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【私は買います】【Lelit MaraX PL62X】日本の市場に噛み合った高コスパ家庭用エスプレッソマシン【コーヒー】

※ヘッダー画像は先日のSCAJで撮影させてもらったものです

また一歩、おうちのコーヒー環境が大きく進歩することとなりました。

環境に大きな変化がなかったため長いことnoteの更新を止めていましたが、この度エスプレッソマシンを家に迎え入れることといたしました。
晴れてプロシューマーの仲間入りです。

言語問わず情報を集めまくってから買うため、コーヒー関連の買い物は上手だと自負している私が購入を決意したマシン、それがLelit MaraXです。

(ちなみに、過去の上手くいった買い物の記録を下記に貼っておきます)

今回は購入のポイントと、Lelit MaraXの特徴をここに残します。
エスプレッソマシンを購入する方が一人でも増えますように。
もっと身近なものになりますように。


※用語は説明を端折っているものも多いです。伝わりづらい表現などがあればコメントでご指摘いただけますと幸いです。

購入のポイント

実はLagom P64を買った時点でエスプレッソマシンを買うことは決めていました。どんなマシンがいいのかを買うまでの期間でずっと考えていたわけです。
ポイントをまとめると、以下のとおりです。

①そもそも、エスプレッソマシンで何がしたいのか

いちばん大事なところです。
僕はLagom P64を持っていたので、グラインドする豆や粒度にはほとんど制限がありません。浅煎りから深煎りまで、かなりグラインドサイズを調整できます。
なので、浅煎りから深煎りまで、エスプレッソ単体からミルクビバレッジ、エスプレッソを応用したドリンクまで全部を毎日楽しめるマシンが必要だと考えました。

②だとすると必要なスペックは?

・少なくともヒートエクスチェンジャーのマシン
・パドルの外付けなどの拡張性のあるマシン
・抽出温度を調節できるマシン
・家におけるサイズのマシン(奥行きは40cmまで、幅は狭いほどいい)
・予算に見合った額

条件を挙げると上記のようになりました。
拡張性を考えると58mmのフィルターを使うことは絶対に外せませんし、パドルの外付けを考えたらE61グループヘッドであることも必須です。
その辺をクリアすれば基本的にボイラーはヒートエクスチェンジャー以上のスペックになるので、あとは温度調節の可否とサイズ、金額がちょうどよい物があれば、、
あ、あと代理店さんから買わないとメンテナンスが不安、、

そんな都合のいいマシン、、、
あったわ!!!!!

2021年6月の展示会にて

ちなみに予算はだいたい30万円くらいで考えてました。
巷ではグラインダー:マシン=4:6の金額比で考えろ、という通説があります。
P64はだいたい20万円、MaraXはだいたい30万円なのでドンピシャのものを選べました。

Lelit MaraXについて

ここからはMaraXのちょっと詳しい説明に入ります。

基本スペック

【E61グループヘッド】
MaraXのグループヘッドには、E61という規格のものが使用されています。
私自身もよく分かってないので詳しい説明はしませんが、抽出機構のON・OFFと、温度、圧力の安定感を両立した素晴らしい機構のようです。
名前は1961年に発表されたFAEMA社のE61というマシンにこの機構が初めて搭載されたことからつけられました。

【バイブレーションポンプ】
蒸気をグループヘッドに送り込むポンプも重要なパーツの一つです。
プロシューマー向けのマシンでは①バイブレーションポンプ(バイブレイタリーポンプ)、②ロータリーポンプのどちらかが使われています。
基本的にロータリーポンプのほうが高価で、国内では50万円くらいの価格帯からロータリーポンプ搭載のマシンが多くなります。
バイブレーシングポンプは安価で音が大きい、ロータリーポンプは静かで耐久性が高いという特徴があります。あとは微妙な差ですが、抽出中の圧力はロータリーポンプのほうが安定していると思われます。
家庭用という文脈では圧力云々よりも騒音とメンテナンス性が重要でしょう。バイブレーションポンプは比較的安価に手に入れられるので、交換作業は頼みやすいようですが、結構音が大きいので、置く場所には気を遣います。
後述しますが、MaraXはこの騒音問題をクリアした稀有なマシンです。

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シングルボイラー・ヒートエクスチェンジャー
MaraXはヒートエクスチェンジャー(HX)を備えたシングルボイラーのマシンです、1.8lのステンレス製ボイラーを一つ備えています。
HXを搭載しているマシンでは、スチームにはボイラーでお湯を炊いて発生させた蒸気を利用し、抽出には熱々のボイラー内を通るパイプで別途温めたお湯を使います。

もう一つグレードが上がると、スチーム用、抽出用それぞれにボイラーを備えたダブルボイラーという仕様になります。スチーム用、抽出用それぞれでボイラーの温度を調節できるので、どちらも温度が安定します。

HXでは基本的に抽出のたびに常温から水を温める必要があります。
ボイラーを温める段階である程度のお湯は作れるのですが、連続して抽出すると温度の安定感は損なわれやすいです。

これも後述しますが、温度の安定感という意味でも、Lelitには特徴があります。

【100V電源】
日本ではROSTROさんが代理店をしてくださっています。仕様も日本に合わせたものに変えてくださっており、アップトランスやプラグの交換は不要です。大感謝。

感謝の気持ちを込めて各種リンクを貼っておきます。

すごく良いところ

設計思想・デザイン
MaraXをMaraXたらしめているのは、最小クラスのサイズ感にありえないくらい機能を盛り込んでいる点です。

これは推測ですが、このマシンの企画を始めた時のコンセプトは「市場で最もミニマルなプロシューマー向けE61マシン」だったのではないでしょうか。
サイズはE61グループヘッドとHXを備えたエスプレッソマシンでは最小クラスで、幅22cm、奥行40cmとなっています。

直近のアップデートではマシン正面のロゴマークも黒単色となっており、見た目もミニマルな印象を与えるようなものになっています。
スイッチもプッシュ式でモダンな見た目になっており、小さいのにゴチャついた感じがなくて好印象です。

スペック
価格帯を考えたら機能がやばいです。
同価格帯のHXマシンとはソフトウェアが違いすぎます。

★3段階の温度調整
このクラスのマシンに温度を変えられる機構がついているのは非常に珍しいです。
価格的に競合するRocketのAppartamentではこの調整ができません。

上のクラスになるとこういうディスプレイとかスイッチで1℃ずつボイラーの温度を変えられたりします。(画像はBiancaのものです。)

さすがにここまでできるスペックをこの価格帯で求めるのは無謀です。
ただ、3段階もプリセットがあったら大体なんでもできそうな気がしますし、1℃ずつ調節できたとしても最終的には3段階くらいプリセットを作っておいて使い分けている気もします。
モダンなエスプレッソ抽出理論とコストの妥協点として設けたものだと思いますが、必要十分な機能になっていると思います。

★Xモード
ヒートエクスチェンジャーの弱点、抽出温度が安定しない問題に一石を投じるのがこの機能です。

大抵のHXマシンではスチームの抽出圧を安定させることを優先させてボイラーの温度を決めているため、抽出温度が多少は変動する仕様になっている(と思われます)。
蒸気が足りなければボイラーの温度を上げて対応するし、逆に必要なければ下げる、といった具合ですね。抽出用の水はボイラーの中を通って温められるので、ボイラーの温度変化が抽出温度の上がり下がりに直結します。

ですがこのマシンでは、スチーム圧の安定か抽出温度の安定か、どちらを優先してボイラーの温度を調節するか選ぶことができます。

スチーム圧の高低から受けたフィードバックをボイラーの温度制御に使うか、抽出用の水温から受けたフィードバックを温度制御に使うか、を切り替えられる感じなんですかね。

したがって、カフェラテを淹れるときにはスチームの再現性を担保するためにXモードーSteamを選び、エスプレッソ単体の味を突き詰める際には抽出温度を変数にしないようにXモードーCoffeeを選べばよいのです。
すてき。

★オートプレインフュージョン
エスプレッソは9気圧で淹れる。これは常識です。
ただし最近では、抽出し始めからいきなり9気圧をかけることはチャネリングの原因となるため避けたほうが良い、というのが通説です。たぶん。
ちなみにチャネリングとは、パック内で圧力の不均衡が起こり、過抽出(オーバー)、未抽出(アンダー)のゾーンができてしまうことをいいます。
密度の高い浅煎りの豆なんかは、すぐギチギチ詰まっちゃうのでチャネリング起こしやすいらしいです。

つまり、エスプレッソにも「蒸らし」が必要なんですね。
5秒位は低めの気圧でパック全体に水分を行き渡らせ(これがプレインフュージョン)、均一に抽出ができる状態にしてから一気に気圧を上げる。
ここ5年くらい(?)のマシントレンドとしては、プレインフュージョンを取り入れるために、抽出中の圧力を手動でリアルタイムに変更できる、もしくは予め圧力のプロファイルを設定できるものが多いです。


このあたりは細かく説明しだしたらキリがないので詳細は割愛しますが、MaraXでは抽出するごとにこの圧力変化を自動で再現してくれます。

なのでチャネリングを起こしやすい浅煎りの豆でも、すごく美味しいエスプレッソが淹れられる可能性が高いと思われます。ありがとうエンジニアのみなさん。

★サイレントポンプ
先程のポンプの説明の際、バイブレーションポンプの弱点はうるさいことだ、と書きました。が、しかし、このマシンはバイブレーションポンプ搭載でありながらとても静かです。
実機も触りましたが、大きな会場ではほぼ無音くらいの体感値でした。

詳しくはこの動画の抽出パートで比べてみてください。
他のマシンは振動音がしますが、MaraXだけ静かです。
正直MaraXがうるさかったら買おうと思いませんでした。

おまけ:付属品
これはめちゃくちゃ地味なところですが、付属品が充実しているのもLelitならではのポイントです。
特にIMS製(有名)のフィルターバスケット×3、バスケットの規格にぴったり合わせたガチタンパー(マジでガチ)がデフォルトでついてくるのは明らかに同価格帯のマシンとは一線を画しています。
どんなにハイスペ家庭用マシンでも、バスケットはシングルとダブルの2つしかついてないですし、4,50万円のマシンでもプラスチックの簡易タンパーしかついてないなんてざらにありますからね。

微妙なところ(予想)

ミルクのスチームには時間がかかる?
あえて懸念点を挙げるとすれば、スチームの強さです。弱いという情報があったというよりは、未知数故にリスクがある、という方が近いですね。
抽出動画を漁っていると、ミルクのスチームに1分位かかっているものもあったりして、少し不安です。

作り、特にフレーム部分はそこまで?
もう一つ挙げるなら、フレームの作りで粗い部分がある、ということです。
これは明確にソースがあり、先に挙げたホフマン先生の動画でも、その他のレビュー動画でも、不満な点として挙げられています。
底板や足の部分がうまく繋がってないせいで、動かすのが面倒らしいです。
これは買ってみなわからんなあ。。

結論:コスパ良し、小型ハイスペック

日本エスプレッソマシン市場の革命児になって欲しい

「同価格帯では比類なき機能を必要十分な範囲で搭載する」というすごいことをやってのけたMaraX、願わくばたくさん普及して、日本のエスプレッソ愛好家を増やしてほしいなと思っています。
そうしたらコーヒーに関するオタク会話を交わせる知人も増えてくるはずです。

市場としても、日本人のエスプレッソリテラシー的にも伸びしろしかないですから。
家庭にエスプレッソマシンがあるのが当たり前になる日を結構本気で夢見てます。

円安は相当な痛手ですが、これからのLelitのマシン動向から目が離せません。

またレビューします

今回書いたのはあくまでカタログスペックレベルの話です。
一回にまとめてレビューしても良かったんですが、マシンのことを書くとボリューム多めになることは明白だったので、解説を先に投稿しました。

実機を触ったことがあるはあるのですが、日常的に使い込んだときにどう感じるかはまだ未知数です。ワクワクしますね。
買った人間の責任として、使い込んだ後にしっかりとレビューをしようと思っています。
また、多分ツイッターとかインスタとかYouTubeとかにコンテンツを落として行くと思うので、その後が気になったらぜひ覗いてみてください。
Shortsとか投稿するかもしれません。

読んでいただきありがとうございました。
引き続き、よいコーヒーライフを。

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