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組織開発予算ってとってますか?

 早いものでもう今年もあと1か月ちょっとになりました。そして、3月決算の会社ではそろそろ来期の予算を組んでいる時期ではないでしょうか。多くの会社では予算の中に教育訓練費があり、そこに研修等の費用が計上されていることと思います。人材成長のためのこの予算は、企業の発展には欠かせないものと言えるでしょう。

組織の三つの「関係性」

 ただ、私は、HR部門がもう一つ明確にしておくべき予算があると考えます。それは、「関係性」に対する予算です。組織内の「関係性」は大きく三つあると考えます。一つは、言わずもがな“人と人との関係性”。それには、部署内の関係性、上司と部下の関係性、そして、他部署との関係性など、様々な関係性が存在します。もう一つは、“仕事と社員の関係性”、これは、社員が自分の仕事に納得して取り組めているかどうかという部分。そして三つ目は、“社員と会社の関係”です。会社の経営方針が社員一人ひとりに理解され、個々のキャリアプランと連動しているかどうか という部分。会社はこの三つの関係性を良好に保つことで、貢献意欲、つまり、エンゲージメントを引き出せると言われ、それはまさに組織開発が扱う領域でもあります。

「関係性」は劣化しやすい

しかし、この「関係性」は目に見え難く、組織成果との関連性も今一つ明確ではないため、なかなか投資対象として見てもらえない分野でもあります。ただ、この「関係性」に何も手を打たない状態が続けば、簡単に劣化してしまうのも事実です。特に人と人との関係性は、太いと思っていた糸が急に細くなったり突然、切れてしまうあります。我々の普段の生活でもよくある ことだと思うのですが、とても仲が良かった友達が、ちょっとした喧嘩で 会わなくなってしまったり、喧嘩がなくても、会わない時期が長くなると なんとなく疎遠になる。会社においても 自部署の利益を優先する余り、他部署との関係が悪化し、コミュニケーションロスが生じることもあるでしょう。

人材育成とは別に取るべき予算

 「関係性」は、このように繊細な代物ですので、会社ではHR部門や現場マネジャーが意識的にメンテナンスしてあげる必要があります。そして「関係性」への投資は、人材育成とは別に、例えば組織開発予算 として管理し、継続的にお金と時間をかけていくことが大切になると思われます。