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2021年からしっかり映画を見始めたやつによる2022年3月映画ランキング

  • 2021年から映画をしっかり見始めたやつが、2022年3月に鑑賞した新旧混在の映画の中から5作品を選んで発表します

今年1月、「2021年から映画をしっかり見始めたやつによる2021年映画ランキング」を行いましたが、それの月次バージョン(ベスト5作品)です。

3月もたくさんの素晴らしい作品に巡り会えました。
では、早速発表していきます。


5位 「ファーゴ」

[あらすじ]
アカデミー脚本賞など数多くの映画賞を受賞したコーエン兄弟の代表作。借金返済のために計画した妻の偽装誘拐が、トラブルの連続によってやがて死者数人を出す凶悪事件へと変わっていく様子を描くミステリー・サスペンス。

なんだろう、レビュー等から事前に抱いていた印象と比べ、ものすご面白かった。
衝撃の「ノー・カントリー」でお馴染み、コーエン兄弟の作品。
私、映画って(というかそもそもアートって)、作品(具体)から意味やテーマ(抽象)をさりげなく(狡猾に)感じさせてくれるものが優れた作品だ、という根っこの思想があるんだけど、たまに、例外的な本作のような作品があります。
それは、テーマとかはなかなか読み取れないけど、その物語が純粋に面白い作品。言い換えると、具体を具体のまま味わえる作品というか。
もう、冒頭から最後まで、「思慮が浅い」やつらがひたすら躍動するだけのお話なんだけど、その「思慮浅野郎」どもと世界が鳴らす不協和音がいちいち面白い。
それでいて、決してコメディー寄りなモードで描くわけではなく、「ノー・カントリー」のときのような、非常に淡々とした、切迫感と閉塞感で充たされたような「ヒリヒリ」した感じで描くのが、これは作家性なんだろうなー。そして私はこのモードがめちゃくちゃ好きだ。クール。

人を選ぶかとは思うが、個人的には強くおススメ。


4位 「マリグナント 凶暴な悪夢」

[あらすじ]
ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人を目撃するという「悪夢体験」に苛まれはじめるマディソン。予測不能な素早い動きと超人的能力で、人々を殺していく漆黒の殺人鬼。彼女が夢の中で見た殺人の数々は、現実世界でも起きてしまう――。 殺人が起きる度、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現場を疑似体験し、少しずつ自身の秘められた過去に導かれていく。そして、ついにその邪悪な手がマディソンの元へ届くとき、その“狂暴な悪夢”の正体=G が明らかに…!?

笑。最高。
なんかもう、感想は「ブラボー!!」以外思いつかない笑
私、以前の別作品のレビュー時に、「最近、映画におけるパワーと勢いってホント大事な要素だなーとよく思う」という趣旨のコメントをしていますが、今回はまさにそれ。
監督ジェーズム・ワンの「とにかく問答無用でホラー映画ファンを楽しませたい!そのためには手段は問わない!ほらー!どうだー!楽しいだろー!!」ってテンションの熱量が凄すぎて、もうほんと細かいことはどうでもよくなって来て、最後はただただ面白い、という凄い映画になっていると思う。
今回、粗はかなり多いと思うが(ストーリーテリング上クリティカルなやつも多い笑)、ここまでサービス精神と熱量がこもってる映画の場合、まさに「あばたも笑窪」で、その「粗」混みで愛しくなってくるという、新しい生理になることにも気づきました笑。
一応中身についても触れておくと、(他のレビューでもよく言われているが)前半は比較的クラシカル・ホラーなモードで進展するも、途中から妙な雰囲気が胎動し始め、「あれ?これってこういう話?それともああいう話?」なんて想像していたら、最後にそのどれでもない、方程式の次数を数段階高めたレベルの解をぶち込んでくるような、そんな内容です!
最後、例のものを「具体的な形として」網膜に叩き込まれて以降の怒涛の映画体験は、これまでの我が映画人生史上でもなかなか類を見ないレベルかも。「お洒落でクールなソリューションがあると思った?なめんなよ!!」というジェームズ・ワンの矜持を見せつけられたような感覚です。


3位 「ドロステの果てで僕ら」

[あらすじ]
とある雑居ビルの2階。カトウがギターを弾こうとしていると、テレビの中から声がする。見ると、画面には自分の顔。しかもこちらに向かって話しかけている。「オレは、未来のオレ。2分後のオレ」。どうやらカトウのいる2階の部屋と1階のカフェが、2分の時差で繋がっているらしい。“タイムテレビ”の存在を知り、もっと先の未来を知ろうと躍起になる仲間たち。さらにカトウの意中の相手メグミや5階に事務所を構えるヤミ金業者、カフェに訪れた謎の2人組も巻き込み、「時間的ハウリング」は無限ループに陥っていく......。

「2分の時差」というのが絶妙。
1年とか10年とかの時差であれば、なんかタイムパラドクスものとして既視感があるというか、なんとなく話の展開もイメージできそうなところ、「2分の時差」ってそのズレをストーリーテリングの中で面白く調理できんの?となる。
で。結果して。
ものすご完璧に調理してました。面白かった・・・。
例えばですよ。バック・トゥ・ザ・フューチャーであれば、30年前の過去に行った場合、「若い頃の自分の親と会えるよね」みたいなことが分かりやすいんですよ。「タイム・パラドクスの結果もたらされる事象」が想像しやすい。その上で何が起こるの?っていうところで面白さを追求しているわけです。
一方本作、「2分の時差」という設定から「それって具体的にどうなるの?」ってところが見えにくいため、話が展開していく度に「あ、そっか。なるほど!2分の時差があることでこうなるのね!」みたいに「タイムパラドクスに関する理解がロジカルに進んでいく」ことと「その結果もたらされる事象の面白さを味わう」という2要素が絡まり合いながら進展していく非常に奇妙な鑑賞感。ここがめちゃくちゃ新鮮。
ほいでまたこの話の展開がちゃんと面白いんだ。
ちょっと途中タイムパラドクスのロジックが難しくて、多分着いていけなくなる人も多いと思うけど(自分も含めて)、それでも面白い。よくこんなこと思いつくよなー。
一点、演技のテンションが「完全に劇団」なので、映画のフォーマットで観ているとかなりの違和感があるが、元々のリアリティーライン自体が低めの映画なのでまぁ良いでしょう。
1時間強でサクッと観れるし、終わり方も素晴らしく鑑賞後の余韻も良い。
かなり良い映画。いろんな人にお勧めしてみたい。


2位 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

[あらすじ]
リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。 そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。

結論から言います。
過去の映画体験で最もエキサイティングなバイオレンスアクションシーンを観た!!
終盤まで、相変わらずストーリーラインがよく分かんないし、タランティーノ監督作品では結構そういうこと多いとは言え、本作はその色が特に強いなー、と思ってました。非常に場当たり的にシーンが継ぎ接ぎされていく感じ。
まあ、私、タランティーノ監督の「映画的語り口」自体が嫌いではないので、それでも退屈せずに十分見れるんですが。
ほいでこれ、後で監督インタビューやらいろいろ読むと、そもそも物語を語る気ゼロな感じみたいですね。
60年代ハリウッドの空気感をそのままパッケージングして提示する、といったコンセプト。
あと、シャロン・テート事件とか全く知らずに見たけど、今考えるに、これはさすがに知っておくべきだった・・・。これを知って見れば、ただでさせエキサイティングだったクライマックスからラストのシーン、全く違った感動を得ることが出来ただろうに・・・。
とは言え。それを知らずとも、冒頭で述べた通り、クライマックスのバイオレンスシーンがやべぇ。。。デス・プルーフinグラインドハウスもやばかったけど、それ以上では。
なぜタランティーノの描く暴力はこんなに最高なんだろうか。とにかく、本当に腹の底からムカつくような、「完全に暴力を奮って良いと我々が信じられる存在」を準備した上で、そいつに対して真っ向から執拗に暴力をぶつけていく、という描写。
まじで純度100%で「ざまぁ見晒せこのド外道がっ!!」と思わせてくれる仕事ぶり。
改めて思う。いやぁ、暴力って、本当に素晴らしいものですね。。
ということでラストだけで十分過ぎるほど楽しめた。またちょいちょいラストのところ見直そうっと。


1位 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」

[あらすじ]
“スター・ロード”ことピーター・クイルをリーダーに、凶暴なアライグマのロケット、マッチョな破壊王ドラックス、ツンデレ暗殺者ガモーラなど、たまたま出会ったノリで結成された宇宙の“はみ出し者”チーム、<ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー>。小遣い稼ぎに請けた仕事をきっかけに、強大な力を持つ“黄金の惑星”の指導者アイーシャ率いる無敵艦隊から総攻撃を受け、彼らの宇宙船ミラノ号は壊滅寸前に…。間一髪、ガーディアンズを救ったのは“ピーターの父親”と名乗る謎の男エゴと、触れただけで相手の感情が分かる能力を持つマンティスだった。仲間からの忠告にも関わらずエゴに魅了されていくピーターの姿を見て、次第にチームの絆に亀裂が…。そこへ“ピーター育ての親”ヨンドゥが率いる宇宙海賊の襲撃や、さらに銀河全体を脅かす恐るべき陰謀が交錯していく。はたして、ピーターの出生に隠された衝撃の真実とは? そして、彼らは絆を取り戻し、銀河を救うことが出来るのか? その運命の鍵を握るのは、チーム一小さくてキュートな、ガーディアンズの最終兵“木”グルートだった…。

や、やられた・・・。まさか本作に泣かされるとは・・・。
前作が超絶ナイスな作品だったので期待して観てみたけど、期待を大幅に上回る最高の胸熱映画でした!!個人的には、前作よりも好きかもしれないです。。
まず、オープニングから最高。「よっ!みんな戻ってきたな!」とアゲてくれるのはもとより、ユーモラスな雰囲気、映像としてカラフルで華やかな感じ等々、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの良さが全て詰め込まれたようなオープニング。この「ピントが合っていない向こうのほうで敵と闘ってる感じ」って、ほんとなんか楽しい演出だよなー。
あと、前作を経て、私も彼らのそれぞれの個性や関係性への理解が進んでいるので、自然と「キャラもの映画」としての比重高めで鑑賞することとなってたけど、そういう意味ではかなり古典的と言って良いほどの「キャラもの映画ならではの胸熱演出」テンコ盛りで、自ずとテンションが上がる仕上がり。(最初はいがみ合っていた2人が・・・とか、そんな類のやつね)
「目が楽しい」というような華やかでポップな画面作りに、アクションシーンなどの動的なシーンではそこにコミカルな演出がふんだんに盛り込まれ、もはや「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー節」と言って良いような見た目にも意味的にも楽しいシーンの連続。
途中、「あぁ、キャラもの映画として盛り上げるために各々の心理描写に力を入れてるので、前作より物語の展開のテンポが若干悪いかなー」と思ったものの、ラストシーンで大感動してしまい、それまでのネガティブな印象が全て吹っ飛ばされてしまった。(ヨンドゥ最高。お前が泣かせてくるんかい。。)それもこれも、丹念に人物の内面や関係性を描き出してきた賜物なので、結局本作の狙いが成功しているということです。
ということで、大満足の1作。公開が決定している続編が楽しみ過ぎる。あと、次のMCU作品「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」でアベンジャーズの面々とガーディアンズの面々が顔を合わせるそうではないか。垂涎ものです


3月のランキングは以上です。

【おまけ:次点】
・海よりもまだ深く

4月もお楽しみに!

↓ 以下、過去のランキングです!



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