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死生観とか信仰とかに浮き彫りになる、そこで暮らしてきたひとたちの本来的で本質的な何かに触れる旅@沖縄

仕事が少し落ち着いたタイミングで航空券が劇的に安かったのでほとんど衝動的に沖縄に行ってきました。一泊二日。沖縄へ行くのは2016年4月以来です。ええ、担当クラブがJ3に降格しましてね…当時J3だったFC琉球とのアウェイ戦の取材のために。

昔から気ままな旅では北を目指すことが多く、沖縄へ降り立ったのはそのときが初。仕事なのであまり時間もなく、レンタカーで本島の海岸線をぐるりとドライブするのが関の山でしたが、あるものとの出会いによって、わたしの心は沖縄に釘付けになりました。また現地であれを見たい、という思いが今回の沖縄行きの最大のモチベーションだったことは間違いありません。

それは、亀甲墓。えー墓かよ!と引くことなかれ。すごいんだから。

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撮影できなかったのでこの写真はフリー素材なのですが、車で通りすがりに初めて見たときは思わず「え、何これ古墳!?」と凝視したのでした。なんせデカい。コンクリート製の巨大な曲面が長年の風雨に晒されて古びながら森の斜面にどどーんと構える迫力には圧倒されるばかり。

現地の言葉では「かーみなくーばか」、亀の甲の墓、その響きも素敵。でもこの亀の甲羅に似ている屋根は、実は子宮を象ったもの。子宮から出てきて生まれ、死んだらまた子宮に帰るという考え方は、至極まっとうですね。

亀甲墓のほかに破風墓とかいろいろ沖縄特有のかたちのお墓があって、いずれも大変に立派で大きいのでお墓屋さんもたくさんあります。なんなら建築士の仕事らしい。もう、ほぼ家ですね。海沿いには潮風対策でコンクリート製の家屋も並び、割と本気で家と墓を見間違えたりもします。最近は現代風の墓地公園も増えつつあって、具志堅用高さんがTVCMしてた。この「具志堅さんの使い方わかってる感」というかツッコミどころ満載感というか、これがお墓のCMですよ。上等っちゅね〜! なんくるないさー!

先史時代から風葬が主流だったという沖縄は、その他のことに関しても、明らかにわれわれの住む本土とは異なる文化・風習を紡いできました。琉球國で独自の王朝文化を育み、その滅びも経験して、たどってきた歴史も言葉も衣食住もいろいろ違う。さらに米軍基地が出来てからは、インターナショナルスクールやアメリカンなお店も増えた。建物の多くは潮風に耐え得るようにコンクリート製。その何もかもが異文化で新鮮です。

3年半ぶりに、今度はプライベートでやってきて、どうしても沖縄のルーツ的なところに少しでも触れたかった。特に地域色が表れるのは死生観ですから、お墓観光(?)は外せません。その元となる信仰についても。

そこで訪ねたのが、うるま市宮城島の「ぬちうなー(命の庭)」。最も多い種類のミネラル成分が含まれる塩としてギネスに登録されている「ぬちまーす(命の塩)」の製塩工場です。

なんでも「常温瞬間空中結晶製塩法」というやり方で、海水をそのまま結晶化するらしい。必殺技か。技名を叫びながら繰り出されそう。

この高台に立つ製塩工場の敷地内に、ごっついパワースポットがあります。それが「三天御座(みてぃんうざ)」。

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沖縄には天・地・海の3つの神様がいるそうで(陸・海・空の自衛隊ではない)、その3つの神様が集まってくるのが、まさにここ。人生の岐路に立ったときや覚悟を決めなくてはならないときにパワーをいただけると書いてありました。ガジュマルとソテツが絡まりあう鍾乳洞状態の窪みに向かって手を合わせ、ふと気配を感じて見上げると、木漏れ陽の中から龍が見下ろしてる…あまりにさりげなく置かれてたので本物かとびっくりした。

ここに来るために海の神・龍宮神がのぼってくるのが「龍神風道」です。

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樹木の生い茂った高い崖の向こうは海。正面に立つと、確かに海風が下から上ってくるのがわかります。心身を健康にしたりパワーをもらったりしたい人にオススメだと書いてありました。目を閉じて手を合わせたら右斜め上から金色の光が降り注いできた気がしたので驚いたけど、目を開けたら普通に右斜め頭上に太陽が。あなたでしたか…。

そして、絶景の「果報(かふう)バンタ」。よき知らせの岬、ですね。

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もうとにかく、理屈抜きで美しい。海の色、なんでこんななの。標高およそ120メートル。別にあらためて果報なんて届かなくても、風に吹かれて立つだけで、ただシンプルにしあわせになるよ。

独特の文化や風習はこういう風土が培ったものなのだなーと、あらためて認識する次第です。

翌日に訪れたのは恩納村の「万座毛」。

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名前の由来は「万人も座する草原」。琉球王朝の王様がこの絶景を讃えたときの言葉だそうで、先端部分のそこはかとないエレファント感が大きさをつのらせます。そしてとにかく波が青い。青い…。観光客もそこそこ多く、新たにレストハウス的な建物を建設中でした。

もちろんスピリチュアルなものばかり見て回ったわけではなく、今回は食事もちゃんと沖縄名物を堪能しましたよ。前回は仕事だったので以下略。

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ソーキそばと、ステーキ&オマール海老と、もずくの天ぷらにラフテー。最近はいつも都内で利用するホテルのそばに琉球料理屋さんがあったり、故郷で友人が琉球居酒屋を経営していたりするので割と身近なのですが、もずく天はどこで食べてもハッピーテンション。

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宿泊は、中心部から離れたコンドミニアムが絶対オススメ。前回もそうしたのですが、美浜あたりの海沿いの部屋を借りると安くてしかもオーシャンビュー。繁華街への往復も、お酒飲まないなら車でいいし、飲むなら運転代行か、ホテルによっては送迎もしてくれます。泡盛もいいけど早朝の海岸散歩も捨てがたいでしょ。

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美浜に泊まったらやっぱりアメリカンヴィレッジで買物するし。クリスマス前なのでイルミネーションもいつもより豪華でした。アメカジはあまり着ないけど、バンドTシャツとかスカジャンとか品揃え豊富で最高。

そして今回は、美ら海水族館にも行ってきました。いつもどこへ行っても観光らしい観光をしないわたしにしては上出来です。でも、行ってよかった。

動画とって編集してみたんですが、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの楽曲があまりにぴったりなほど本当に美しかった。水族館というのは生物たちが自然に近い環境で自然な感じに暮らしているのが展示されている施設なのですが、その神秘的な生命の感じと背中合わせに死だとか悠久だとかの感じが強く押し迫ってくるのは、スケールの大きさに圧倒されるからでしょうか。

そしてこのマンタの幼生(?)の標本から立ちのぼるボヘミアン・ラプソディー感。

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一泊二日のくせにあまりに盛りだくさんで、このまま帰りたくないと思うほど楽しかったのですが、やはりこんなバスと遭遇して現実に引き戻される。

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FC琉球のチームバス、シーズンオフは観光客を運ぶお仕事で忙しそうです。

そして沖縄から帰った翌日、南風原町出身の知念慶選手が川崎フロンターレから大分トリニータへ期限付き移籍加入のリリース。ナイスタイミングで仕事へのフェードインを促され、カムバック日常です。

つらつらと旅行記めいたものを書き綴ってみましたが、実は沖縄へと出発する前日に大きな仕事が入ってきまして、1月いっぱいまで地獄のスケジュールになることが決定いたしました。なのでこれは多分わたしにとって、この冬最後の休日となるでしょう…。

今回の体感を言葉にするのはまだ難しいのでいまは書きませんが、琉球王朝文化なども学んだ上で、いずれもう少し深く掘り下げてまとめてみたい。まずは死生観よりも目の前の締切。頑張ります。

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