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AI Quest 2020に参加してみて

経産省主催AI人材育成プログラム「AI Quest 2020」(https://signate.jp/lp/ai-quest/2020)を無事修了したので、その感想をつづっていきたいと思います。同じやり方で継続されるかはわかりませんが、次年度以降に参加される方の参考になればと思います。

参加条件は?

学生、社会人問わず参加できました。参加費は無料です。

一応選考があり、別途事前課題を解いて、ある程度スコアを出しておくと選考通過しやすくなるようです(必須ではないため未提出者で選考通過した人もいたし、提出者で通過できなかった人もいるらしいです)。

使用言語は指定されていませんが、参加者の多くがpythonを使用し、Jupyter notebookやGoogle colaboratory等でコーディングしていたようです。

AI Quest 2020とは?どんな課題をこなすの?

選考を無事通過すると、晴れてAI Quest 2020に参加できるようになります。
以下は公式HPからの抜粋です。

近年、AI技術が加速度的に発展している中、企業におけるAI活用のニーズが高まりを受け、特にAI・データを用いて企業の課題を解決できる人材が求められています。経済産業省は、こうした人材に対応した新たな育成プログラムを開発するため、2019年6月に政府で決定した AI 戦略2019 に基づき、2019年度から「AI Quest」を実施しています。

AI Quest は、従来の講師が一方的にカリキュラムを教える形式の手法とは一線を画し、企業の実際の課題に基づくケーススタディを中心とした「実践的な学びの場」において、参加者同士がお互いにアイデアを試し、学びあいながら、一人一人がそれぞれの体験として、AIを活用した企業の課題解決方法を身に着けることを目的としています。本プログラムを受講することにより、技術・知識としてAIを学ぶだけではなく、実際のプロジェクトに関わらないと身に付きにくい知恵を学ぶことができます。

参加した感想からいうと「ビジネス視点を持ちながら企業の抱える課題を(AIを使って)解決できる人材」を育成することが目的みたいです。運営側から参加者間交流に使えるツールを提供してもらい、それを活用しながら各自が自発的に学びあい、課題解決を実践するというプログラムになります。文系(マーケティング関係)・理系(製造業での予知保全等)テーマ混合の各4種類の課題が用意されていて、前半後半の約1.5ヶ月間でそれぞれ1つずつ選択し、各「ビジネス課題」「AI課題」「プレゼン課題」に取り組みます。

「ビジネス課題」:ストーリー仕立ての課題文や図表を読み解きながら、企業の抱える課題を分析する課題です。背景情報から「AIを使って何を解決するのか」「どういった指標でどんな目標を設定するのか」「必要なデータはどのようなもので、誰から入手するか」など、解決すべき課題と実施手順を検討していきます。

「AI課題」:「ビジネス課題」で解決すべき課題と評価指標が明らかになったため、提供された学習データをもとに各自で前処理やコーディングを行います。ここの期間は精度を競うコンペティション形式になっており、上位成績者には「AI課題優秀賞(表彰対象)」が用意されていました。

「プレゼン課題」:「AI課題」で得られた結果をもとに、企業の経営者を想定したプレゼン資料を作成します。作成したプレゼン資料は運営の用意した採点基準をもとに複数人の参加者同士で相互採点を行い、上位成績者には「プレゼン課題優秀賞(表彰対象)」が用意されていました。

その他、前半・後半のそれぞれで参加者同士の交流や学びあいを促進した一部参加者には「コミュニティ貢献賞(表彰対象)」が用意されていました。

AI Quest2020に参加してみてよかった点

① AI(ソフトウェア)の開発工程の概要を掴めた。
ソフトウェア開発をやったことがなかったので、要件定義からPoC(概念実証)までを一貫して体験できたことはとても勉強になりました。この辺りは独学で学ぼうとしても教材すらないと思うので、自分の手を動かしながらやるという意味でもよいと思います。

② AIを学ぶことができた。
開始当初、AIなんてほとんど触れたことがなかったレベルから考えると、約4ヵ月間という短い期間でずいぶん成長できたように感じます。ただただ知れたただけでなく、実際にコーディングする経験も非常に良かったです。

③ 他の参加者と交流して刺激を受けること、学びを深めることができた。
自発的に参加している方が多く、熱量の多い人と一緒に学びあうことができました。いろんなバックグランドを持つ人や仕事の話を聞くことができたのもよい刺激でした。特に東京開催であった前年に比べて「AI Quest 2020」はご時世柄、全日程オンラインでの開催であり、場所や移動時間の制約がほぼなく、参加者の人数も多かった点は大きな強みだったと思います。

こんな人におすすめかも

端的に言えば、時間やる気、熱意がある人です。あと、自ら積極的に他の参加者とコミュニケーションを取りにいけるかどうかも大事です。

AI未経験でも週末に参加者同士が意見交換できる場を運営側で定期的に用意してくれたり、有志が初心者サポートチャネル(2020年だけかも)を創設してくれたりと自ら動けば「AI課題」は何とかなると思います。何を目標するかにもよりますが、まじめに課題に取り組むのであれば土日開催の公式イベント含めて、かなり時間を割く必要があります。自分の場合、軽く見積もっても週10時間以上は費やしたと思います。

① AIに触れて概要を掴みたいビジネスマン
「ビジネス課題」と「プレゼン課題」はある程度会社勤めを経験したことがある人の方がドメイン知識があるため有利です。営業やコンサルなど、非理系職種の方もそれなりにいた印象です。

② 業務でAIに関わる可能性があるエンジニア
近々AIの導入検討するので予習したいという企業勤めのエンジニアや、フリーランス/副業でAI開発の仕事をやりたいという方が一定数いたように思います。人数限定でしたが、後半課題と同時期に「中小企業との協業課題(実際の中小企業と打ち合わせしながら実際の課題を解決する)」も存在し、実績作りや実務経験を積みたいという方もいました。

③ 就職活動を控えた学生
就活でデータサイエンティストや機械学習エンジニアを目指す人などが実績作りのため参加する方もありだと思います。運営側もロールモデルとして想定しているようです。

逆におすすめしない人

プログラムの趣旨からいって、「ビジネス視点を持ちながら企業の抱える課題を(AIを使って)解決できる人材の育成」ですので、純粋にAIの最先端技術を極めたいという研究肌の人には向かないかもしれません。このプログラムで扱う課題は、より具体的には「中小企業が抱える課題」であり、最先端技術とはマッチしづらいという点もあります。また、何より自発的に動いた分だけ学べるプログラムですので、人とコミュニケーションとるのが苦手な人や受け身な人も多くを学べないかもしれません。

おまけ

さらに詳しく知りたい人は、下記にAI Quest 2019(前年度)の報告書が載っているため読んでみるとよいかもしれません。運営側も新しい試みとして挑戦している真っ最中であるため、その点は留意しておいた方がいいです。

https://lp.signate.jp/ai-quest/images/ai-quest_report.pdf

(追記)
2021年4月12日に教材内容例と、実施報告書が新たに公表されてので追記します。参考にして下さい。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/AIQuest.html


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