《寄稿》新卒の君たちに伝えたいこと「人は変わる ~諸行無常の響きあり~」
「人は簡単には変われません!」と誰かが言った。
一方で、哲学や仏教の世界では古来より「万物流転」「諸行無常」といった、物理的にも精神的にも変わらないものはないということが真理として伝わっている。
人は変わりたいのに変われない、というのは「現状維持バイアス」やフロイトの「原因論」のような、過去の原因によったり、リスク回避的に現状を維持したいという人間の性質があるからだ。
実際には、変わらないことは結構難しい。ラーメン屋の味が変わったとか、大ヒットした映画の「●●Part2」があんまり面白くないとか、そういう話はよく聞く。
ラーメン屋や映画監督は変わらないために変わり続ける努力をしているのだ。アンチエイジングなどもそうだ。
僕は、新卒で食品メーカーに入社し5年半経理や子会社の経営企画などを担当し、その後ベンチャーの世界に飛び込んでフーモアがベンチャー2社目だ。今は、今までお世話になった人たちに恥ずかしくないくらいに少しは成果を出せているかなと思うが、それまでは失敗や上手くいかないことの連続だった。
新卒最初の工場研修のクライマックスのプレゼンで根拠の無い自信と空気の読めなさから烈火の如く怒られたり、ベンチャーに転職した当初は大企業での成功体験が抜けず全然成果が出ず期待ハズレと言われたり、初めてマネジメントを経験したときはメンバーと毎日のように言い争い上司からはマネジメントに向いてないと言われたりした。
今でこそ、「メンタルめちゃくちゃ強いですね」「それは生まれ持った才能ですね」とよく言われるが、元々そんなわけがない。
直近でこそ自覚するが、何なら以前は弱いと思っていた。小さいときから野球をやっているが大事な場面ですぐエラーするし、最初にベンチャーに飛び込んで成果が出ないときは、精神的な原因から体調不良にもなった(必死に隠してたので、多分すごく身近な人しか知らない)。
どうして僕は変わったのか。
ハードワークによってスキルやテクニックが一定身についたというのももちろんあると思うが、そうではない視点から、「万物流転」「諸行無常」の世の中で、ベンチャーという特に変化の激しいフィールドを選んだ君たちに、僕が大事にしてて最強だと思う3つの武器を授けたい。
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■最強の武器①「チャーミングさ」
著名な経営者はよくチャーミングだと言われるし、経営者にはチャーミングさが必要だとも言われる。
先日、僕の地元新潟ではとても有名なNSGグループの池田弘会長と2度程お話しさせていただく機会があったが、とてもチャーミングだった。
笑顔が素敵で大企業経営者にも関わらず気さくで話しやすい、少しお話ししただけでファンになった。これこそ経営者に必要なチャーミングさだと思った。
経営者はもちろん、若い社会人こそチャーミングさを持って欲しい。
なぜなら、まだできないことがたくさんあり、変化に向けたチャレンジの中で失敗することがたくさんあるからだ。そのときにチャーミングさがあれば、「まあいいか、教えてあげよう、応援してあげよう!」となるからだ。
■最強の武器②「自信、エフィカシー(自己効力感)」
自信を持てとは一般的によく言われるし、今までも言われてきただろう。また成功体験もあるだろう君たちは一定の自信やエフィカシーを持っているかも知れない。それでもなお、僕は自信やエフィカシーが大事だと言いたい。
ちなみに、エフィカシー=自分自身がある目標を達成することができるという認知だ。
脳科学においてはこのエフィカシーが非常に重要だ。なぜなら、何を達成するかは、ほとんどの場合何を信じているかによって変わるからだ。
つまり変化できる人は、自分が変われると信じる人だ。
これから幾度も業務上の失敗、理不尽な状況、人間関係の失敗などがあり、夜眠れなくなるくらい悩むこともあるだろう。そんなときにそれを糧にして前進できるのは、エフィカシーを持っていて自分を信じることができる人だ。
■最強の武器③「周囲の人」
「人間は、いつも周りにいる5人の平均をとったような人になるものだ」アメリカの起業家のジム・ローンという人が言った言葉だ。ここまで極端ではないかも知れないが、人間の成長が周囲の人に促進や制限されるのは間違いないだろう。
僕は「チャーミングさ」や「自信、エフィカシー」を与え、支えてくれるのも周囲の人だと思っているし、自分自身がそれらを持っているからこそ、それらを与え、支えてくれる人が引き寄せられるというスパイラルがあると思う。
赤ちゃんはまさにそれができている。チャーミングだし、寝たいときに寝る、おむつを替えてほしいときに替えてもらうなどできると信じて振る舞っていると思う。だから、親を含め周囲に人が集まるし、無条件に愛し応援される。
社会で結果を残した人の多くが周囲の人に恵まれたと言っている。
それは自らが先ず与えその環境を作っているからだし、その結果として人の縁に恵まれ周囲から多くを得ているからだ。
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僕は周囲の人に恵まれたと思っている。厳しくも可愛がってくれた上司や先輩、どんなときも応援してくれる家族や友人などがいたからこそ、失敗や困難な状況を楽しみ乗り越えることができた。
僕はその人たちから色んなものを得られるようにしたし、得たものをもとにエフィカシーを高め変わっていった。
人は変われる、というか変わるものだ。
明日の自分は今の自分とは違う。それは物理的にも精神的にも。
・書店で目にとまった本を買って読んだ明日の自分
・めちゃくちゃ忙しいときに面倒だなと思う仕事を振られそれをやりきった明日の自分
・道に迷っている外国人に道案内をした自分・・・など
これらによって変わったと思うか変わらないと思うかは君たち次第だ。
シェイクスピアはこう言っている。
良いも悪いもそれをどう考えるか次第だと。
「There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.」
戦略的にチャーミングさを使い、エフィカシーを高め、応援してくれる上司や先輩、社外のファンをたくさん作って進化していって欲しい。
そして僕もそんな君たちの一ファンとして全力で支え応援していきたいと思っている。
文責:執行役員 村井洋元