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【インタビュー】選んだ道は険しいけれど、ゆるく楽しく生きていく-進行性筋ジストロフィーの夫と歩む、ゆみさん-

夫は先天性の進行性筋ジストロフィーという難病で、出会った頃から電動車椅子生活です。筋肉がだんだん動かなくなる病気で、今動かすことができるのは口と指先だけです。私は専業主婦です。10年ほど前に結婚して、その後2人の子どもに恵まれました。

初めての出産

1人目の子の時は、
出産予定の病院の広さや対応がこちらのニーズと合わず、
総合病院で出産することになりました。

おかげで夫も出産に立ち会うことができました。文字通り、“立ち会う”しかできませんでしたが。

産後は両家の親や子育て支援サポート。夫の重度訪問介護ヘルパーさんの手助けもあり、初めての育児を何とか乗り切ることが出来ました。

予期せぬ入院に見舞われた2人目の出産

2人目の時は私が切迫早産で長期入院になってしまい、上の子と夫、夫のヘルパーさんで生活することになりました。

その間は上の子は幼稚園や幼稚園の預かり保育、ベビーシッターさん、生協やファミサポの育児支援、夫のヘルパーさん、両家の親、幼稚園のママ友、私の友人や車椅子の友人もヘルパーさんと共に幼稚園のお迎えに行き、そのまま預かってくれたりと様々な人に助けられ、何とか乗り切ることが出来ました。ありがたいことです。

ベビーシッターの当時の相場は1200円くらいでした。夜間OKだったり、家事代行サービスも付帯している物もあり、対応可能な時間は人によってまちまちでした。
勤務先や自治体によっては、補助がおりる場合もあるそうですがわが家は該当するものがありませんでした。

当時は夫がヘルパー事業所を経営しており、自分でヘルパーを雇っていたため介助や育児にも多少の融通が利きました。
夫の在宅時は、ほぼ家庭内にヘルパーさんもいる状態でした。

障害のない家庭と同じように…と言ってもやはり私がメインでしたが、
私が不在の時や、仕事からの帰宅後は夫がヘルパーさんに指示をして"父親としての役割"を担ってくれていました。

(子どもの寝かしつけや入浴は家族ですることが適当だと思い、私がしていました。)

赤ちゃん期は大変でしたが、今は子ども達もそれぞれ小学生と幼稚園生になり、毎日賑やかに楽しく過ごしています。

今不安に思うこと

現在夫は事業所経営からは手を引き、在宅で会社員をしています。今はヘルパーさんが見つからず、私が介護と育児、家事をほとんど担っています。

子どもたちは自分でできることが増えた一方で行動範囲が広がり、子どもたちの視野も広げてやりたいと思うのですが、日々介護で時間が過ぎていってしまうもどかしさがあります。

夫の病気は進行性のため、呼吸や心臓も弱ってきていて夜間は鼻マスクの呼吸器を使用しています。

子どもがいても、障害のある夫は生命保険にも入れませんし、住宅ローンを組むのも難しいです。体のことも考えると先のことは不安です。

常に他人がいる苦悩

常にヘルパーさんがいる生活は、夫には必要だとわかってはいても、私には大変なことでした。

プライベートはなく、生活は丸見え。
ヘルパーさんは同性介助で、私にとっては常に異性の他人が家にいる生活です。
また、夫の事業所のヘルパーさんだったため夫の部下に当たります。
会社の人間関係が家庭内に入り込む大変さもありました。

色々と他にも理由はあったのですが
私がその生活を辛く感じてしまい、結局事業所の経営自体を辞めることになりました。

今はそのしんどさからは解放されましたが、今度は深刻なヘルパー不足。
一日中介助が私1人という日も多いです。

夫の身体介助に子どものこと、家事。
正直大変で、疲れが溜まりつつあります。

見かねた義母が週に1度、泊まりで夫の夜間と朝の介助を手伝ってくれるようになりました。
とてもありがたい反面、嫁と言う立場上、やはり気が休まりません。

程々にヘルパーさんが見つかるといいなと思いつつも、自分たちで決めたのだから仕方ないのかなと諦めている部分もあります。

そんなことばかり言って、なんで結婚したんだ?と言われそうですが
そんな中でも夫婦でランチに行ったり、家族でホットプレートで美味しいものを焼いたり、たまにはスキーにいったり、ヘルパーさんが入ることでできたたまの一人の時間に図書館へ行ってみたりと
日々の生活の中に楽しみを見つけながら、ゆるく楽しく生きています。

これから子育てをされる方々の子どもたちが、楽しい毎日を過ごせますように!


まとめ

ゆみさん、ありがとうございました。
共に生きて生きたい相手には24時間介護が必要。たとえ一緒に生きていくと心に決めても、生活の中に常に異性の他人がいるという緊張感は、想像を絶するものなのでは無いでしょうか。

障害当事者からも、ヘルパーさんとの関わりは難しいと言う声を耳にすることがありますが、家族のヘルパーとなると尚のこと関わりは難しいのかもしれません。

「子どもたちは生まれた時からこういう環境ですから特に特別に感じることは何もないようで、よそのパパを見て「歩けるパパもいるんだね!」と驚いたこともありました。夫と一緒になってから、自分も重度障害者の目線で物事を捉えていましたが、私自身は障害者ではなくケアする家族なのだと意識するようになり、見える世界が変わってきました。」
と仰るゆみさん。

周囲の協力や、ヘルパーさんがいたから乗り切れた出産育児や、結婚生活。
だけど障害がある以上、ヘルパーさんとの生活を取るか、自分が介助を担う生活しか選択できないという局面に立たされたからこそ、見えてきた世界もあるのかもしれません。



ゆみさんからのお知らせ


ゆみさんのお宅に入ってくださるヘルパーさんを募集します。

場所 北海道札幌市近郊
内容 生活介助/子育て支援

未経験の方は研修を受けていただく必要があります。

お話が聞きたい!という方や
同じようにケアをしながら育児されてるお友達も募集しています。

詳しくは直接ゆみさんのTwitterのDMまでお問い合わせください。

https://twitter.com/yBhTRJSGX1GORRl


ヘルパーさん募集のチラシ

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