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レンタカー試乗記 : 002 トヨタ カローラツーリング 1.8 S (ZRE212W)

生まれ変わったカローラのワゴンは、自然ツアラー

ご覧いただきありがとうございます。

2019年10月、カローラは今までのアクシオとフィールダーから一気に装いを変え、"カローラ"と"カローラツーリング"としてデビューした。
また、当面の間これまでのアクシオとフィールダーも併売されるというのも中々なポイントである (5年経った2024年現在でも併売されているが)
30系プリウス登場時、先代の20系プリウスが当面の間"プリウスEX"として併売されていたのを思い出してしまった。

今回は、そんなこんなで生まれ変わった"カローラのワゴン"にレンタカーで乗ることができたので色々と書いていければと思う。
平成ではない"令和のカローラ"に触れてみる。



外観、内装、デザイン

なんというか、鋭利になったなというのが第一印象。
3ナンバー幅になったことにより、よりどっしりとしたデザインになった。

"G-X"、"S"および"WxB"の3種類のグレードがある。(2019年登場時)
ヘッドライトは全車LED。
最上級グレードの"WxB"のみ、より見た目がいかついプロジェクターヘッドライト仕様になる。この子は"S"グレードなので普通のLEDヘッドライト。
フォグランプはオプションだが、こちらもLED。

後ろのどっしり構えている感じもなかなか好み。
フィールダーにはなかった、この重厚感。
どことなく日本車離れしたデザインに見えるのだが、実際海外仕様の幅を少し縮めたモデルなのでそんな感触も間違いではないと思いたい。

この子は別日に乗った別個体

ちなみにテールランプの赤い部分は、こんな感じにしか光らない。
ハッチバック版であるカローラスポーツでは赤い部分が光るので、ちょっと寂しいところではある。
(と思ったら、2022年10月のマイナーチェンジでカローラツーリングもここが光るようになったらしい。やはり要望が多かったのかな?)

こちらはカローラスポーツ。赤い部分が線状に光ってカッコいい。

"S"グレードに標準装備される16インチアルミホイール。
この無機質なデザイン、好き。
フィールダーとかにも似たようなホイールの設定があったけど、こういう無難なデザインのホイールが一番引き締まってカッコいいと思う。

内装はこんな感じ。
シートはかなり大きめで、包み込んでくれる感じ。
シフトはストレート式で、Dレンジの状態から右に倒すと疑似変速のマニュアルモードになる。
内装に関してはアクシオ/フィールダーよりもなんだか格上のクルマになった印象。比較になるかはさておき、オーリスをワゴンにして現代版に仕上げたような雰囲気。好みかどうかは人それぞれだが、個人的には好印象だった。


乗ってみての感想とか

なんかもう、これでいいじゃん。

という感想が大前提にあるのだが、とにかく体にしっくりくる。
1.8Lで4気筒の「2ZR-FAE」という型式のエンジンが搭載されているのだが、これがまたちょうど良い感触というかパワー具合で、どんな環境でも自然な感じで走ることができる。
今回は2日間の行程で約500kmを走行。一般道および流れの速い高速道路、峠道にワインディングロードと色んな環境の道を走ったのだが、一切不満点がなかった。
よどみなく上まで回る、素晴らしいエンジンだった。

ただ、10年以上前に開発されている設計が古いエンジンなので、走り方によっては燃費が微妙に感じる気はするかも。その分走ってて楽しいのだが。

なお、カローラフィールダーにも同じ1.8Lのエンジンが積まれているグレードがあるので、機会があったら乗ってみたいがレンタカーには無さそう…。

写真はカローラスポーツのシフト周りだが、カローラツーリングもだいたい同じ感じ

内装の欄でも書いたように、Dレンジの状態でシフトレバーを右に倒すと疑似変速のマニュアルモードになるのだが、これの反応がまた素早くて良い。
変速は7段あり、ワインディングロードでマニュアルモードにしたときの走りはかなり爽快だった。
変速の切り替わりも、CVTのマニュアルモード特有のボンヤリとした感じはあまりなく、スパッ、スパッと切り替わる感じ。
その気になればかっ飛ばせる性能を持っていると思う。

ステアリングは"S"グレード以上で革巻きになる。手触りがすごく良かった。
ステアリングヒーターも付いていたので、寒い時期には重宝しそうだ。(シートヒーターとセットでメーカーオプションらしい)
ハンドルを切ったときの感触も、なんだかしっとりとしていた印象。

あとこれは個人の印象なのだが、ドライビングポジションがものすごく自然に決まった。ハンドルが自分の正面に来て、カッチリ固定される姿勢で、とても自然な感じに運転することができた。
前方向の見切りもよく、ここまで違和感がないのは初めてだった。


いいところ

デザインがカッコいい、エンジン性能が良い、運転席そして運転席周りの空間が快適、運転してて楽しいけど疲れない、シートヒーターやステアリングヒーターなど快適装備もたくさん、見切りが良いところは従来のカローラから受け継がれていたりと、とにかく至れり尽くせりのクルマだった。

メーターは真ん中にスピードメーター、左側にタコメーター、そして右側に諸々情報表示ができるモニターが設置されていて、とても自然な感じで見やすかった。やっぱり肝心な情報が見やすいアナログメーターの配置は大事。


わるいところ、微妙なところ

従来型カローラフィールダーと比べて後席及び荷室が狭くなっている。
ワゴンとしての実用面は少し削がれたがその分デザインに費やした、という解釈が一番合っているだろうか?どちらを重視するかは難しいところだが。
そして、デザインはカッコいいと言ったものの、横から見たりすると微妙に寸詰まり感を感じるような気がしないでもないのが本音。
どうせなら海外仕様をそのまま持ってきてほしかった。

あと、オプションでもハロゲンフォグランプが選べないのは実用面で考えると微妙な気がしてしまう。そもそもこのクルマのフォグランプの規格である「L1B」規格にハロゲンバルブは存在しないのだけど…。

標準装備であるディスプレイオーディオ、便利ではあるのだが、壊れた時の保守性等を考えると2DINサイズのナビが選べないのは少し怖いかも。


新旧の技術の融合は、優等生を生み出した

脱陰キャみたいなスローガンだが、これまでの"カローラ"という名前のイメージって、本当に普通のクルマ、日本の標準形みたいな感じだったと思う。

ところが今回トヨタはそれを崩しに来た。
幅も3ナンバー化し、新プラットフォームを採用し、内装も一から変えた。サブネームも変えた。
でも押さえるところは押さえた。ホイールのデザインはシンプルに。そして低排気量化の流れだけど、ここで熟成された旧来の1.8Lエンジンを載せた。

新しいトヨタの風と古いトヨタの風が合わさってこのカローラは完成した。
結果的に、良いとこ取りのクルマになったんじゃないか、と思っている。
現代技術のテクノロジーと、旧来のエンジンの走りのパワーの融合。
いわば優等生。
現実世界の自分とは対照的なポジションに、このクルマは置かれている。

ハンドルを握りながら、なんだか妬いちゃうな、と思った。


最後までご覧いただきありがとうございました。

※2024/05/09 記事内容を一部変更しました

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