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陰謀論は現代の妖怪か

何か大きな事件や環境問題、国家間の軋轢、科学的な発見、発明などがあると、数々の陰謀論が出現しますね。
コロナの時はワクチンに異物が混入しているとか、遺伝情報を書き換えて死に至らしめるとか、はたまた、そもそもそんなもの存在しないなど、実にさまざまな陰謀論が出てきました。
受け止め方もいろいろで「ちょっとはホンモノもあるのではないか」とか「本当だったら怖いな。不安だな」から、「絶対ヤバい!危険だ!」という100%盲信する人たちまで様々です。

とりあえず今は、真偽の程は横に置いておいて、陰謀論そのものについて考えてみたいと思います。

科学万能の世の中

今の世の中は良くも悪くも科学ありきの世界であることを否定する人はさすがにいないと思います。
科学とは、自然現象を適切に分析し表現出来る共通言語です。
共通認識とは、事象を観察し当て嵌まる理論を構築 / 展開し、論理的に正当性を証明し、追試験を経て、それが認められてやっと達成出来るものです。
このプロセスの積み重ねで生まれた言語が今の科学だということになります。
さらに言うと、科学に方言は無く全世界共通だとも言えます。

では、科学には間違いは無いのか?と言われそうですが、実はその考え方自体が間違いです。
今まで信じてきた理論よりも正確に事象を説明出来るなら、過去の理論はアップデートされます。(科学否定派の人はそこが理解出来てない)
当然、これまでに積み上げて来ている理論を否定するわけですから、正当性の証明はとても簡単なことではないはずですが、あり得ない話ではありません。
ニュートン力学と量子力学の軋轢は有名な話ですし、宇宙の誕生や超伝導などのような研究の先端分野では、数年で理論が変わってくることも珍しくありません。

逆に、誰かの思いつきをSNSで拡散し、100万人が知っていても先のプロセスを通っていない理屈は科学とは言わないし信ぴょう性も無い扱いになるのは誰の目にも明らかですね。

科学もアップデート

さて、ここからが本題です。
実は先ほどから述べている科学的な説明プロセスは、過去から積み上げられて来た理論を知らないと正しく読み解けません。
さらに、分野によっては数年で基本的な理論さえ書き換えられてしまうことだってあります。進歩が日進月歩な医療は特にそうかもしれません。
となると、情報を最新化し、理解し、目の前の事象と照らし合わせて正しい判断を下すこと自体、とてもハードルが高いと言えます。
当然、そこまで調べられる人は極々少数で、その人たち以外が持つ感想は「よく分からない」になるわけです。

妖怪と陰謀論

古来より、人は自然に対して畏怖の念を持っていました。
あらゆる事物に神が宿ると言う八百万の神は、まさに世の中の不思議全てを神に例え、この世は神秘の世界として捉えていたことの表れです。
夜の暗がりに何かぼんやり見える気がしたり、どこからともなく音が聞こえてきたら、昔の人は間違いなく妖怪の存在を意識したはずです。

それが科学により、暗がりが消え、目に見えない世界が縮小して来ました。
分からないモノが減って来たわけです。

ただそれも一時的なことでした。
科学の理論が複雑に高度に発展してくると、理論を追い切れず、理解出来ない現象、事象が一気に増え始めました。
高度になればなるほどブラックボックス化が進むわけです。
科学万能といわれ理論的には分からないことが減る一方で、今度はブラックボックスが不可思議の中心になって来たわけです。

自然への畏怖と理解し切れない膨大な理論、ひいては妖怪と陰謀論に「よく分からないもの」という共通点があるように見えませんか?

つまり、陰謀論とは科学から生まれた現代の妖怪と呼べるのではないでしょうか。

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