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大学生のとき、鮮烈に恋に落ちた話【パート1】

先日、友達と忘年会をしていたときに言われた。

「そういえば、大学生のときに、たまたま入ったレストランの店員さんに連絡先を聞いてたよね」

瞬間、ずあああ~~っっ!! といろんなものが走馬灯のように頭の中を駆け巡った。たまたま入ったレストランの店員さんの顔、そこで一緒に働いていた外国人の店員さんの顔、コップのコースターの裏にメッセージとメールアドレスを書いたこと、そして、そのあとのこと。

大学生の私が、行動力全開で鮮烈に恋をしようとしていた思い出だった。


「っくりした~!! 今の今まで、まっじでそのこと忘れてたよ!!」

「え~!? まじで!? 私はいつも、別の友達にたなべのことを紹介するときに、一番にその話してるよ」

「あ~確かにあったあった(笑)。いきなり店員さんに連絡先聞いたわ。思い出してきた」


確か、大学4年生だったと思う。就職活動が終わっていて、私は来年から名古屋に行くことが決まっていたから、最終的には何も起こらなかった。

ただ、起爆だけはした。それも閃光が走ったかのような激しさだった。


その日、私は忘年会をした友人と2人でとあるレストランに入った。友人が気になっていたお店で、予約もすでに済ませておいてくれるというスマートっぷり。

この忘年会も彼女がお店を探し、予約を済ませてくれた。彼女はあのときからずっと変わらずスマートなのだ。


お店に入ると、ライブキッチンのように厨房がガラス張りになっていた客席から見渡せた。ライブキッチンは一番見映えの良い場所にコンロがあって、そこで丁寧に肉を焼く男性が鮮烈に目に入ってきた。


好きじゃん。


意味もわからなく、私は心でそう思った。

友人と食事をしていてもそっちに気が向いてしまって、全然集中できなかった。出てきた料理は美味しかったけど、その人が焼いてくれた肉なのかな、とか思うとお腹も胸もいっぱいになってしまった。


食事が終わりそうになったあたりで、私は彼女に言った。

「私、あそこで肉焼いてる人、好きだわ」

「え。……あ、あの人? かっこいいね」

ううん、違う。そうじゃない。顔がかっこいいとかじゃない。好みの顔の店員さんがいるとか、そういうレベルじゃないの。

私はとにかく彼女に説明した。本気で、好きなのだと。

(明日に続く)(たぶん、パート2で終わるはず)


”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。