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ブックオフと強烈な出会い

「ぃらっしゃいませエ〜!」
「っしゃいませえ〜」

若干の埃の匂いと紙の匂いが混ざっている。
別に見てないだろうけど一応軽く店員さんに会釈。

さて、今日は何を買おう。
特別狙っているものは無い。そういう時に限って、
本も服も靴も案外良いものに遭遇する。
世界は大体そんなふうにできている気すらする。
バイト中「今日ヒマじゃん」と口に出せば後々地獄を見るように。

小説コーナーにはおじいちゃんが2人と
40代ぐらいの男性が1人。

手にとって、戻し。手にとって、戻し。

何を基準に選ぼう。
今日みたく特に探し物や獲物がない時には背表紙をなぞるように見ていって、あとは視線が止まる場所に身を任せる。

ぴた、

「わたくし率イン歯ー、または世界」

なにそれ。
手に取る、裏返す。

人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、では無く歯____

は?歯?どゆこと?何言ってんの?

人並みはずれて健康な奥歯、であることを決めた<私>は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをらリズミカルな独創文体で描き、芥川賞候補となだた表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。

…?何も分からんが凄そうなのは分かった。
とりあえずこれはキープ。
そして結局この本は見事レジに通された。



Q.第一印象はどうでしたか?
 A.題名のキャッチーさと語彙、そしてその組み合わせ(造語)は目を引きました。

Q.レジ通過のポイントは何だったんでしょうか?
 A.やはり裏面にあるあらすじの1文ですね。

Q.やっぱり(笑)問いかけた挙句、さらに疑問を持たせてくるスタイル。
 A.そうですね。その後「哲学的テーマ」とあるのでそこでも興味を持ちました。加えて、前後しますが恋愛的な要素もあるのかな…?と。
 恋愛小説が読みたいわけでは無かったのですが、先ほどの1文目と“恋愛小説”との距離が遠すぎて。どう展開していく文章なのかが気になりましたね。


そんなこんなで、私は予期せぬ良い出会い(それは本でもあり“人は脳で考えているのではなく歯で考えている”という思想でもある)を得たのです。
読み終えるのが楽しみです。
めでたしめでたし。

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