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「虎に翼」を見て考えたこと

私は朝ドラを今までリアタイをしたことがなかった。通学や通勤で8時台に家にいることがなかったので、そもそも見ることができなかったし、15分の短いドラマを見ると次回が気になってしまって見続けられないと思っていた。

しかし上海に来て、「あまちゃん」を去年初めて見て、朝ドラの面白さに気づいてしまった。15分の中に詰め込まれる展開が絶妙だ。

ドラマ好きの友達から今年の朝ドラは面白いよと言われて、4月から見始めた。初めてのリアタイ朝ドラ。

それが今話題の「虎に翼」である。

これは日本で女性初の弁護士となった三淵嘉子さんの一生をモデルにして脚本が作られている。

戦前である1930年頃、日本の女性が社会の中でどう生きていたのか、が細かく描かれている。

わずか90年前までは女性の社会進出は一般的ではなく、女性は結婚して家に入り家を守ることが”幸せ”な選択だと信じられていた時代。
そして女性は結婚したら「無能力者」として扱われていたこと。
まだ女性の権利についての議論が不十分だった時代。
法曹界でも女性はその権利がなく、ようやく女性にも司法試験を受ける権利が与えられた時代。

この激動の時代に女性初の弁護士となり、先駆者となった「寅子」を毎日応援しながら見ている。

半世紀以上も前の時代が描かれているが、今の時代にも共通している問題がかなりある。

女性の幸せとは何か。結婚することなのか、社会的地位を獲得することなのか。

ドラマの中では、寅子の「はて?」とそのまま受け止めないで一度疑問を持つ時間が与えられる。

女性が家事や料理をするべきだ、と私自身全く疑いもせずに刷り込まれてきた考え方があるのだと気付される。

現代を生きる私たちにたくさんの疑問を投げかけてくれる。そして寅子の物事へ疑問を持って、自身の信念を貫く姿勢に勇気をもらって毎日過ごすことができている。

出てくるキャストの方々皆個性的で、しっかり意見があって、展開も早く見ていて全く飽きない。まだ見ていない人がいたら、勧めるくらいオススメなドラマ。

私はこの寅子のモデルとなった、三淵嘉子さんについての本が読みたくて、一時帰国した夫に本を買ってきてもらった。


神野潔さんによって書かれたこの本には、三淵さんの一生が時系列に沿って書かれているのが、三淵さんは「女性のために」と常に働いていたわけではないことがわかる。

三淵さんは、「女性であるという自覚より人間であるという自覚の下に」人権は全ての人にあり、裁判所はすべての人に開かれたものだという認識が強かった。

戦争を経て、裁判官になってからも同じように考えられていたということがわかった。

私は、女性の権利を主張することはとても大切であり、その権利はどんどん主張すべきだと思っていた。

しかし、少し話は変わってしまうのだが、夫が以前「男女平等というけれど絶対的に平等ではないと思う」「男性生まれてから女性みたく優しくされたことがない」「例を挙げると女性みたいに女性専用車もない」と言っていた。

私はその時、「男女平等ではないからこそ、平等であってほしい労働環境について女性が不利に働いてしまう部分を補うために権利を主張するのはいいことだ」と言った。
生理休暇や産休、育休についても同じように言えると思ったからだ。

でも確かに女性の権利ばかり主張していたら良くない。
産業保健でも「働く女性ばかりだけでなく、企業全体の働く人を考えて、バランスが大事」だということを学んだ。

戦後女性はどんどん社会進出し始めて、生きていく上での権利を主張し、様々な権利を掴み取ってきたわけだけれども、今後は男女問わずに平等とは何かを考えるべきなのだとも感じた。男女がもともと平等ではないし、皆そもそも違う考えを持って生きているわけだから。

加えて女性の権利だけを主張しすぎるのも良くないなとも思う。また自分の意見だけを相手に押し付けるのは良くない。

皆がより良く生きるために、男女についてもっと考えて議論するべきことはたくさんあると感じている。

男性も男性専用車がほしいなら、そう声をあげれないいはずだし…。

現代は色々なところへの影響を考えて、配慮して発言する必要がある。

"産休に入りますクッキー"が問題になったり、そんなことで炎上してしまうのかとも思ってしまうようなことが、多々起きている。

考えすぎてしまうのではなく、より良い方向へ向かうように物事を考えていきたい。

三淵さんの一生について読ませていただいてから、今後朝ドラではどのように描かれていくのか非常に楽しみである。

明日の朝ドラも待ち遠しい。

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