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レンタカー試乗記 : 016 ホンダ シビック 1.5 LX (FL1)

爽快、グランドツアラー

ご覧いただきありがとうございます。

記事を書き進める気力と語彙力がどんどん散っていき、気付けば更新は月1回…おかしいなぁ。

さて、今回は本田技研工業が提供するカーシェアの"EveryGo"で、現行型である11代目のシビックに乗ることができた。

現行シビックのグレードは高い順に「e:HEV」「EX」「LX」の3つ。
「e:HEV」は文字通りハイブリッド車、「EX」「LX」はガソリン車である。

それにしても、ハイブリッドモデルが「e:HEV」の1つだけ、しかもそれが「シビック」という車種の中の、ひとつのグレードとして扱われている。

シビックハイブリッド (FD3)
街中でもだんだん見なくなっているような気がする
※写真はグーネットのカタログより引用

15年ほど前のシビック(FDシビックの世代)にもハイブリッドモデルが存在したが、その時は「シビックハイブリッド」といういわば別車種扱いだった。

つまりそれだけ、ハイブリッドモデルが世の中に浸透したという事なのだろうか。
その技術が、半分当たり前になってきているような。

ただし、今回乗車したのはそんな時代の流れに逆行するガソリンモデルの「LX」(のCVTモデル)である。時間の許す限りガソリンを燃やしながら走ったので、その様子をお届けしていければと思う。

一応、グレードの一覧と価格表をここに書き記しておく。(価格は当時のもの)
「e:HEV」…2.0Lエンジン+モーター CVT 394万200円
「EX」…1.5Lターボエンジン CVT/6MT 353万9800円
「LX」…1.5Lターボエンジン CVT/6MT 319万円 (今回の個体)
指定燃料は、ハイブリッドの「e:HEV」がレギュラーで、ガソリン車の「EX」「LX」がハイオクである。



外観、内装、デザイン

横に広がる水平基調のヘッドライトとグリル。
どこまでも伸びやかなスタイリング。そこにメッキの影はなく、メッキで厚化粧するこの世の文化をぶち壊しに来ている。

…なんて気取って書いてみたが、それにしてもホンダらしからぬデザインな気がする。
たぶん10年前にこのクルマの写真を見せられたとして「シビック」と答えられる人はほぼいないのではないだろうか。
ホンダエンブレムを取っ払えば外車に見えるような。そんなデザインをしている。

先代のFKシビック
※写真はホンダ公式サイトより引用

特に先代(FK型)シビックからのデザインの変化は凄まじいというか、ぱっと見で同じ名前の車種とは思えない変化具合だと思う。

近年のホンダ車のデザイン、いったいどういう路線を目指しているのだろうと考えることがある。
FKシビック路線を引き継いだデザインならこのデザインにはならなかったはずだし、数年おきに設計思想が変わるのだろうか。

カーシェアの車両なので所々ボコボコなのはご愛嬌という事で。
私はぶつけてないですが。にしても改めて見ると満身創痍…。

今回エンジンは撮り忘れてしまったのだが、搭載されているエンジンはL15Cという、1.5L直列4気筒のターボエンジン。182馬力を発生する。

テールライトは導光式のLED。
ハイマウントストップランプは両テールライトの間にあるので、ブレーキを踏むとほぼテールが繋がったような感じに光るのが最近の流行りに乗ってる感じ。ナウなヤングである(死語)

真横から。こう見るとけっこう鼻が長い。
前から見た印象と同じく、サイドのラインも水平基調。こう見てもやっぱりデザインは落ち着いたというか、シビックもすっかり高級車ライクなのかなと思ったり。
かつての走りのイメージというよりかは、マツダ3やゴルフとかのプレミアムハッチバック感がある。

洗車する時間がなかった…。

ホイールは18インチ。タイヤは235/40R18のグッドイヤー イーグルF1。
全グレードでホイールは18インチ。廉価グレードとは、って感じ。

上位グレードになるとホイールの塗装が違ってくるらしい。

それにしてもタイヤはかなりツライチというか、外に張り出していると思う。
一昔前は色んなクルマで電車電車と騒がれていたものだが(自分は何も気にしてなかったが)、最近のクルマはその辺も手を打ってあるのだろう。

内装。横に伸びるエアコンの吹き出し口が印象的。
ステアリングは革巻き。
エアコンの操作は物理ダイヤル式。これ重要。
ドリンクホルダーは縦に2個並んでいるタイプで、その横にストレート式のシフトレバー、そしてその後ろにドライブモードの切り替えスイッチなどなど。
走行に関するスイッチがある程度まとまった場所にあるのがとても良いと思った。

シフトパターンはP-R-N-Dのみ。
Dレンジの状態でパドルを引くと即マニュアルモードに切り替わる。
マニュアルモードの状態(メーター内のシフトインジケーターに"M"と表示される)で走行モード(ECON、スポーツ など)を切り替えるとマニュアルモードは解除される。
また、ECONおよびノーマルモードだと一定時間が経過するとマニュアルモードは自動で解除されるが、スポーツモードだとマニュアルモードは解除されない。解除するには走行モードを切り替えるしかない。

メーターはこんな感じ。左側部分はモニター、右側部分は針の構成。
モニター部分の演出も凝っていて、モニター上の針がある部分の周辺が明るくなるというギミックがある。
ちなみにモニター部分の表示は変えることができる。画面上のメーター真ん中に出ている各種情報表示を消すことも可能。
ちなみに、上位グレードのEXとe:HEVはフル液晶メーターになる。

そしてどうでもいい事なのだが、メーター構成がどうもリーフに似てるなと思ったりしたのでちょっとだけ載せておく。

リーフ(ZE1型)のメーター 構成が結構似ている
※写真は日産公式サイトより引用

後席は今回撮れていないのだが、荷室はこんな感じになっている。
容量は並みのセダンくらいだろうか。後席は片側ずつ畳めるので長尺物も問題なさそうだ。
ちなみに後席の広さは問題なし。
4人乗車で旅行とか行ってもかなり快適に過ごせそうだと思った。

ドアを開けた時に望む景色は、さながら高級車ではないだろうか。
シートはハーフレザーシート。ちょっと内装が暗すぎる気もするが、シックな雰囲気の演出にはこれくらいがちょうど良いのだろう。

ちなみにマイナーチェンジでRS以外のグレードにグレー色内装が追加された(この個体はマイナーチェンジ前)ので、雰囲気が暗すぎると感じた人はそちらも候補に入れてみてはどうだろう。値段さらに上がったけど。


乗ってみての感想とか

今回は一般道、山道、高速道路をそれぞれ走行。
夜間の約7時間で243kmを走行した。

ドアを開けて乗り込んでみる。
ボンネットが長いので"大きいクルマ"感があるが、運転席からボンネットの端がある程度見えるので見切りはそれなりに良い。
ただ、ハンドルが切れない。
妙にボコボコなのはこのハンドルの切れなさも原因としてあるのだろう。不特定多数の人が運転するカーシェアなら尚更である。

さて、ひとまず連れ出してみたのだが。
これ、段差の吸収の感じが凄く良い。
サスペンションが柔らかくも硬くもないちょうど良い感じで、段差をしっとりと吸収してくれる感じ (語彙力の限界)

千恋*万花70万本突破おめでとうございます
※写真はゆずソフト公式サイトよりお借りしました

例えで言うとなんだろう。美少女ゲームの導入部分、主人公と巨乳ヒロインが出合い頭にぶつかって出会う場面。主人公が巨乳ヒロインの胸にダイブする場面の「ふにゅん」ってなる主人公の感覚みたいな感じだろうか。

このシビックに乗っていればどんな辛いこと(段差)も「ふにゅん」と和らげてくれそうだ。おっぱい。おっぱいおっぱい。もうそれしか考えられない。おっぱいはサスペンションだった。

…さて、しばらく走ったところで今度は山道へ連れて行ってみた。
カーブでの追従性が素晴らしい。思い通りにスイーッと曲がる曲がる。多少オーバースピード気味に進入しても、足回りとハンドリングの良さでこなせてしまう。
1.5Lエンジンとはいえ峠でのパワー不足も感じることなく、非常に快適に走り抜けることができた。

そして今度は高速道路へ。
山道でも実感したハンドリングの良さは高速でも健在。
そして、踏み込むと微かにターボの音がする。
つまるところクソ速い。どんな速度域でも余裕の走りだった。
ちなみにパワステは軽すぎず重すぎずのセッティング。
これも安定した走りに寄与していると思う。

…今のところ誉めまくっているが、気になった所といえば、パワーがあるゆえパドルシフトでマニュアル操作しようとしてもすぐ速度が出てしまい全然回せないこと。これについては後述。

乗った感想としては勿論速いのだが、スポーツカーというよりかは、どんな状況下でも快適に走れるグランドツアラー的な印象を抱いた。
スパルタンな走り、少なくともVTECカチ回してカッ飛ばすシビックというキャラではない。MTだったらまた違う印象になるのかもしれないが。


いいところ

全ての面において完成度が高いこと。よく走るし、装備は充実しているし、高級感さえ感じる。
このクルマはシビックであって、アキュラでもレクサスでもないのだから、これ以上求めるのはナンセンスでしょう。それくらい完成されている。

デザインはある意味人を選ばない方向性のデザインになっていて好印象。
人を選ばない格好良さを創り出すのって一番難しいと思うので。

価格に目をつむればオススメの選択肢ではある。


わるいところ、微妙なところ

ハンドルが切れないこと。最小回転半径は5.7mとまあまあ大きい。FFだし18インチだし仕方ない事ではあるのだが、できればもう少し切れてほしい。
先代(FK型)シビックよりホイールベースが伸びているのもあって、より小回りはきかなくなっている。

あと、マニュアルモードでの走り。
マニュアルモードに入れてもすぐに速度が上がってしまうので、まともに回して走ることができない。
レブリミットがメーター上6500rpmなのでせめて5000rpmくらいまで回してからシフトアップしたいのだが、2速で5000rpmくらいまで回そうとすると一気に100km/h近く出てしまう。昔の4ATみたいなギア比である。
どちらかというと減速時に使うほうが恩恵は大きいかも。

ちなみにマニュアルモードの段数は7速なので、カローラスポーツの10速よりかは現実的な段数である。
ただし、マニュアルモード使用時の変速時のモッサリ感はどうしても気になる。疑似変速だから仕方ないと言えばそれまでなのだが。

ECONスイッチ入れれば若干パワー感は落ちるので、ECON入れてパドルシフト引いてマニュアルモードに入れればそれなりに楽しめるのかもしれない。


シビックは高級車へと変化していく

"Civic"とは、英語で"市民の"を意味する英単語なのだという。
ところが現行型のCivicに乗ってみると、値段も質感も明らかに市民層を超えている存在へと段々変わっていっているような気がする。
ちょっと無理やりというか意味が飛躍してしまうような気もするが、少なくとも庶民の乗り物ではないように感じてしまう。

シビック、確かに良いクルマだった。
いや、良いクルマなんだけど、300万円以上払えるかと言われると首を傾げてしまう。そんなクルマな気がする。

現行型のインプレッサ
※写真はグーネットのカタログより引用

コンセプト的にはスバルのインプレッサが近いような気がするが、こちらは229万円からとなっている。下のグレードでも90万円近い差がある。

マツダ3
※写真はマツダ公式サイトより引用

あとはマツダ3とかもコンセプトとしては近いだろうか。
こちらは220万円からだが、写真のグレードは240万円。

…まぁ、同じ廉価グレードでもシビックはかなり上級寄りの装備が標準装備なので単純な比較にはなっていないと思うのだが、せめてもう少し装備を削ったグレードを出してもいいのではないかと思ってしまった。せめて250万くらいから…で、どうでしょう。
シートはハーフレザーではなくファブリック、ステアリングは革ではなくウレタンに、そしてメーターは両方針にして、ホイールは18インチから16インチくらいに。これくらいすれば250万くらいになるのでは。

普通に乗る分にはハンドルがウレタンでも構わないわけだし、ホイールだってわざわざ高い18インチを付ける必要はないだろう。
でも、なぜか廉価グレードでもそれらが標準装備になっている。

つまるところ、普通の人がシビックに乗る時代は終わってしまった。
そういう事なんだろうか。

ホンダコレクションホールにて

自分の中の"シビック"のイメージはどちらかというとフィットのようなコンパクトカー(要は庶民層のクルマ)みたいな感じだったのだが、時代とともにそれも移り変わっていくという事なのだろう。

段々と、自身の意識が時代遅れになっていく。
そんなことを書き殴りつつ、締めたいと思う。

最後までご覧いただきありがとうございました!


乗車個体のデータ:
年式…2022年3月
型式…6BA-FL1
車体番号…FL1-100****
グレード…LX
排気量…1500cc
ボディカラー…プレミアムクリスタルレッド・メタリック (R565M)
ミッション…CVT
走行距離…35006km(返却時)
車体寸法(全長×全幅×全高)…4550×1800×1415mm
タイヤサイズ…235/40R18 95Y(前後)
車体重量…1360kg
最小回転半径…5.7m
エンジン…L15C型 直列4気筒DOHC16バルブターボ
最大出力&トルク…182ps/6000rpm & 24.5kg・M/1700-4500rpm

現在の状況…不明

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