ゲームで稼ぐ?NFTスタートアップがライフスタイルを変える(資金調達ニュース 10月前半号)

こんにちは!

W venturesが注目するエンタメ、スポーツ、ライフスタイルの分野における、10月前半の国内外の資金調達、M&A/IPOのニュースです。

今回は、NFTゲームのスタートアップの資金調達を取り上げています。Play to Earn(ゲームで稼ぐ)という概念をご存知でしょうか?
NFTゲームではプレイを通じて暗号資産を稼ぐことができる仕組みがあり、もうすでに新興国ではその稼ぎで生活している方もいるようです。
世界的なプロゲーマーとなれば年収が数億円に達しますが、プロではない一般の方がゲームをプレイすることで生計を立てるような時代が近いのかもしれません。
このようなNFT関連も、現在募集中のインキュベーションプログラム『SCRAMBLE』のテーマのひとつです。新たなエンタメに挑戦するクリエイター、起業家の方々と、ぜひご一緒したいと考えています!

それでは、紹介していきましょう。


資金調達ニュース(10月前半)

NFTゲーム「Sky Mavis」がシリーズBで$152Mを調達

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*Source:https://www.skymavis.com/

「Sky Mavis」はベトナムのスタートアップで、NFTゲームのAxie Infinityを運営している。Axieと呼ばれる多種多様なキャラクターを集めて、育てるゲームで、育てたキャラクターを売却することもできる。直近では約180万人のユーザーがいて、1日当たりの平均取引量は$33M、2018年のリリース以降の総取引量は$1.8Bを記録する、最も人気の高いNFTゲームである。
フィリピンやインドネシアなど新興国では、Axie Infinityをプレイすることで生計を立てているプレイヤーが多数いて、Play-to-Earn(ゲームで稼ぐ)と呼ばれる新たな労働形態にまでなっている。また、スカラーシップ *という特徴的な仕組みもある。

*スカラーシップとは?
ゲームを始めるには、初期投資(Axie3匹で$1,500程度)が必要となる。ギルドと呼ばれる組織が、プレイヤーに無料でAxieを貸し出し、ゲームプレイを通じて得た報酬の一部を利子として徴収する仕組みである。各プレイヤーは毎月数$から数十$程度を稼いでいる。

a16z、Accelなどから今回調達した資金を用いて、グローバルチームの組成やブロックチェーンゲームの開発者をサポートするプラットフォームの構築を予定している。

NFT×メタバース「Ertha」がシードラウンドで$2Mを調達

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*Source:https://ertha.io/

「Ertha」もまた、NFTゲームを提供するスタートアップである。ゲームは特徴的で、実際の土地と同様に、メタバース上の仮想の土地の区画を購入、販売、賃貸することで、Erthaと呼ばれるトークンを報酬で得ることができる。即ち、ゲームをすることで暗号資産を稼ぐことができる。
Erthaでは、NFTベースの土地区画に分割されていて、プレイヤーは所有する区画内で、消費税や雇用税などの税金を他プレイヤーから徴収可能で、このメタバース上で生計を立てることもできる。
今回調達した資金を用いて、戦争や選挙、投票など現実世界のメカニズムを導入し、メタバース上をよりリアルにしていくことを検討している。

インドの暗号資産取引所「CoinSwitch Kuber」がシリーズCで$260Mを調達

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*Source:https://coinswitch.co/

「CoinSwitch Kuber」はインドのスタートアップで、100種類以上の暗号資産を小額から売買できる取引所を運営している。ユーザー数は急成長していて、2021年9月時点で1,000万人を超えている。
インド全体の暗号資産への投資は若者が牽引していて、直近1年間で約200倍の$40Bまで増加している。(大手取引所WazirXのユーザーの平均年齢は35歳以下で、その中でも22~25歳の若年層が最も活発に取引している。同様に、CoinSwitchのユーザーの平均年齢も25歳以下である。)
今回のラウンドではa16z、Coinbase Venturesが参加し、Sequoia Capital、Tiger Globalなどの既存投資家も追加投資している。企業評価額は$1.9Bに到達し、インドで2番目の暗号資産関連のユニコーンとなった。今回調達した資金を使って、暗号資産のレンディングなど新しいサービスを開始し、5,000万人のユーザーの獲得を目指している。

■情報管理ツール「Notion」がシリーズで$275Mを調達

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*Source:https://www.notion.so/ja-jp/product

「Notion」はサンフランシスコに拠点がある企業で、メモ、ドキュメント、プロジェクト管理などをカスタマイズして組み合わせることができるオールインワンのワークスペースを提供している。
コロナ禍のリモートワークの浸透により、Notionのユーザー数は2020年に5倍になり、現在では2,000万人まで増加している。また、サンフランシスコ以外にもダブリン、ニューヨーク、東京、ハイデラバードにオフィスがあり、ユーザー数の約80%、収益の約70%が米国以外となっている。
日本語のベータ版は10月13日にリリースされたばかりで、法人向けではスタートアップを中心に導入されている。また、個人向けでは新たに無料での提供が開始され、学生や社会人の間で利用が広がっている。
Sequoia Capital、Coatue(新興企業に積極的に投資する米ヘッジファンド)などから今回調達した資金は、プロダクト開発や米国外での体制強化に使われる。なお、今回の調達で、評価額$10Bのデカコーン企業となった。

M&A/IPOニュース(10月前半)

■デンマークの大手オーディオ機器メーカー「GN Group」が北欧のPE「Axcel」傘下のゲーム機器メーカー「SteelSeries」を$1.2Bで買収

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*Source:https://www.gn.com/

買い手である「GN Group」は、ヘッドセットやビデオ会議向け製品を扱うJabraなどを傘下に持つデンマークの大手音響機器メーカーである。

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*Source:http://www.steelseries.com/

売り手は北欧のプライベートエクイティファーム「Axcel」で、傘下の世界的なプレミアムゲーム機器メーカーの「Steel Series」を売却した。
Steel Seriesはヘッドセットからコントローラーまで製品を扱っていて、eスポーツのプロのチームやプレイヤーに提供している。

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今回の買収の背景にはゲーム周辺機器市場の高い成長率があり、GNはSteel Seriesの持つブランド力、技術力を獲得することでハイエンドセグメントに参入し、事業の成長を狙っている。

■eスポーツリーグ運営「Super League Gaming」がメタバース広告配信「Bloxbiz」を買収(金額非公表)

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*Source:https://www.superleague.com/

買い手である「Super League Gaming」は、eスポーツのリーグやトーナメントをアマチュア向けに開催する企業で、配信、コミュニティなどの事業も展開している。
League of Legends、Minecraft、Clash Royaleなど一流ゲームのパブリッシャーと提携して、リーグを運営している。

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*Source:https://www.bloxbiz.com/

売り手は「Bloxbiz」で、メタバースに特化して(主にRobolox )、毎月約2,500万人のゲーム上で広告が配信されている。
従来のマス広告同様に、Bloxbizでもゲーム空間に集まったプレーヤーの出身、言語、デバイスなどのデータを基に、最適な3D広告を作成し、表示させている。
今回のBloxbiz社の買収は、RobloxユーザーへのリーチとMinecraftのサーバーを無料で立てられるMinehutコミュニティとのシナジー創出を狙っている。


いかがだったでしょうか?
今後も、エンタメ、スポーツ、ライフスタイルの分野を中心に国内外の資金調達ニュースを定期的にお届けしていきます。
これらの分野での創業を支援するSCRAMBLEへのご応募や、投資のご相談もお気軽にどうぞ!

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