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彼女にだけは嫌われたくない、それが親友の定義かもしれない

昨日、10年来の友達が泊まりに来た。

彼女とは中学生のときに出会って、同じ高校に進学した。そして、同じように大学進学を機に東京に出てきて、今では彼女は地元に戻り、私は東京でなんとか社会人生活をしている。

2月10日、ほんとうはバンプオブチキンのライブに行く日でお互い休みをとっていたが、新型コロナウイルスのせいで延期になってしまった。だけど、「たなべと会う気でいたらか東京に行くよ」と、彼女が言ってくれたので、東京で会うことになった。

午後、彼女と合流してカフェに行く。私はカフェモカ、彼女はチャイティーを頼んだ。スパイシーな匂いがふんわりと香って、私は苦手だけど、彼女にはチャイティーが似合うなと私は思っていた。暖かい飲み物がガラスのマグカップに入っているとすごくおしゃれに見える。
カフェで、先日投稿した誕生日プレゼントの話をした。

「誕プレで食器あげるってセンスいいよね」

私がそう言うと彼女は、「食べ物結構いいなと思ったよ」と言った。

1月に彼女の誕生日があり、私はアマゾンでお取り寄せランキングの上位にあったケーキを贈ったのだった。

「私は、誕生日が1月だから、ハンドクリームをめちゃくちゃもらうんだよね。だけど、それ使い切れたこと1回もなくてさ……結局薬局で買うユースキンが一番効くって思ってるから」

彼女はそう言って、ニベアのハンドクリームを塗っていた。
宣言したユースキンではなかったけれど、確かに、薬局で買う、こっくりしたハンドクリームが一番手に効くよなと私も思った。

ドリンク1つで3時間も居座ってしまった。店員さんに申し訳ない。

私の最寄り駅まで移動して、大戸屋でご飯を食べた。彼女は金目鯛の西京焼き定食。私は梅おろしチキンカツ定食。お互い五穀米の大盛。彼女はご飯のお供にとろろもつけていた。私は、彼女の大喰らいなところが好きだ。遠慮がなくて好きだ。大戸屋でも3時間ぐらい居座ってしまった。何を話したのか、話の内容はまったく覚えていない。

時間は21時になっていた。私の家に行くまでの帰りにコンビニに寄って、お菓子を買い込む。総額が1000円を超えた。私は、彼女の容赦ないところが好きだ。

ようやく私の部屋に来て、彼女は本棚を眺めていた。私は手洗いうがいをした。すると彼女が、

「夜のピクニックって、めちゃくちゃ歩く本だよね」
「塩の街って、確か、人が塩になるよね」
「フーガはユーガは、双子が入れ替わるよね」

そうコメントをした。全部正解。そうだ。いや、そうなんだけど。
それほどまでに、あっさり要約してしまう彼女に私は思わず笑ってしまった。

なんでかって、私もまったく同じだったからだ。

彼女が来る数日前、大学の友達が私の家に来ていた。
そして同じように私の本棚を見て、友達は「これ、どんな本?」と聞いた。そのたびに私は彼女のように本の紹介をしたのだ。

「夜のピクニッは、歩く本だよ。学生が学校の行事で歩く本」
「カフーを待ちわびては、沖縄で知らない女の人と出会う話」
「海の底は、でかいザリガニが襲ってくる本」

そう言うと友達は、「全然伝わらないんだけど……」と言った。でも、そうとしか言いようがないんだよな、と私は思っていた。

私と彼女が10年以上友達をしているのは、こういうところが合うからかもしれないな、と私は思った。感覚が限りなく似ているのだ。

そのあと、買ったお菓子をつまみながら「サウナは趣味になれるのか」「やる気のない下着」「人がいるとぐっすり寝れない」という話を日付を跨ぐまでした。

私は彼女が好きだ。わかりあえないことを、私たちはずっとわかりあっている。そういう関係が私たちの間に流れているのだと思った。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。