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え、あなた見えてないの?お母さん、気づかなかったよ。。

おはようございます、視能訓練士のクレアです。
眼科で視能訓練士として目のお困りごとを解決するお手伝いをしたり、自治体の検診業務で斜視弱視が疑われるお子さんの親御さんのご相談にのっています。

今日は一番多い、学童期の近視について。
親御さんが気づくパターンで一番多いのは、やはり学校検診の紙をもらって受診した、です。

私「こんにちはー、今日は学校検診ひっかかっちゃったんですね。一度視力検査してみましょう!」

親御さん「そうなんですよ、でもこの子、見えるっていうんです。全然見えない感じ無いのに、D判定なので、間違えたのかなって」

お子さん「見えるよ!一番後ろでも見える!」

私「わかりました。検査してきますね!」

🦆…..

私「検査させていただいたのですが、右が0.08と左が0.1ですね。両眼で0.3」です。」

親御さん「え!?あなたそんなに見えてなかったの⁈全然見えてないじゃん!!」

お子さん「えー、見えてるよ!」

親御さん「見えてないでしょー!0.1って…お母さん、気づかなかったよ」

視力は徐々に落ちていきますし、眼鏡をなんとなくかけたくないという事も相まって、「見えなくて困ってる」と自分から言うお子さんの方が少なく感じます。なので検診などで引っかけることが重要になってくるのですね。

ただ、眼の機能の特徴として、何かを見るときは常に眼の調節力を使っています。ピント合わせを無意識にしている、ということです。

この調節力を使いすぎていると、一時的に近視化している可能性があり、私はこれを、偽物の近視、と表現しています。
調節力は、近くのものを見るときに、より多く働きます。

例えば待ち合い室で、待っている間、本を読んだり、宿題をしているだけでも、(もちろんスマホを触っていても)過度の調節力が働いている状態です。
その状態で検査をしたら...偽物の近視を含んだ結果が出てしまうのです。

さて、0.1の視力だと、さすがに眼鏡が必要では?
と思われる方が大半だと思います。

私たちの一つの目安としているのは両眼の視力で0.7です。
これは教室で一番後ろの席でも黒板が見えるラインといわれており、運転免許も両眼で0.7見えることが支給の条件となっています。

このお子様は両眼視力は0.3でしたが、調節を含んでいるので、もし調節を取り除いてあげれば調節によって引き起こされる偽物の近視が減り、両眼視力が上がるかもしれない、そうすればメガネはまだ必要ないかもしれないと考えます。

そこで私たちは、調節麻痺薬を使って一時的にを調節力をを休ませて、再度検査します。

そうすると、体感では半数以上のお子さんが一段階以上は近視が減ったりするのです。この傾向は低学年のお子さんのほうが顕著です。若ければ若い方が、調節力が強いのです。(お子さんに若いは変かもしれませんが)

さて。
説明が長くなりましたが、このお子さんに調節を休ませる薬を使った所…

私「調節を休ませた後の視力検査では、右が0.3左が0.5、両眼で0.7でした。
少し近視が減り、0.7あれば一番後ろの席でも黒板はギリギリ見えると思うので、眼鏡は作成しても作成しなくても大丈夫ですよ。」

お子さん「眼鏡いやだ」

親御さん「嫌ってあなた…じゃあ少し様子見ます。眼鏡をかけないと近視が進んだりするんですか?」

私「眼鏡をかけてもかけなくても、近視が進む速度は大きく変わらないと学会でも言われていますので、心配されなくて大丈夫です。
ただ、度数の強い眼鏡をかけてしまうと近視を進ませる原因になってしまいます。お子さんは調節力が強い方なので、次回やはり眼鏡が欲しいとなった場合も、今回の検査をもとに、慎重に検査させていただきますね。」

親御さん「わかりました。とりあえずあなた(お子様)そのスマホ見るのやめなさいっ」

🦆…

親御さんが、子供の視力低下に気づくのは難しいです。眼鏡をかけたがらない子も多いですし、ぼんやりでも見えているとお子さん自体も「まあいいや」で済ませてしまいます。
小学校中学年くらいになると、急激に近視が進む事も多いので、学校検診でひっかかったら早めに眼科を受診されて下さいね。



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