平成最後の夏―「ゆずっこ」時代も終わる

節目を迎えた「ゆずっこ」時代

 8月が終わる。今年の夏は、1泊2日で横浜に旅行した。今まで生活する場所だった横浜に、観光客として行くのはとても新鮮だった。目的はフォークデュオ「ゆず」のライブ。友達と二人で横浜アリーナに行った。そこで、自分の中で「あ、これは(ゆずっことして)節目を迎えたな」と思うことがあった。

「タンマリン」がなくて―

 ゆずのライブはここ最近、入手必須のグッズが多くなった。その一つが「タンマリン(タンバリン)」(800円)だ。「タッタ」という曲が流れると、観客はこれを使って一斉に踊る。「800円もするのか・・・」と思って買わなかったのが、ライブが始まってびっくり。8割以上の人がタンマリンをシャンシャンと叩きながら踊っている。振り付けがあるだけで心が折れそうなものだが、ゆずっこはこの日のために練習してきている。私はうろ覚えだったので、周囲のファンを見つつなんとなくついていく。

「白フラッグ」を片手に―

 もう一つ今回のツアーで必須だったのは、「青白フラッグ」(500円)。ワンコインだが、買わずに終わった。ライブ中に観客が二つのチームに分かれ、このフラッグを使って旗揚げゲームをするというものだ。ここでフラッグの存在すら知らなかった私は、疎外感に襲われる・・・。泣きそうになっていると、一緒に行った心優しい友達がフラッグを1本貸してくれた。女神だった・・・。

変化するゆずライブ 観客参加型へ

 数年前からゆずライブは徐々に観客参加型の企画が多くなってきた。ダンス、旗揚げゲーム、質問コーナーなど―。参加型は、アリーナの雰囲気を盛り上げる。同じ空間で、同じグッズを身につけ、同じ振り付けを踊れば、自然と一体感が生まれる。質問コーナーで、ドラマ性のあるエピソードがあれば、観客から温かい拍手が送られる。「アーティストと触れあたい」という思いに答えるのは、時代(といっていいかわからないけど)なのだろうか。

でも、私は2人の歌をずっと聞いていたい

 私は、参加したいわけじゃない。純粋に2人が歌う曲が聞きたいのだ。
 
ライブに行っても、映像や企画に時間が割かれる。ソロで歌う場面もちらほら見られるようになった。それは、ゆずも年を重ねて、3時間近くも歌い続けることが難しくなったからかもしれない。
 観客は、SNSでライブ中に撮影した写真を共有が許可されるようになった。ファンにとって思い出の1シーンを収められるほどうれしいことはない。これも時代のニーズに対応している動きの一つだ。ファンは思い出を共有できるし、ゆずにとっては宣伝にもなる。喜ぶファンがいる限り、これは新しいライブの形態として成功しているのだ。

ゆずっことして最後(かもしれない)の夏

 帰りの飛行機の中で思った。「私の『ゆずっこ人生』も終わりかもな―」。ゆずのCDはたまに買っていた。良い曲だと思うものも、未だにたくさんある。でも、ちょっとダサくて、社会にはむかっていた若者は、家庭を持って皆に愛される国民的フォークデュオになった。私の好きなゆずはもういない・・・。

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