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mizuki | 目端に映る短編小説
2023年7月17日 18:01
その日は雨が降っていたと思う。窓から景色を眺めると、車の速度に合わせて景色が変わりながら、その全てが、ぼんやりと、乱反射していた記憶があるから。雨音も聞こえていたはずだけど、あまり覚えていない。あの日は眠かった。 その日、私は仕事に追われていた。ある会社との契約に関するちょっとしたミスが、私の退勤時間を、予想よりも遅らせていた。 「大丈夫?」と言う上司。その言葉は、今の仕事に対しての心配で