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【イベントレポ】 なんとイベント会場はWheeLog!初のお、お寺!?(静岡県掛川市)

WheeLog!オンライン街歩き in 超福祉展2020の静岡会場を立ち上げ、イベントに参加された井手さんからレポートをいただきました。

■自己紹介

井手かのさん
作業療法士の井手かのです。出身は横浜で、ウインドサーフィンがしたくて静岡県掛川市に移住しました。掛川は自然豊かで人が温かい良いところ。何か恩返ししたい想いで病院の仕事や地域活動をしています。

■足が不自由でも安心して行ける場所はどこ?

以前、足の不自由な伯母を掛川案内した時、何か所か段差がきつくて行くのをあきらめた経験があります。後でバリアフリー情報がないかと調べたところ、昔は地域住民の手で「掛川ゆめいろマップ」が作られていたことがわかりました。制作に携わった方に聞くと、「今は情報が古くて使えない。新たに作りたくても人手がなくて作れない」とのこと。WheeLog!アプリの存在を知った時、これならこの課題を解決できるかも!と思い嬉しくなりました。

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■昨年からの計画がようやく実現!

昨年秋から「掛川みらい作り会議」という地域課題解決の講座があり「WheeLog! in 掛川を実現しよう」という企画を立ててプレゼンテーションしました。仲間が集まり、今年3月にお試しイベントを計画。ところが、残念なことに新型コロナ感染症の影響で中止に。その後はコロナが終息する日をひたすら祈るばかりでした。Facebookで今回のイベントのことを知り「全国でつながれるなんて面白そう!」と飛びつきました。コロナ禍でも工夫すればイベントを実現できるのだと希望を持つこともできました。

■歴史と伝統の街にインクルージョンの息吹

掛川は新幹線が停まる駅があり東京から1時間半で行ける小さな城下町。掛川城周囲にはお茶室、美術館、歴史的建造物があり、どこをとってもフォトジェニック。ですが、バリアフリーという点ではどうだろう?車椅子でどれだけ楽しめるだろう?期待と不安が混じりました。
実際、3月のプチイベント計画時には、街の中心に車椅子の方が入れる会場が少なく苦労しました。市役所に相談しても見つけられなかったほどです。今回は幸運なことに8月にトイレやスロープの改修工事をしたばかりの蓮福寺さんをお借りすることができました。仏様が見守る中、Wifiやプロジェクターも完備で超快適に過ごせました。

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今回のイベントで掛川から全国にお伝えしたかったのは、車椅子の店長がやっている駄菓子屋『横さんち』のことです。横さんこと横山博則さんは、小中学校で福祉教育の講師をしている方。障がい者が気軽に行けるお店健常者と障がい者がフラットに学び合える場障がい者の雇用の場としての駄菓子屋さんを実現されています。3月のイベント計画時には『横さんち』で集まって夜遅くまで話し合いました。横さんは今回も企画の段階から参加してくれたのですが、当日は残念なことに体調不良で街歩きは不参加。Youtubeライブで見守る形となりました。

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■想像していたよりも大変だった、けれど楽しかった街歩き

当日の街歩きメンバーは、『横さんち』でアクセサリー作りや接客をしている車椅子ユーザー内藤さん、医師、NPO職員と私の4名。みな車椅子に触れたことはあるけれど、本格的に街歩きをするのは初めて。思わぬ方向に進んでしまったり、縁石にガシャンとぶつかったり、想像以上の大変さを味わいました。内藤さんは足こぎで平らなところは自分で頑張っていました。縁石や坂道では介助が必要で、段差が高いとティッピングレバーを踏んでも大変でした。時折一人で自走している人を見かけますが麻痺や筋力低下がある中でよくやっているなとあらためて感心しました。

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掛川の街は駅から掛川城までのメイン通りは歩道が広く自走しやすかったですが、裏に入ると歩道がでこぼこしたところが多く、走りづらいことがわかりました。自動販売機のボタンに手が届かなかったり、レジカウンター上のメニューが見えなかったり、高さが低いことによる不便さも実感しました。一方で、すれ違う人や車が道を譲ってくれたり、お店の人が物をどけて通れるようにしてくれたり、人の優しさを感じました。内藤さんは「ほとんどのお店で良くしてくれるよ」と教えてくれました。

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メンバーからは
・坂が怖かった
・歩道の段差が毎回大変だった
・点字ブロックがひっかかる
・大変なことはあるけれど、いろいろな人を巻き込んで乗り越えていけると良い

との感想が挙がりました。

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当日は欠席でしたがIT・コンサル会社の社長さんも企画段階から参加して下さいました。また、車椅子友の会掛川支部の仲間や私の勤務先のPT、未来づくり会議の関係者、蓮福寺の住職さんなど多くの方がYoutubeのライブ動画を見て応援して下さり、「参加した気分になった」「点と点を結んで線になって広げる素晴らしい取り組みと思った」などの感想を下さいました。多くの方の協力・応援のおかげでイベントを開催できたと感謝しています。

■街歩き体験で車椅子での困りごとを自分事化する

「楽しかった。またやりたい」といってくれた車椅子ユーザーの内藤さん。今後どんなイベントにしていきたいかを聞いてみると、「多くの人に体験してもらって大変さを知って欲しい」と話してくれました。まずは、家族や友達、身近な人にわかって欲しいと言います。確かに、私も日々病院で車椅子を押してわかったようなつもりでいたけれど、実際に体験してみると想像以上に大変ですし、気づくことがたくさんありました。今までマップ作りを主眼に進めてきましたが、まずは体験することで、より「自分事」として考えられるようになることが大切だと感じました。そうすることで、より細かい配慮ができるし、必要な情報を提供することもできる。いきなり、「街を変えるぞ!」というのではなく、家族、医療・福祉従事者、市の職員から体験してもらい、徐々に拡げていけば良い。医療モデルではなく社会モデルで、当事者とフラットな関係で一緒に進めて行きたいと思いました。

運営の皆様、そして地域拠点の皆様、ありがとうございました。今後も街歩きを開催したいと思いますのでよろしくお願い致します。

イベントDATA

■地域
静岡県掛川市。「こんにちは。お先にどうぞ」「あなたこそ」知らない人にもご挨拶。声のかけあい温かい。海亀の産卵が見られる美しい浜辺、木々の間に茶畑香る。掛川城の城下町、夜は赤提灯の火が灯る。チャレンジする人とそれを応援する人が今日もどこかで集ってる街です。

■会場
蓮福寺

■チームメンバー
「愛する掛川を誰もが楽しめる街にしたい」と集まった仲間。福祉教育に熱い駄菓子屋店長、アクセサリー作家の車椅子ユーザーほか多様なメンバー。

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