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レンタカー試乗記 : 011 ダイハツ コペン 0.66 セロ (LA400K)

一度は消えた丸目のコペンが、現代の風を受けて帰ってきた!

ご覧いただきありがとうございます。

乗車自体は3年ほど前になるのだが、今回はダイハツのコペンの試乗記である。
前にロードスターの試乗記を出したと思うのだが、その中で「いざ借りようとなり友人に予約をお願いして出向いたら違うクルマが出てきた」と述べたが、そこで出てきたクルマがこのコペンである。
"ロードスターがコペンに化ける回"なんて笑っていたが(友人はキレ気味だった) いざ乗ってみるとそこには異次元の楽しさがあった。
今回はそんなコペン セロの試乗記であります。

いかんせん3年も前なので感覚的に覚えているかどうか怪しいレベルなのだが、当時の写真やメモの記録を基に書いていければと思う。



外観、デザイン

2015年に登場してから9年が経つコペンセロだが、いつ見てもデザインはその9年という歳月の経過を感じない。それくらい、よくできたデザインだと思う。
(現行コペン自体は2014年に出ているので10年目になる)

初代の縦に2個並んだ丸形ライトと、逆型台形グリルも受け継がれている。
メーカーが公式でここまでデザインを受け継いだモデルを出すのは「コペン」というクルマがそれだけメーカーにとってもユーザーにとっても偉大であった証だろう。

こちらは初代コペン 雰囲気は違えど、テイストは生きている
※写真はグーネットのカタログより引用

ちなみに現行コペンには「セロ」の他に「ローブ」「エクスプレイ」「GRスポーツ」と、計4種類のバリエーションがある。

上段左がセロ(今回の個体)、上段右がローブ
下段左がエクスプレイ、下段右がGRスポーツ
※写真はグーネットのカタログより引用

このうち、セロとローブは外装着せ替えキットによる外装の着せ替えが可能で、ダイハツが公式でパーツを出している。
全体のデザインを変えることもできるし、フロントやリアだけローブからセロに変えることもできる。
(エクスプレイに関しては微妙に構造が違うようで着せ替え不可能。GRスポーツは不明)

ローブからセロへ着せ替えるキット
※公式サイトより引用
セロからローブへ着せ替えるキット
※公式サイトより引用

キットのお値段はセロもローブも同じ381,700円。
ここに工賃等が追加される形になる。

"着せ替え"という新しいクルマの楽しみ方。
大いにアリだと思うし、外装が破損してしまった際にこの際イメチェンしてみるという使い方もアリなのかもしれない。

皆様、おひとついかがですか。

リアのデザインも基本的には初代の雰囲気を残している。
ただ、トランクの上側の部分が一体成型のスポイラーのような形となっているのが初代とは異なるデザイン上の特徴。
ハイマウントストップランプもここに埋め込まれている。

初代コペンのリアデザイン
※写真はグーネットのカタログより引用

ちなみにテールライトが丸形になっているのはセロのみで、他のタイプは角型のテールライトになる。

コペン ローブのリアデザイン
※写真はグーネットのカタログより引用

リアデザインの印象としては、初代と比べると角ばったなという感じ。
もちろん角ばっていたほうが荷室容量的にも有利になるし、これはこれで良いんじゃないかと思う。

ただ、オープン時の荷室は…とりあえずその話はまた後で。

サイドビュー。
思ったより角ばっているというか、真横から見ると謎のクルマ感が凄い。
ボンネットは軽にしては割と長くとられているほうだと思う。

向きが逆だが、前回乗ったウェイクと比べるとその差が分かると思う。
思想がある意味真逆なクルマである。

ホイールは16インチのアルミホイール。タイヤサイズは165/50R16。
軽に16インチとはすごい時代になったなと思いつつ、実際なぜかそこまで大きく感じなかったので人間の感覚は不思議なものだと思う。

ただ、その分小回りはあまりきかない印象。
最小回転半径は4.6m。NDロードスターと0.1mしか変わらない。
この辺りはもはや仕方ないことだろう。

内装。こんな写真しか撮れていなかったのだが、雰囲気ということで。

ところどころに赤色が差し色で使われているデザイン。フロアマットはチェック柄と、なかなかオシャレである。
(レッドインテリアパックという設定だったらしい。他にベージュとブラックのインテリアパックが選べる。)
ステアリングはダイハツ車ではほぼ共通のデザインのもの。
革巻きで高級感はあるが、なんとなく大きいように感じた。

空間的にはかなりタイトである。
エアコンの操作パネルは最小限の大きさに留められており、ナビはダッシュボード上側に追いやられている。
そしてここには写っていないが、パワーウィンドウのスイッチはサイドブレーキのレバー横(運転席と助手席の間)
どこで開けるのか数分間探してしまった。

メーターはこんな感じのアナログメーター。
真ん中のスピードメーターが腕時計の文字盤のようでなかなか好みである。

左側にはタコメーター、右側には燃料計。
必要な情報が分かりやすいメーターだったと思う。

ちなみにオートライト装備車だったのだが、オンオフの切り替えスイッチはステアリングコラムの根元にあった。これは気付かない人多そう。


乗ってみての感想とか

このクルマ、爽快である。
まず、乗っていて不満が一切ない。

流れのいい一般道、ちょっとした峠道、カーブ、高速道路と色んな所を走ったがホントに不満がない。
CVTはマニュアルモード付き。
そしてこのマニュアルモードの反応が良く、変速のモッサリ感がほぼ無い。
ホントにCVT!?といった印象。山道も、気持ちよく引っ張って走れた。

エンジンは660ccターボ。DVVTという可変バルブ機構が付いているタイプである。(名前こそ知っているが、どういうものかはよく分かっていない)
回転が上がるといきなりターボがかかって加速するみたいなドッカンターボではなく、低回転からじわじわ効いてくる感じのターボ。
プシュプシュと音がして面白かった。

マフラーは2本出し。純正だと思うが、なかなか良い音がしてビックリ。

ブレーキのタッチも良好だった。よく止まるし扱いやすい。
足回りもかなり考えられているようで、不快感が全然ない。
これは…立派なツーリングカーです。

ただし気になったのはハンドル。
割と重めな味付けで安定感はあるが、やっぱり気持ち大きい気がする。
車内が狭いので余計に気になったのかもしれない。

助手席から

でもやはり、この開放感は素晴らしい。
自然と一体となり、風を感じて走ることができる。

ただし、ロードスターと違ってルーフの開閉は電動。
20秒ほどかかる上、クルマが停止していないと開閉できない。
ちょっとした信号待ちで開けようと思って開閉スイッチを押したら青になってしまった…なんてことは実際ありそうだし、少し注意が必要かも。


荷室問題

コペンのルーフの開閉スイッチはサイドブレーキレバーの横あたりにある。(運転席側のパワーウィンドウスイッチと並んでいる)

そのスイッチを押すと変身状態に入るのだが、その屋根はどこに行くのかというと荷室である。

クローズ時は問題ないのだが、荷室に屋根を収納すると(要はオープン状態)荷室の2/3以上が埋まる。
大きめのカバン1個でも正直ギリギリだと思う。
いや、カバンはカバンでも中身が柔らかければいいのだが、パソコンだったり、自分みたいに一眼カメラだったりと、硬いもの(というか電子機器系)を入れているとちょっとヒヤヒヤするかも。
1人で乗っているときは助手席に置けばいいのだが、2人だとそうもいかない。

2人でちょっと遠くの旅へ。
2泊3日の荷物をトランクに積んでオープンにして出かける、というのはちょっと厳しいと思う。

でもそれはある意味必然で。
前に乗ったロードスターと違ってコペンはハードトップなので、収納時にある程度スペースを取るのも構造的に仕方ないことなのだ。
楽しさにはある程度の犠牲が伴う。それを理解して乗るべきである。

ロードスターはソフトトップ(幌)だったので収納時も荷室を食わなかった
コペンにソフトトップ仕様の設定はない

いいところ

丸目のコペンを復活させたこと。
当時の雰囲気とは若干違うが、良い感じに現代風になったというか。可愛さを持ち合わせつつクール感をも感じさせるデザインが素晴らしい。

走りに関しても不満がなく、ホントに軽!?ってくらいの感触。
高速巡航も問題なくこなせるし、長距離でも苦にならない。
車内の狭さを許せれば、ずっと付き合っていけるクルマだろう。

あとは、前述した通り着せ替えパーツがあること。
価格的に現実的かどうかは人それぞれだが、少なくとも新しい楽しみ方のひとつではあるだろう。個人的には面白いアイデアだと思った。


わるいところ、微妙なところ

軽自動車に、オープンスポーツカーの楽しさを。
そのコンセプトがすべてのクルマだ。ケチをつけるのは無粋だろう。

でも、どうしてもやっぱりオープン時の荷物の載らなさは個人的にはキツかった。荷物(と同乗者)を極力減らせば問題はないのだが。
シートの後ろもスペースがないので、そこに物を入れるわけにもいかない。
少なくとも、気を遣わねばならない上司を隣には乗せたくないクルマ。


その存在、唯一無二

良いクルマだった。
走っていると、つい目で追ってしまう。
そんな魅力が、このクルマにはあると思う。

ただ、最近の軽の走行性能は結構上がっている印象なので、軽でも走りは捨てたくない!と思っても、正直普通に売ってる軽自動車で十分な気がする。
数年前に現行型の日産デイズで山道を走ったが、不安定さがほぼなかった。

そんな世の中、それでもコペンが存在しているのは、コペンという存在が唯一無二のものだから。
S660が生産終了した今、現状新車で買える軽のオープンカー(スポーツカー)はコペンしかない。

軽自動車に、オープンスポーツカーの楽しさが備わる。
令和の時代、しかも新車で。
その事実に意義を見出して買うべきクルマだ。

"軽自動車の枠"で、このスタイル、そしてコンセプトを実現するためには、色々なものを削らないといけない。
全長3.4m、全幅1.48mの制限がある中でそれを実現させるなんて、血の滲むような努力だっただろう。
だから代償といってはなんだが(個人の感想だが)車内は狭いし、オープンだと荷物を載せるのも厳しい。

軽オープンに実用性も兼ねたいなんて、そんなのは夢の話だろう。

実用性で考えれば、他に良いクルマはいっぱい世に出ているのだから。

だから、ここで提案したい。

せめてあと10cm、いや20cm長ければと思ってしまう。
幅も、もう5cmか10cm欲しい。
その差で、完全に別のクルマになるのだから。

軽自動車という前提を無視しているが、新規格として800ccくらいのエンジンで軽を一回り大きくしたような大きさの規格を作ったらどうか。
そうすれば、クルマはもっと面白くなると思うのだ。

完全なる偏見だが、軽自動車の規格は、どうせ軽なんて乗らないお役所の方々が考えた規格だと思っている。
だから、そのお役所の方々にはぜひコペンに乗ってみてほしい。
軽の規格でこのコンセプトを実現させることがどんなに難しいか、そして限界があるかを身をもって感じてほしい。
その上で、規格を追加してくれれば庶民の私からは何も言うことはない。


制限のある中で、究極の走りの楽しさのコンセプトを実現した。
そんなコペンに、ぜひ。


今回は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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