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「芒種」を読む

みなさま、こんにちは。こんばんは。
気温差の激しい毎日、いかがお過ごしでしょうか。

最近は、ぼちぼち転職に向けて動き出そうというところ。
はじめての転職を全く違う職種で挑戦するといういばらの道を歩んでいるが、自分なりに頑張ろうと思う。

今年に入ってから、いまのところ転職準備期間として人生お休み中といった感じだが、この期間が今までの人生でいちばん物事の吸収率がいい。ような気がする。

特に、これまで見向きもしなかったことでも、知らなかったりほんの少し疑問に思ったりしただけでかたっぱしから調べるクセがついた。

ということで、最近調べたことを書いていく。
今回は「芒種」について。

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調べようと思ったきっかけは、祖父が愛読している新聞の一面にある、日付欄で見かけたから。

「芒種」が二十四節気のひとつだというのはなんとなくわかっていたが、ちゃんとは知らなかったので気になって調べてみた。

まず語句の意味についていろいろな辞典で調べてみたところ、電子辞書内のブリタニカ国際大百科事典にかなり詳細な解説が書かれていた。

「芒種」[ボウシュ]
二十四節気の一つ。太陰太陽暦の5月節(5月前半)のことで、太陽の黄経が75°に達した日(太陽暦の6月6日か7日)に始り、夏至(6月21日か22日)の前日までの約15日間であるが、現行暦ではその期間の第1日目をさす。
その頃は麦の刈入れや稲の植付けに適した時期で、昔中国ではこれをさらに5日を一候とする三候(螳螂生、鵙始鳴、反舌無声)に区分した。

※太陰太陽暦とは、月の満ち欠けと1年間の太陽の動きをもとにした暦で、日本でいう旧暦にあたる(今回は芒種について書きたいので詳細は割愛)
※ちなみに今年の芒種は6月5日

ブリタニカの解説から語句の意味をつかんだところで、次は漢字に着目した。

「種」はこの場合だと植物やその種子のことを指すはず…とイメージできたが、「芒」はほぼ見たことがない漢字だったので、今度は漢和辞典で「芒」の成り立ちや漢字自体の意味を調べてみた。

芒 音:ボウ 訓:のぎ 部首:くさかんむり
成り立ち:草と、音を表す亡(ボウ、先がとがる意)とから成る。
意味:
①のぎ。(ア)稲・麦などの穀物の先端の細いとげ。
⑦すすき。イネ科の多年生草本。茎葉で屋根をふき、すだれ・ぞうりなどを作る。日本では、秋の七草の一つ。別名、かや・尾花。
(「旺文社 漢和辞典 第五版」p881より)

※漢字の意味は思ったより多かったので、いったん植物関連の意味だけ抜粋

ブリタニカでの「芒種」解説文を考慮すると、太字にした①がここではふさわしいだろう(すすきは秋の七草であることから季節外と判断した)。

いったんここまで調べた内容を整理すると、
・芒種は麦の刈入れや稲を植える時期の意味
・芒は穀物の先端にある細いとげ「のぎ」の意味を含む

→とすると漢字だけで考えても、芒種はのぎがある植物や種子のこと、そしてそれらを用いてなにかをすること、だとイメージができるような…?
※整理の仕方が短絡的でごめんなさい

いったん語句や漢字の意味がわかったところで、次に移る。

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辞典から芒種の意味をつかむことはできた。

では、芒種の時期における自然的特徴(動植物の活動や天候など)はどういったものがあるだろうか?

ここで、いままで調べた事柄の中にヒントがあるか読み返してみると、先ほど引用したブリタニカの「芒種」解説文から、気になる部分を見つけた。

その頃は麦の刈入れや稲の植付けに適した時期で、昔中国ではこれをさらに5日を一候とする三候(螳螂生、鵙始鳴、反舌無声)に区分した。

ここで、解説文内の「三候」というワードが、芒種の時期を三分割する→時期の特徴をより詳しく知るためのキーになるのではと考え、今度は「三候」について調べてみた。

だが「三候」としてはどの辞典にも記載はなく、Google検索をかけたところ、「七十二候」というワードで検索結果が表示された。

「七十二候」で調べると、ブリタニカ国際大百科事典には以下のように記載されていた。

「七十二候」[シチジュウニコウ]
中国、日本に古くから普及している季節の区分。
二十四節気は太陽の黄経によって1年を24等分したものであるが、昔中国では各気をさらに三候に細分して七十二候とし、中国の故事にちなむ名前(獺祭魚、鹿角解など)や自然現象にちなむ名前(東風解凍、桃始華、虹始見など)をつけて呼んでいた。
前3世紀頃、中国では七十二候が完備し、それがそのまま日本の暦に採用されたが、中国と日本とでは気候が必ずしも一致せず、また動物や植物にも多少の違いがあるので、江戸時代に日本独自の本朝七十二候がつくられた。たとえば中国の獺祭魚は日本で土脈潤起、萍始生は葭始生、王瓜生は竹笋生、反舌無声は梅子黄などである。

ここで、ブリタニカの解説を読んでみると、中国でうまれた七十二候自体は自然現象だけに基づいたものではなく、故事成語から来ているものもあるとわかった。

では、芒種の三候は一体何なのか…?

ということでGoogle検索したところ、とてもきれいでわかりやすいサイトがあったので紹介したい。

※リンクは「芒種」ページ

このサイトによれば、芒種の三候は

・初候6/5~6/9:螳螂生(かまきりしょうず)…卵からかまきりが誕生する
・次候6/10~6/15:腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)…ホタルが飛び交う
・末候6/16~6/20:梅子黄(うめのみきばむ)…梅の実が薄い黄色になる

からなるという。

ここで、三候の内容と芒種の時期的な特徴を踏まえつつ整理すると
○はじめの10日間
かまきりの誕生・ホタルが活動をはじめる⇔田植えや種まきをする(新たに作付けする)
○おわりの5日間
梅の実の色が変わる⇔季節が夏へと移っている(芒種の次の節気は夏至)

という関係性がみえてきた。

また、この時期の天候については、例年6月10日ごろとされる「入梅」と重なるため、梅雨空の地域がほとんどだと思われる。

ちなみに「芒種 天候」でGoogle検索をかけたら、日本気象協会による「芒種」解説と、先ほども登場した暦生活の「入梅」解説が出てきて、こちらも勉強になったので載せておく。

↑気象協会だから天候のことが書いてあるかと思ったら、めちゃくちゃ芒種を語っていた。漢文や哲学?などと絡めていて、先に紹介した暦生活よりはるかに詳しく書かれている。
節気や七十二候が何なのかわかっていると内容が入ってきやすいと思うが、いろんな情報が網羅されているので、今まで書いたことのほとんどはこのページだけで完結する

気になった引用は以下2箇所。

芒種とは、こうしたイネ科植物の長い実りの季節に至った、ということを表しているのです。時期はずれだとか日本の季節に合わないとか、卑しめる言説がよく見られますが、わかっていただきたいのは二十四節気の叙述は単にその時期の典型的な気象や風物を並べたものではなく、陰陽思想に基づく大きな流れがあり、それぞれが他の節気とも関連性がある、ということです。「芒種」は、春から続いてきた「生育と成長」の季節から、「成熟と成果」の季節に移行したことを示しています。

↑ラスト2行は、末候・梅子黄のいう色の変化にリンクしているように思えた。

「芒(ぼう)」は「忙」の意味も併せ持ち、学び働き、育児生産する人生でも実り多い忙しい時期であることも意味しています。


↑もう一度漢和辞典で「芒」を引いたら「いそがしい、つかれたさま」という意味が出てきた。

↑芒種~夏至の間に置かれることが多い入梅について、周辺知識とともにわかりやすく解説してある。今回はおまけの位置づけ

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ここまでいろいろ調べてきたが、改めて「芒種」とはなにか、わかったことをまとめておく。

①芒種は二十四節気のひとつで、のぎがついた穀物(麦や稲など)を植える時期のこと
②例年6月5日ごろ~6月20日ごろのおよそ15日間が芒種の期間にあたる
③期間を3分割した三候(本朝七十二候ver.)は、順に螳螂生、腐草為蛍、梅子黄

ここまでいろいろ調べてきたが、では芒種はどんな時期といえるのか?以下、3点にまとめてみた。

(1)芒種ははじまりの時期
…辞典の意味通り、田植えや穀物を育て始めるのにふさわしい時期。
そして、芒種の三候にあるとおり、いろんな動物たちが新たに誕生したり、活動し始めたりする時期でもあるから
生き物や植物の営みに合わせて、なにか新しいことをはじめてみるのも面白いだろう。その際は、ぜひ「芒種に合わせてこんなこと始めてみた」とSNSなどで報告してほしい。ほとんどの人には刺さらないだろうが、意味的には正しいことを言っているので、ウケなくても大丈夫である

(2)芒種はどれだけ成長・変化したかを確認する時期
…芒種は夏至の一つ前にある節気。つまり、春から夏へと季節が移る途中にある。前に紹介した日本気象協会のサイトから言葉を借りれば、芒種は「成熟・成果」の時期にさしかかっているのだ。
だから、季節が変わる区切りの前に、自分がやってきたことがどのくらい成長したか、あるいはこれからどう伸ばしていくか、見つめてみる。仕事や趣味、または自分自身のことなど、いろいろな取り組みを振り返る時期という位置づけもあるのではないだろうか

(3)芒種は忙しさが本格化する時期
…芒種の芒は、「忙しい」の意味を含む。農家さんでいえば、田植えに始まり水やりや収穫、その後まで忙しい1年のはじめりを告げる時期になるだろう。
もちろん会社員も学生も、春から始まった新シーズンから少し経って、流れがつかめてきた頃ではないだろうか。新年度にやっと慣れてきたあたりで、目を覚ませとばかりに仕事や課題ややることが増える…気がする。みんな頑張ろう(誰)

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と、まあまあ長々と「芒種」についていろいろ書いてみた。

祖父が読んでいた新聞の片隅に書かれていたことから、今回調べてみた「芒種」。

もともとは「芒種」をピンポイントでわかればよかっただけの話。
だが、調べていくうちに周辺知識も含めていろいろ学ぶことができて面白かった。カレンダーの日付の下にちょこんと座っている節気たち、なかなか奥が深い。

つぎの節気は夏至。今年は6月21日。カレンダーをみれば、もう少しでやってくる。ということは、もうすぐ夏だ、夏。

今年は節気にちょっと注目して愛でることにしてみよう、芒種に合わせてこんな目標?を立ててみたところで、また次回。

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