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レンタカー試乗記 : 007 ホンダ フィットアリア 1.5 1.5A (GD8)

少々形はいびつでも、それは正統派実用セダンだった

ご覧いただきありがとうございます。

今回はなかなかの珍車。
ホンダのフィットアリアをレンタカーで借りることができた。
当時の初代フィット(GDフィット)をベースに、顔面を変えて後ろをセダンの形にしたモデルである。
当時はコンパクトカーベースのセダンって割といたような気がする(トヨタのプラッツやベルタであったり、日産のティーダラティオであったり)が、ここ最近はめっきり見なくなってしまった印象。
今回はそんなフィットアリアの試乗記であります。



外観、内装、デザイン

デザインはどことなく優しい顔のような感じ。
微妙に鼻が長い感じがするが、うまく仕上げているデザインだと思う。

リア周りやテールランプは独特な造形をしている。
エアウェイブのテールに若干似ていなくもないが、かなり独自路線といった印象。

エアウェイブ。若干テールランプの雰囲気が似ている気がする。
※写真はグーネットのカタログより引用

GDフィットベースなので、横部分はほぼフィットそのままである。
まさしく、フィットの後ろを引っ張って伸ばしてトランクを付けました、といったような雰囲気。
かなり後ろ上がりなデザインになっているが、それは後席の居住性と荷室の確保の為。
こういうデザインは結構好き。

ちなみにホイールキャップはGE(2代目)フィットのものが装着されていた。

純正のホイールキャップはこんなデザイン。
オプションで15インチアルミホイールが選べた。
※写真はグーネットのカタログより引用

運転席周りはこんな感じ。
乗ったのが3年ほど前で、写真の撮り方が確立できておらずこのアングルの写真しかなかった  (
加飾パネルが付いてたりするものの、ほぼGDフィット(の前期)そのまま。
ただしシートはかなり良くできていて、疲れ知らずのシートだった。

リアシート。これがまたかなり肉厚で、けっこうフカフカしている。
それだけベースとなったGDフィットの出来が良いという事なのだが、フィットアリアはそれをさらに強化しているという印象。
後席重視の設計になっているような雰囲気まで感じた。

なお、シートは倒すことができる。つまりトランクスルーが可能。
ダイブダウン式で、床に段差が(ほぼ)残らないタイプ。

そして、チップアップして上に上げることもできる。
高さのあるものの積載も問題なく可能だ。

ちなみに、片方だけチップアップさせることも可能。あまりないシチュエーションだとは思うが、3人(4人)乗車時に高さのあるものを載せないといけなくなった場合は有効に使えるだろう。

これはリアシートを倒した状態でトランクを開けた時の図。
(トランクスルー状態)

セダン形状になったことで荷室長が長くなり、それこそ車中泊が余裕でできるくらいのスペースができる。なかなかに強い。
ただ車中泊する際はトランク部分に身体をぶつけないように注意が必要。

ボディ形状的に仕方ないことだが、立方体の形状で寸法が大きいもの(それこそ椅子を買った時の梱包の段ボールとか)の積載は苦手そうだ。


乗ってみての感想とか

いやー、何も不満がない。
外見からは想像できないほど、安定性がある。
高速を走っても全くパワー不足を感じなかったし、快適に走れた。

エンジンは1.5LのL15Aエンジンが搭載されている。
当時のフィットの1.5Lモデルと同じエンジンで、110馬力。
このエンジンが個人的にかなり好印象で、数値以上の速さと快感を感じた。
VTEC搭載は伊達ではないようだ…。
(当時のホンダのエンジンにはi-DSIというエンジンとVTECエンジンの2種類があり、前者はあまりパワーがなかったらしい。この個体のエンジンは後者)

そして、アクセルがワイヤーなので踏んだ時の反応がとても自然。
レスポンスも良いし、乗っていて非常に楽しかった。
同世代のフィットやエアウェイブ、モビリオなんかも同じ感触だと思う。


いいところ

空間の快適さと動力性能。フロントシートもリアシートもかなり快適だし、1.5Lエンジンは上まで回るから楽しく走れてアクセルの反応も自然。
欲しくなってしまった。
そして見た目からは想像もできない積載能力。長尺物はもちろん、セダン形状だから後席を倒してトランクスルーにして頭をトランク部分のほうにして寝っ転がれば視界の周りには暗い空間ができて快適に寝れそう。
起きたときにぶつけそうだが…。
セダンでここまでのシートアレンジを実現しているのは凄いと思った。

あとは稀少性。街中でも見なくなってきているので、今このフィットアリアを選んで綺麗に乗っていたら結構なツウだと思われる。
人にもよりそうだが、たぶん仲良くなれそうだ。


わるいところ、微妙なところ

当時のCVTミッションの脆弱性。この時代のホンダ車のCVTは構造上発進時にジャダー(振動)が起きてスムーズに発進できなくなる不具合があった。
乗っていて楽しいし、これ以上ないくらいの実用性も兼ね備えているので、ある意味そこが一番ネックなポイントではある。
だから、資金と技術さえあれば5ATなり5MTなり載せ替えてでも乗りたいのだが、このクルマにそこまでする人はあまりいないだろうと思う。

これは好みの問題だが、このデザインをダサいと思う人が一定数いるとは思う。自分は好みなのだが、フィットアリア で検索を掛けると候補に"ダサい"と出てくる現状を見ても世間はこのデザインを好まなかったようだ…。
この形だからこそ、当時のフィットをも超える快適さがあるのだが。

あと、ハンドルが軽すぎる。これは当時のGDフィットやエアウェイブなんかも共通なのだが、パワステのアシストが強すぎるのか、ハンドルがとんでもなく軽い。(そして戻らない)
初代フリードなんかもこんな感じのパワステなので、ホンダは軽いハンドルが好きなのだろうか。


間違いなく良いクルマではある

ちょっと古くて珍しいホンダ車が好きだという理由だけで借りたフィットアリアだが、中身は想像以上に良いクルマだった。
街中でもほんとたまーに見かける程度のクルマになってしまったが、確かにこのクルマ、好きな人は手放さないと思う。本文中でも述べたが、室内の空間や後席、荷室の使い勝手の良さなど、かなりの作りこみがされている。
このクルマに慣れてしまうと他のクルマだと物足りなくなりそう。

今、この手の小さいセダンに乗っている人が現行車に乗り換えるとしたら車種は何になるんだろうか。
トヨタはベルタどころかプレミオやアリオンも無くなってしまったし、ホンダのグレイスも無くなってしまった。日産のラティオも無い。昔のスズキにエリオセダンやSX4セダンなんてのもあったが無くなり、三菱のランサーセディアがあったのもかなり昔の話になった。

トヨタの現行型カローラアクシオ
モデル的には今年で12年目 長寿モデルである
※写真はグーネットのカタログより引用

セダンに限った話をするなら、最適解はやっぱりトヨタのカローラアクシオだろうか?
5ナンバーのコンパクトカーは世の中にいっぱいいるものの、5ナンバーのコンパクトなセダンが世の中の新車からどんどん消えているのを考えると、セダンへのこだわりが無くなってどんどん普通のコンパクトカーに代替されていく、というルートができあがっているのかもしれない。

まぁ確かに最近のクルマには(車種を選べば)セダン並みの後席を備えたコンパクトカーもあるし、安全性能だって文句なしだ。(後席の安全性はセダンと比べてしまうと微妙な気もするが)
フィットかノート辺りはそこら辺兼ね備えているのではないだろうか。
現行ノートのシフト周りは、古いセダンから代替するとちょっと困惑しそうだが。

と言いつつ、そんな現実世界が少し寂しく感じる。
現行フィットベースのセダンとか出来たら面白いだろうなぁ。でも売れないんだろうなぁ。フィットアリア e:HEVとかね。
なんて考えてしまう。車オタクでした。

今回はこれでおわりです。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※2024/04/20 記事内容を一部変更しました

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