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クロワッサンはパンではない?

旦那と私の間で幾度となく議論され、ずっと納得のいく説明がつかない掲題の件。

スイス人とフランス人(多分ドイツ人も、旦那によれば西ヨーロッパ人は全部そのはず)にとっては、クロワッサンはPain(Brot/Bread)ではない。当問題は、私がとある週末に朝早く目ざめ「朝食に食べるのにフレッシュなパン買ってくるわ~」と家を出てクロワッサンを買ってきたことから発覚した。

旦那は、「あぁパン買ってこんとクロワッサンにしたんや」と言った。私は意味が理解できず何回か聞き直し、聞き間違いではないことが分かった。この人の中ではクロワッサンはパンではない!?と頭がグラグラする。何らかのロジックがあるはずだ、必死に仮定を設定し質問を繰り出す。

甘いものは全てパンではない?
→それはお菓子に近いコンセプトだ、パンのわけがない。ブリオッシュとか。(でもクロワッサン甘くないよね?パンオショコラは甘いからパンでないというならわかるけど。。)

フォカッチャはパンなの?甘くなくてしょっぱいよね?
→フォカッチャはフォカッチャである。パンではない。

Brotchen(小さいテーブルパンみたいなの)はパンか?
→パン(Brot)じゃないからわざわざBrotchenと別称がついてるんだがな。名前があるのはパンじゃない気がする。

じゃあCampagneは?名前あるやん。
→あれは、当たり前にパンでしょ。

トーストはパンなのか?
→もしブリオッシュトーストみたいなのであればパンではない。あんまりトーストを食べないのでわからないけど、あんまりパンという感覚はない。

という問答が繰り返され、一向に明確な定義にたどり着けない。かれこれ1年くらい何回も同じ話をしたが、何がパンであるのか?という理解に至らなかった。そんなところ、昨日何となく進歩があったのだ。旦那が
「突然いい例えを思いついた。多分これで理解できると思うゼ」と素晴らしい説明をし始めたのだ。

君が何週間もヨーロッパに滞在して、毎日食べる白人飯に飽きてきた頃合いを想像してみなさい。君らアジア人がスープ(中国語で言うところの湯)を飲みたい、と言ったとき、頭に浮かべているのは、自分たちが一番飲みなれたオーソドックスなスープだろう。そこでクリームたっぷりのアスパラガススープとかとろとろのトマトスープが出てきたら、「違うねん、これもスープっちゃスープやけども…」となること間違いない(実体験アリ)。

パンというのもそういうもので、日本人にとってのみそ汁、中国人にとっての鸡汤みたいに、圧倒的なベースがある。もちろん変化球として少しファンシーなものもあるけど(クロワッサンとかベーグルとか)、長く食べてないと自分の生活の一部が欠落したみたいな気がして調子が狂う、みたいなものがパンなんだよ。

依然としてパンかパンでないかの判断規準は不明瞭なのだが、なんかわかった気がするよ。パン、深いね。




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