大学生 つたねぇ文章

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子犬が家に来た日

子犬が家に来た。 ゲージを開け、室内に解き放つと小さな体は震えながら前進した。 匂いを嗅いで、歩き回る。 周囲の知らない人達が笑顔で自分を見つめている。 慣れない場所で、せめて居心地の良い場所を求めて彷徨いているように見えた。 6歳だった私は、自分よりもこんなに小さな生き物が、全身で未知の不安を感じていることに気づいた。 それはどれほど恐ろしい事なのだろうと疑問に思った。 考えたが、分からなかった。 想像がつかなかった。 せめて、この可愛い小さな生き物がこの家で暮らしやす

    • 話し合いの出来ない父と母

      近くのスーパーへ車を停めた。 話し合いに埒が明かないので、一度車を停めて話し合うことにした。 車には私と母と父の3人。 同意見の私と母、そして対立する父親。 何を言ってもだんまりを決め込む父、融通の効かない父、人によって損得を考え判断する父をみて、私は泣いた。 それをみた母は、泣いている娘を、これみよがしに父に訴えた。母は酷く興奮状態だった。泣いてる!可哀想に!これを見て意見を変えないのか!と父を責めている。 涙が止まらない。そんな言い方はないだろう。冷静さを失って

      • 父親の悪口を思う存分に綴ってみた

        私は父親が嫌いだ。 酷く頑固で他人からの指摘を受け入れようとしない。自分の能力が高いと過信していることから、自分の考えが正しいという愚かな思考の元、人の意見に耳を傾けない。その姿勢はむしろ人間力の低さを示していることに気がついていない。 自分にとって都合の悪いことや不満に思ったことに対し、全て「つまらん」などと発言する。 思い通りにいかず納得できない事柄に対して過剰に「面白くない」と評価するだけである。 誰もお前からの評価など眼中に無い。思うのは自由だが、発言だけでも控え

        • 表現の世界に溺れたかった

          ピアノを弾いてるのは楽しかった 自分の好きなように心の内を演奏にのせて表現して弾けたから でも小学校高学年になってピアノの先生の教え方が変わってしまった 技術の向上を目的とした鍛えるような練習になった 時には叱咤されるようなこともあった 私の弾きたいピアノじゃなかった 今まで通りに私のピアノは弾けないなと思った ダンスを習いたかった 頼んだが習わせて貰えなかった 子供ながらに考えて中学受験合格をもちかけて交渉することにした 母は約束した 約束してくれた 合格したが

        子犬が家に来た日

          死にたくておかしくなりそうになった日

          気が狂うほどに死にたいと思った日があった。 一日中だったのか、あるいは午後からか、もしくは夜だけの事か、今では記憶が曖昧になっている。 だが、はっきりと覚えているのは「死にたい」という感情に支配された自分が居たことだけだ。 いや、正しくは自分というより完全に自分以外の何かが心にいるという感覚だった。″黒い形をした化け物のような何か″が私の心の中にいて、「死のうよ」と囁いてくるのだ。 私は、死にたくて死にたくて堪らなくなった。 堪らなくて、堪らなくって、生きている今が焦

          死にたくておかしくなりそうになった日