ショートショート「織りなして 灯りがもれて」
咲良は傷つきやすい自分があまり好きではない。だから、傷つかないように、してきたつもりだった。なのに、明るい立ち居振る舞いを続けるたびに、まるで、丁寧に張られた縦糸に、でこぼこの不揃いの糸を織っていくようなそんな違和感を感じ続けた。
本社から転勤してきた俊太郎を、初めて見た時そう思った。廊下でひとり窓の外をみて立っていた彼の横顔はあまりに印象的だった。
仕事熱心過ぎて、面倒くさい、というのが部署内の評判だったが、咲良にとってはそれが好印象だった。自分の信じるところを周りに惑