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哲学史を学びたい人へ 入門編

 こんにちは、クジラ8です。
 今日は、哲学を学ぶ上で不可欠な「哲学史」について少し話したいと思います。

 内容的には、「哲学史ってなに?」
 というところから始まり、「哲学史を学ぶ必要は?」というところまで話したいと思います。

目次
1.哲学史を学びたい人へ

2.哲学史が整備された時期

3.哲学史を学びたい人へ

4.おわりに


1.哲学史を学びたい人へ

 哲学史とは、哲学思想の展開の流れのことだとされています。

 例えば、岩崎武雄、1975『西洋哲学史(再訂版)』では、率直に「われわれは哲学史を学ぶことを通じて哲学的思索というものがいかなる仕方で展開するものであるかを知り、ひいて現代のわれわれがどういう思想史的地位に置かれているかを理解することができる」
としています。

 哲学史を学ぶことの意義は、自分の持つ哲学が、どの年代の思想と同じなのかを知ることにつながり、以後どのように発展していくのかを知ることにつながります。

自分の立ち位置」を知ること。また、どのような「克服点があり、弱点があるのか」を知ることにつながります。
 なので、哲学史の勉強を怠ることはできません。これを怠れば、なんともとんちんかんな会話になってしまいます。

 例えば、哲学の会話で
「マルクスは観念論者であった」ということを話せば、哲学者はギョッとするでしょう。マルクスは、唯物論者ですから。また、デカルトとカントの話をした時に、同時代の人間だという話をする人がいれば、それは単純に誤りです。ほぼ、100年ほど活躍した時期に差がありますから。

2.哲学史が整備された時期

 では、哲学史がいつ、どのように整備されたのかご存じでしょうか?

 哲学史は、哲学の歴史の中では、比較的後になってから整備されました。
 それは、哲学者ヘーゲル(Georg wilhelm friedrich Hegel,1770-1831)によって始められました。ヘーゲル以前の哲学史というのは、基本的に、伝記のようなものでした。そのため、哲学史は個々の哲学者の話に限られており、「体系的」なものではなかったのです。
 ヘーゲル以後になって、今のようなソクラテス以前から始まり、フーコーに終わる(あるいは、現代思想に終わる)ような、一連の「哲学史」が積み重ねられるようになりました。

 そのため、ヘーゲルは「哲学史の父」とも言えるでしょう。ヘーゲルについては、また後日話しますので、記事ができればまた読んでみてくださいね。

3.哲学史を学びたい人へ

 哲学史を学ぶメリットは大きく二つあります。

(1)哲学史を学んでから哲学者の著書を読むこと  
  でより理解度が深まる。

 哲学者は、今では、ひとつなぎの伝統線があります。中には、異端児と呼べる人もいますが、大きく分けて、フランス哲学、ドイツ哲学、英米系哲学の三つの潮流があり、独自に傾向があります。

 ここでは詳しく触れませんが、例えば、先ほどのヘーゲルは、ドイツ哲学の潮流にあります。哲学史を学ぶことのメリットは、三つの大まかな潮流のどこに、「哲学者が位置付けられているのか」を、体系立てて学ぶことができるということです。

 なので、本当にざっくりと話すと、ドイツ哲学者の話の中に、フランス哲学者の名前が出てきたりすると、「考え方が違う」のだな。とか、同じ潮流の中でも、どのあたりが「批判点」になっているのか。ということが、理解できるようになります。

 また、多くの哲学史についての本には、重要な哲学者の考え方が、ダイジェスト版で載っているため、取っつきやすいことが利点です。

(2)哲学がより楽しくなる
 これは、(1)を受けての話になりますが、体系だった理解ができるようになると、単純に哲学が楽しめるようになります。

 デカルトの『方法序説』は、今では古本屋で100円で売っていますが、読むのにひと苦労します。哲学史を学べば、すっきり理解できるようになるとは断言できません。ですが、デカルトの考え方が分かっているだけで、フレーズが読み取り易くことは確かです。

 また、何か別の哲学書を読んだとき、「著者はヘーゲルの哲学に多大な影響を受けており」と書かれている場合、この哲学者はヘーゲルの潮流にいるのだな。ということが分かります。
 なので、以前学んだことが、次の本にも生かせる。というのが、楽しさにつながってくるといえます。


4.おわりに

 最後に、哲学史なら、まずこの本がいいよ!
 というものを二つあげておきます。

 文中にも挙げたように、
・岩崎武雄、1975『西洋哲学史(再訂版)』有斐閣
 が、おすすめです。コンパクトにまとまっているため、分かりやすく、人名索引や事項索引がついているため、そこだけ知りたい! という場合には、特に重宝します。

・岡崎ほか著、2002『西洋哲学史[第2版]』
 こちらは、岩崎による『西洋哲学史』には書かれていないポスト構造主義までを網羅した本になっていて、また比較的軽い文体で書かれているので、より初学者向け(あくまでも、哲学を専門的に学ぶ人にとって)になっています。


 上記の二冊のほかにも、西洋哲学史を学べるテキストはたくさんあるため、あくまでも参考にどうぞ。

 お付き合い頂き、ありがとうございました。

 ではでは、また。

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