エンタメ・スポーツ・ライフスタイルの資金調達ニュース(8月後半:ご近所フリマ/家具サブスク/フィンテック/クリエイタープラットフォーム/ファンタジースポーツ/デジタル宝くじ)

こんにちは!W venturesです。
今回は、私たちが注目しているエンタメ、スポーツ、ライフスタイルの分野を中心とした国内外の資金調達、M&A/IPOのニュースの第2弾です。それでは紹介していきます!

資金調達ニュース(8月後半)

こちらでは、8月後半の資金調達のニュースをピックアップしてお届けします!

ご近所フリマプリ「Karrot」がシリーズCで$162Mを調達

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*Source:https://www.daangn.com/

Daggeun Marketは韓国最大級のご近所マーケットプレイス&コミュニティアプリ「Karrot」を運営しているスタートアップである。
特徴としては、半径6km以内の売り手のみが表示されるP2P(ピアツーピア)のマーケットプレイスで、登録時には携帯番号・位置情報などが確認され、取引も殆ど全てが対面で完結するなど安全面に配慮している。
登録ユーザー数は2,100万人(韓国の全世帯数は約2,092万世帯)を超えていて、2018年のローンチ以降、一貫して前年比300%以上の急成長を遂げている。今回の資金調達で、評価額$2.7Bのユニコーンとなった
韓国に加えて、英国、米国、カナダ、日本の5か国(72のローカルコミュニティ)に進出していて、国内では、横浜市港北区のママのためのフリマアプリを運営している。地元の新鮮な農産物の配達から、清掃、教育、不動産仲介まで、地元コミュニティのあらゆるものにアクセスできる。

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*Source:https://www.gurutto-mama-yokohama.com/company/karrot/news/news-9270.html

今回の調達資金は更なるグローバル展開、事業多角化、研究開発、人工知能と機械学習技術への投資、および人材採用に使われる。また今年度中には、アプリ内で使うことができる決済サービスKarrot Payのローンチを予定している。

パーソナル家具サブスク「Pabio」がシリーズAで$1Mを調達

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Source:https://pabio.com/get-started/

「Pabio」とはインテリア・家具のレンタルサービスを行なっているスイスに拠点を置く会社で、Forbes under 30にも選出経験のあるシリアルアントレプレナー(スイスのデザイン会社Cleverclipを経営)が創業した。
このサービスでは、顧客が自身の部屋の間取り、写真などをアップロードすると、そのデータを基に3Dモデルを作成し、パーソナライズされたインテリア・家具のレイアウトが提案される。顧客がそのレイアウトを気に入った場合、そのままサブスクリプションで購入でき、Pabioが家具の配達から設置までの全てを行う。
また、利用中は破損や故障などに対する補修・修理のサービスも提供される。最終的に、その顧客が引っ越しする際は家具を引き取り、また新たな顧客のニーズにカスタマイズして割引価格で提供するなど、環境にも配慮したシェアリングエコノミーとなっている。

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起業の背景も特徴的で、スイスでは「安価で組み立て易いスウェーデン家具」の利便性から多くの住宅が画一的なレイアウトになってしまっているため、そのような環境がコロナ禍での巣ごもりで、多くの人々の精神的苦痛になっているのではないかと考え、Pabioのサービスイメージが生まれたという。
Pabioは2021年創業で、今回の$1MのシリーズAの調達では、Y Combinatorなどが出資した。また、スイス発のスタートアップにYCが出資するのは初めてである。

若者向けデビットカード・金融教育サービス「Akudo」がプレシードで調達

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「Akudo」は親が管理できる若者・子供向けのデビットカードを発行していて、合わせて金融リテラシーを学べる教育サービスも提供するインドのスタートアップである。2020年創業で、今夏にはY Combinator's Summer's 21 Demodayに選出されるなど、そのスピード感と期待感が伺える。
また、正式にサービスをローンチしてから9週間と短い期間で既に約6万人ものユーザーが登録し、1.2万枚以上のカードを発行している。(2021年8月下旬時点)
保護者が安心して子供に使せることができるデビットカードを提供することは、インドのキャッシュレス化を加速化するにつながる。加えて、このカードを子供が使っていくなかで、動画を見ながらゲーム感覚にお金の管理の仕方を学ぶことができる、という2つのアプローチポイントが評価されて、実際にY Combinatorなどからの資金調達と大量のユーザーの獲得に至っていると考えられる。

クリエイタープラットフォーム「Picsart」がシリーズCで$130Mを調達

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*Source:https://picsart.com/

「Picsart」は全世界で6億DLされ、1.3億人の月間アクティブユーザーを持つ世界最大級のクリエイティブプラットフォームである。
このプラットフォーム上では3,000以上の編集ツールによって、スマホで自由自在に簡単に画像や動画編集が行える。また、画像・動画の編集だけでなく、数多くのクリエイター達がコンテンツを共有するコミュニティーとしての側面もあり、誰でも簡単に他のクリエイターが共有したコンテンツの利用・再編集が可能である。
日本にも200万人以上の月間アクティブユーザーが存在しており、同社は2019年7月から社員2名で本格的に日本での活動を開始している
今回のシリーズCで、Sequoia、SVFなどの名だたるファンドから調達した資金は、AI駆動技術やプロシューマー向けツールの拡充、企業買収、ワールドクラスのチームの構築などに充てる予定である。また、企業価値が$1B(約1,000億円)に到達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしている。

M&A/IPOニュース(8月後半)

こちらでは、8月後半のM&A/IPOのニュースをピックアップしてお届けします!

インド最大級のファンタジースポーツ会社の「Dream Sports」がインドのモバイルゲーム開発企業の「Rolocule Games」を買収(金額非公表)

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*Source:https://dreamsports.group

買主である「Dream Sports」は、1億人以上のユーザーを誇るインド最大級のファンタジースポーツアプリ「Dream11」を運営する企業である。その他にも、スポーツストリーミングなどのプラットフォームの「Fancode」や、Dream11内決済の「Dreampay」を展開している。また、注力領域であるスポーツ、ゲーム、フィットネスなどに投資する「Dream Capital」を傘下に持っている。

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一方、「Rolocule Games」はiPhoneなどをコントローラとしてプレイすることのできるスポーツゲーム、アクションゲームなどを提供している。このiPhoneをそのままコントローラーとする技術は高く評価されていて、全豪オープンなどとタッグを組み、VRテニスゲームなども開発している。
今回の買収(金額は非公表)によって、Roloculeが有するVR Motion技術を、Dream Sportsのファンタジースポーツやストリーミングの事業への転用を狙っている。

米国の宝くじ業界のリーダー「Scientific Games」がカナダのインスタントウィンゲーム「Sideplay Entertainment」を買収(金額非公表)

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*Source:https://www.asgam.com/index.php/2021/08/24/scientific-games-acquires-digital-lottery-studio-sideplay/

買収を行なった「Scientific Games」は、宝くじ業界でグローバルリーダーの米国企業で、カジノ、宝くじ、ゲームまで、幅広く製品の開発、コンテンツの制作を行なっていて、Nasdaqにも上場している。
一方、「Sideplay Entertaiment」はインスタントウィンゲームを開発しているカナダ企業である。同社は、世界中の宝くじやギャンブルのオペレーター向けに270以上のインスタントウィンゲームを立ち上げ、通算約1億回以上のプレイを記録している。また、英国国営デジタル宝くじ、Loto-Québec、ペンシルベニア宝くじの主要サプライヤーとしても知られている。今回のScientific Gamesの宝くじ部門とも、以前から取引関係にあった。

*インスタントウィンゲームとは
その場で当選判定が出る簡易的な懸賞ゲームのこと。日本でも、商品のQRコードから応募後、抽選結果を出すなどのキャンペーン施策に使われている。

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今回の買収(金額は非公表)により、Scientific Gamesは、現在抱えている20以上の世界中のデジタル宝くじのゲームコンテンツの開発力を強化するとみられ、今後同社の中で成長が予想されるiLottry事業への注力を加速する狙いがある。

いかがだったでしょうか?

少し話は変わりますが、つい先日、世界的に著名なアクセラレータY Combinatorの2021年サマーバッチがデモデイをもって終わりました。
コロナ禍の影響でプログラムがオンラインに移行したことから、米国以外からも参加するスタートアップが増え、今期S21には47ヵ国から377社となり、前年比で約90%も増加(S20は198社)しています
今回の資金調達ニュースで取り上げたYC出身の2社もスイスとインドの企業だったり、米国以外の卒業生が増えてきていることを実感しています。
また、今回のM&Aニュースからは、エンターテインメント業界の世界的リーダーの米国企業がグローバル規模でケイパビリティを拡充し、事業の拡大を図っていることが特に印象的でした。

今後も、私たちが注目するエンタメ、スポーツ、ライフスタイルの分野を中心に、国内外の資金調達ニュースを定期的にお届けしていきます。

最後に改めて。私たちW venturesは、エンターテインメント・スポーツ・ライフスタイル分野を中心とした、シード/アーリー期のBtoC / BtoBtoC事業スタートアップ対象の独立系ベンチャーキャピタルです。

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