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適性検査は、数値の向こうに本来の自分がある

 採用や人材教育など、さまざまなシーンで活用されている適性検査。結果を見ると、複数の性格特性の高低が数値やグラフで表現されています。ただ、受検者はその結果を見てどのくらい実感値を持てているのでしょうか?勿論、「ピッタリ!」と思えるものもあるでしょうが、中には、「う~ん、そんな強みあるかな?」 と首をかしげる内容もあるかもしれません。

 以前、ある企業の営業職の中堅社員に、適性検査の結果をフィードバックしたことがあります。その適性検査のシートには「論理的思考力が高い」という情報がありました。その方は、「これについては全く実感がない」と怪訝な顔をしていました。わけを聴くと、いつも上司から、話を論理的に整理してくれと注意されているとのこと。そこで、過去の経歴を深堀していくと、営業職に就いたのは直近で、長年従事していた人事職の頃であれば、論理性には自信があったということが分かりました。

 適性検査の結果は、必ずしもその人の「いまの現状」と合致するとは限りません。過去に遡ったり、違う状況(社内ではなく社外等)などを聴いていくと、適性検査が示す強みが発揮されているシーン見つかったりします。受検者が「なるほど、そういうときにその強みが発揮できていたのか」と気づき、そのとき発揮されていた理由が解かれば、今の課題を打開する大きなヒントになります。前述の中堅社員の方の場合であれば、不必要に自信を失うことなく、経験を通じて地道に営業知識を付けていければ、持前の論理性が遺憾なく発揮されていくでしょう。

 適性検査の結果を単にメールで本人に渡すだけでは、さっと見て終わりになってしまうことも多いように思います。そのデータを上司や第三者と一緒に読み解き、過去の状況などと丁寧に照らし合わせながら本人の強みのストーリーを紡いでいく、そんな進め方が適切な活用法だと考えます。