当に明けるのか? 客人に不信と焦りが滲み始める。

ブラッドステインさんのジツ、クールでカッコイイ!!

サガサマは後ろにたたらを踏み、漏れ出るスパークに喘いだ。

は?

突然えっちすぎません? どうしたんですか??? 課金ポイントですか??

「いや、戦術としては一理ある。射手の場所がわかるならば。だが、独りで行くのか? アイアガート=サン」
「ああ、ならば私もご一緒します」
 サガサマ・ミネが立ち上がった。

ぞわっときました。え、空気変わった? 殺る気だったりします?

って思ったらほんとにそうだったので超興奮しました! ヤッター!!

「ええと、既に殺しております。」

わ、わ、私の正気が殺されてしまいますが……ひえええ惚れてしまういやもう惚れてるので惚れ直してしまう……これ以上夢中にさせないでくれ!!!コワイ!! 好き!!!!!!!!!


 ♯7

サガサマ・ミネはならず者三人組を始末するために訪れていた。アイアガードは誘い出されて爆発四散する。

ニーズヘグさん本当に具合悪そうで心配ですけどどうしたんでしょうね……と思ったら急に完全復活してたでござる。え、いったい何が。

「青い火」の正体が正直よくわかってないんですけど、死ぬと青い火に取り込まれる=「青い火」はオヒガンに類する力、という理解で良いでしょうか。

でもって、ヘラルドくんがエメツなしには現世に留まれなかったように、キョート城の皆さんは、補助アイテムなしの状態で現世にいること自体が苦しい。けれどたまたま「死者を生かし続ける」力を持った荒野に不時着したニーズヘグさんは、青い火を宿したおかげで現世に留まれるようになった。

この理解で合ってる? キョート城の皆さんのことを断片的なAoM登場のみでしか知らないのでちょっと自信ないですが……。

でもおそらくこのエピソードより後、シーズン3時系列の【ヘラルド・オブ・メイヘム】で「青い瞳」「現世に留まる力」というキーワードが出ていたので、大きく外れてはいなさそうです。

不敵に言い放ち、青く燃える目で見渡したのは、ヘラルドがよく知るニンジャであった。グランドマスター、ザイバツ右将軍ニーズヘグ……!
「カカカ……ちと下手を打っての。現世に留まる力を得たが、城に戻れん身体になってしもうたわ(略)」

そういうことだったんですね。納得。
前半で具合悪そうにしていたのは、補助アイテムを無理やり無効化させて「抑えて」いたからっぽいですね。


誘惑はおやめください。カイシャは裏切れない。波乱の人生はごめんです。さあ、苦しませはしません。そういう趣味はありませんから」

おやめください!!おやめください!!!これ以上私を誘惑するのはおやめください!!!! ア゛ーーーーーーーーーーーッ!!!!!

 ♯8

サガサマさんがえっちすぎて記憶が飛んでしまったのであらすじを忘れました。

舌打ちするサガサマさんありがとうございます

人の大切なものを壊す行為が「酷いこと」だとわかっていて、やらなくてはならないのでやるけれど、それでも泣いてしまうアズールさん愛おしすぎる……。

ところでこの世界観、というか物語の構成……最近すごく同じような謎解き脱出の構図を見たことがあるような……ともやもや考えていたんですが、ようやく気付きました。

SEECの長編脱出アドベンチャーノベルっぽいんだ!

SEECの脱出ノベルゲームには「精神世界」「非現実世界」に囚われて複数名で協力しながら世界の謎を解いて【探索パート】【尋問(調査)】【謎解きパート】を繰り返しながらストーリーを進めて脱出する…と言いう筋書きのゲームが結構あって……すごく面白くて大好きなんです!

このゲームアプリと、世界の構図がけっこう似てるなって思いました。謎を解かなければ、囚われたループ世界から脱出できない。

「アリスの精神裁判」(Android / iOs)とか数時間でサクッとクリアできるのでおすすめです。なんとなく言わんとしてることを理解していただけるかと……。

長編脱出アドベンチャーノベル【ホーリイ・ブラッド】、絶対面白いのでプレイしてみたい!!

 ♯9

アズールは泣きながら破壊した。大西部時代の神話を物語る品々を。青い火に包まれた女の亡骸を。燃え崩れるホーリイ・ブラッド……明けない夜からの脱出は、かなうのか。

「お前の身体が欲している筈だぜ。全てを終わらせる事をな。楽になりてェだろう……」

はぁぁ!?えっちすぎません?!!!!!

裁判ですよ! 裁判!!!!!!

カンカンカンカン(木槌)!!!!! オラッ!! 訴訟大国アメリカの底力見せてみろや! 受けて立ってやるぜ!!!

サガサマは膝をついた。もがくほどに拘束が強まる!

年齢制限描写じゃん!!!!!!!!!

わたしをどうする気なんですか!? 最終セクションだからって飛ばし過ぎじゃありませんか!? 年齢制限かけなくていいんですか!? 何がえっちってサガサマさんは特に脱いでるわけじゃなくてまだスーツ姿だってことです!! ありがとうございます!! ここに完全性がある!!!

胸に手を入れて主電源をとり出すシーンこれもう実質セッなんでもないです。なんで情けないサラリマンとして登場した彼がラストセクションでこんなサービスシーンを乱れ打ちしてくるのか私にはわかりません。これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。私はサガサマさんが自らの心臓を暴いたシーンを反芻して永遠に興奮しているので……あとはよろしくお願いします。

いやほんとに登場時の情けないサラリマン全開のサガサマさんを読んでいた時は、わーいサガサマさんだ~でも今以上に惚れ直すことはなさそうだから安心してサガサマさんムーブを堪能しようって暢気に構えていた節があったんですが終盤に至って延々とえっちなサラリマンになるとは思わなくてびっくりしてしまいましたね、胸部に電源接続とか私をどうするつもりなんですか? ハァ……。

「(略)ワシの存在はオヒガンに近い。ゆえに、自己を御する手がかりを得た。狭間の者として、この火を迎え入れ、己のものとした」

あ、つまり(AoMシーズン2で)ゾーイちゃんの作った「裂け目」を通して現世に戻れたホローポイントさん現象に近いことが起こったのかな。なるほど。

スレイトでは今も荒野のガンマンめいて己の生きざまを貫いているらしいアズールさん。今回も素敵でした。

個人的にはまたアナイアレイターさんとのアダルティなやり取りが読んでみたいです。駆け引き感と絆のブレンドが……こう……ブランデーみたいな大人感でたいへん素敵だったので……。

サガサマさんは無事生還したのちにアメリカ大陸西岸を北上、バンクーバーに至った……ということですよね。それでネザーキョウの空襲に巻き込まれたってわけですか。ワオ。不憫。

あと不満を持ちながらもカイシャの庇護と引換に忠義を尽くすサラリマンのサガサマさんが国境で出会って心を揺さぶられた少年が、庇護も何もない国で育ったストリートの少年だっていう構図に改めて興奮を覚えました。いつかネオサイタマで再会してほしい気持ちが強まりました。

こんなところでしょうか!
PLUSならではの雰囲気あるエピソードで、シーズン3の空白や謎のピースがパチパチ埋まる感じもあって、なかなかに面白かったです! 楽しいね!

ではでは、また何かしらの感想でお会いいたしましょう。

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