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(コラム)着物の「着たい需要」に「着せたい需要」

いつもお読みいただいてありがとうございます。さて小説とは違った形で「コラム」と云う形式も折に触れ、時々書かせていただければと思いますのでよろしかったらお読みくださいね。

先日わたしのツイッターで「最近成人式向けの無料振袖体験会が多く行われているようですが、『男の娘向け』とかあれば面白そう」な旨ツイートしましたところわたしにしては多くの方からいいねを頂きました。

その中にはいつもお読みいただいたり、リプを頂くフォロワーさんや常連さんも多かったのですが、それとは別にこれまで全く接点のなかった方、特に和装業界のリアルな方からの反応をおかげさまで結構頂きました。

これって一体なんだろう、お読みになられても興味ないとか特に気にならないと云うのであればスルーかと思いきや「いいね」を頂くとは・・・・・と思ったのですが、わたしなりの考えとしましては女装子、トランスジェンダー(MtF)、男の娘と云った世間一般では日常的に振袖・女性着物を着ないけど着たい層が一定数いらっしゃるけど、逆にそう云った方々にも着物を「着せたい」と云う方が一定程度いらっしゃるのではないかと推察する訳です。

大都市に行けばいわゆる「変身処」「女装サロン」というカテゴリーのお店で和装可と云うところがここ数年増えましたしそう云うお店はもちろんの事、主に観光客向けの着付けもセットになったレンタル着物店・貸衣装店でも男性が女性用の着物をメイク・着付け含めて着せていただけるお店も以前から比べて増えたように思います。以前からわたしも何度となく利用させていただき、とても楽しい時を過ごすことができました。

着物はわたしどちらかと云うとその着物自体が女性用であっても男性の方が似合うのではないかと云う風に思っております。

というのも女性用の着物は基本的に胸が余り出ていなく、ウエストはくびれがない(失礼な書き方をすればいわゆる”ずん胴”)体型の方がよく似合うと云う方もおられ、実際のところわたしも着せていただく際にはほとんどタオル等での補整をした事がございません。

また特に女性用の着物の場合はある程度身長があった方が色柄が映えると云うお考えの方もいらっしゃいます。加えて個人的には男性であってもなで肩であればより女性用の着物は似合うと考えております。

そんな中で着物に普段から接してらっしゃる和装業界の方が「もしかして男性でも女性向けの着物を着たら似合うのでは・・・・・」とふと考えるのも時にはあってしかりかも。またご商売の点からも「新規顧客開拓」になる訳で、もちろん女性向けのお店に男性が出入りするのはちょっと、と云うお店もありでしょうからそこはお店それぞれのお考えもあってよいと思います。

わたし以前着付けをしていただいている際に、着付け師の方から「女装の方に着物を着せるのは楽しい」と伺ったことがあります。

どういう事かと云うと純女さんに着せる際には締め付けがきついとかこの小物合わせがイヤだとかとにかくあれこれ注文や小言が多いとの事。

だけど女装子、トランスジェンダーさんの場合はあれこれ言わずに黙って言われたとおりに着てくれて、その上着付けができた時のうれしぶりが大抵どの方もとてもよろこんでいるからと聞きました。

確かに着物は「よりおしゃれしたい気分」の時に着るもので、これはリアル女性もそうでしょうが「特別な日」「特別な装い」と云う気持ちが強いので準備も費用もそれなりに必要な事かもありあらかじめ期待度が高い分そのように出来上がった着物姿の自分を見てそう思うのだと感じます。

もう一点、これもわたしの持論と言うのにはいささか大げさかも知れませんが着物(着物姿)は確かに洋服と比べて目を引きますし、着る事でいわゆる「女性らしさ」「女っぷり」がアップするように感じますが、その割合は純女さんの場合(私なりの平均値)およそ3割アップと云うところですが、女装子、男の娘、トランスジェンダーさんの場合は「女性らしさ」「女っぷり」が3割どころか3倍になるように思います。

つまり普段男性の方が同じ女性物でも洋服より華やかな着物と云う衣装に身を包む事で内面にある「女性的な気分」が高まり所作もはんなりとしてきたり、和装用のヘアメイクもより「女性らしさ」を引き立てるものですのでその効用、そして着物を着る事で動き自体がどうしても背筋を伸ばしてそして内股でちょこまか歩くと云う動きになってしまうのでいつもより「女性らしさ」を意識してしまう、また周りにもそのようにいつもより感じさせてしまう事があるのではないでしょうか。

とは言え、多くの女装子、トランスジェンダーにとってまだ着物は敷居の高いものと云う意識があるかと思います。それは同じように純女さんの世界でも同じで多くの純女さんは着物はそう着るものではなく、反対に女装子、トランスジェンダーの世界でも着物好きが際立って多いとか云う事でもないかと思います。概ねわたしの思うに純女さん全体に占める着物好きの方の割合と、女装子・トランスジェンダーの全体に占める着物好きの割合は多分同じではないかとツイッターやインスタグラムを見ていると感じます。

なにかと外出しにくい昨今ですが、落ち着きましたらわたしも着物を着てお出かけしたく思っておりますので「着せたい需要」の受け皿の方にも引き続きどうぞよろしくお願いしたい気分です。

長文失礼いたしました。最後までお読みいただき誠にありがとうございます。


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