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《寄稿》新卒のみなさんへ、「錯覚資産」を利用してチャンスを掴もう!

■はじめに

「全国の書店員が選んだ、本屋大賞受賞!」
出版不況の中、この賞を受賞すると本がめちゃ売れる。多くの人が「書店員が選んだのだから面白いはずだ」と思って手に取るからだ。
でもそれは「書店員=本に詳しい」という受け手側の勝手なイメージによるもので、中には本をあまり読まない書店員や書店員になって1ヶ月目のパートの人がいるかもしれない。
これは、人間の認知バイアスを利用した好事例なのだ。
このような、受け手側の都合の良い勘違いを「錯覚資産」(*1)という。

ビジネスのシーンでも実はこういうことがよくある。
ビジネスの現場では、実力があっても成果を出せないこともあれば、実力以上に評価されることもある。
それは、なぜか?
本当の実力なんて誰にもわからないからだ。

学生までは、試験によって能力が図られるので、知識や処理能力などの実力で、ある程度合理的に評価されてきたはずだ。
しかし、社会人になったら、不合理で、感情に影響を受けた評価がされることもある。
それを理不尽と捉えるか、上手く利用してやろうと捉えるかはあなた次第だ。

学生と社会人ではステージも違えば、戦い方のルールも違う。
少しでも早くルールを知って、素敵なビジネスパーソンの道を歩んでほしい。
新卒のみなさんにとって、少しでもヒントになることがお伝えできれば良いと思う。

(*1) 「錯覚資産」は、『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』という本の中で定義された概念です。


■錯覚してもらう

錯覚資産は嘘やハッタリではない。あくまで成果などの事実に基づいている。
自分自身で成果を誇張することでもない。
成果を、周りの人々が勝手に過大評価してくれる、ということだ。


■錯覚資産の良いところ

錯覚資産の良いところは、周りの人々が勘違いしてくれることによって、チャンスをたくさん与えてくれる、ということ。
「あいつは前のプロジェクトで○○の成果を出したから、今回のプロジェクトのリーダーを任せてみよう」とか。
良い上司、良いクライアントがいる環境の方が成果を出しやすいので、チャンスは大事だ。与えられたチャンスで頑張ることで、本当の実力は勝手についてくる


■錯覚してもらえるような7つの具体的行動

錯覚してもらえるかについても、いくつかポイントがあると思うので、具体的な行動をまとめてみた。


①祈るよりも、サイコロを振ろう
錯覚資産を形成するためには「成果」が必要だ。「成果」を出すためには運の要素もあるので、とにかくたくさんチャレンジしてみることだ。
1分間でたくさん「6」を出した方が勝ちというルールなら、「6」が出ますように...と祈るよりも、とりあえずサイコロたくさん振った方が「6」はたくさん出る。

②あなたの得意武器は?
戦士なら剣や斧、魔法使いなら杖やステッキ、といったように誰にでも得意な武器はあるはず
ただ闇雲に「成果」を出そうと思っても効率が悪い。
最初にわかりやすい成果を出せば、あとは楽勝だ。まずは成果を出しやすそうなところから始めよう。

③スピードという威力
ビジネスにおいてスピードには価値がある。
クライアントからの依頼に即座に応えると、「話が早くて助かる」だけでなく「やる気があるな」と別の良いイメージも持ってもらえる。これも錯覚資産だ。
不思議なもので、返信が早いという事実だけで、なんとなく「仕事できそう」となる。逆にいつまでも返信しないと「ん?」となるので注意。

④相手を徹底的に理解する
相手の立場になって考えられるか、は仕事をしていく上で重要なポイントだ。
認めてもらいたい人(クライアントや上司)がいるなら、その人のことを徹底的に理解することだ。
前職時代、事業部でもっとも怖いで有名な先輩(愛称は「アニキ」)のチームに自ら手を上げて参画したことがあった。
最初のうちは怒られたり、呆れられることもあったが、その人が大事にしている価値観や気にするポイントがなにか?を常に考え、仕事のやり方から口癖まで真似していた。
そのうちに、勘どころがわかってきて、気づいたらその人に認めてもらえた。
その後、別のチームに行ったときは、「アニキ」のチームにいたから忍耐力はありそう、と勘違いしてもらうことに成功した。

⑤Win-Winを作る
Win-Winを作れると成果に繋がりやすい。
スポーツでは勝つか負けるか、だけど、ビジネスには両者とも勝ちが存在する。
自分の成果や自社の利益を出したいなら、相手の得もセットで考えるべきだ。

⑥信用を築くのは時間がかかるが、失うのは一瞬
わかりやすいのが遅刻などの時間や約束を守らない行動。どんなに良い提案でも約束を守れない人の提案は聞く気にならない。こうなると成果は出しづらくなってしまう。。
自分には、「先に入った人と会う予定は動かさない」という鉄の掟がある。重要度によって予定をコロコロ変えると相手に迷惑を与え信用を失う。そもそも重要度なんてものはあてにならない。自分は犠牲にしてもいいが相手を犠牲にしてはダメだ。相手への配慮が大事だ。

⑦小さな成功体験→自信を得る、の好スパイラル
自信がある人は、なんとなく安心感がある。たくさんのチャンスを貰えるはずだ。
自信を持つために裏技はない。目の前のコトに集中して小さな成功体験を積み重ねることだ。それはどんな小さなことでもいい。
会計士試験に落ちて、「俺は本気のバカだから一生受からないのでは?」と落ち込んでいた時期に、リハビリな感じでスマホの『数独』で遊んだ。
すると、割と上級問題も解けて、「そこまでのバカではないかも」と少し自信を取り戻した。
これから、上司から叱られたり、周りの同期とついつい比べちゃって落ち込むことがあるかもしれない。そんなときは、まずひとつ小さな成功体験を作ろう。

最後に

錯覚してもらうには、「成果」が必要だ。
成果を出せるタイミングや成果の大きさは人それぞれ。なので辛抱が必要なときもあるだろう。チャレンジの数だけ失敗もあるはずだ。そこで諦めないでほしい。
自分も会計士試験に何度か落ちたけど、合格したら過去の失敗はすべて吹っ飛んだ。
今、周りからの期待に震えている人もいるかもしれない。たくさん失敗していい。失敗しながらも前に進んでいけばきっと成果は出るはずだ。
皆さんの活躍により、気持ち良いくらいに錯覚させてもらえることを願っている。


文責:執行役員 田坂 一樹

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