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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦③

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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦③

「なるほど。つまり精霊達の力が使えるという事か?」
「ご名答。私は創造、クリエイティブな方面に特化しているわ。あと、貴方の幕僚も希望よ」
 俺が訊き返すと博士はしたり顔でサラッと述べる。

「一樹、どうする?」
「というより、僕らはどのポジションにおくんですか?」
 俺の問いを単なる丸投げと察した一樹は、苦笑するとそのまま問い返してきた。そういえば、こいつのポジションも決まってないな。
「そうだったな……一樹は俺直属で朱雀達の上についてくれ。博士は勇司の下で良いか?」
 そうだった。と、肩をすくめ俺は3人と勇司を順に見て訊く。まあ、博士は単純に権限が欲しいだけだろうし、あまり引っ掻き回されても困るから勇司におもりをさせておくのが無難だな。

「お前が前線に行くなら俺はそうしてくれた方が助かる」
 俺の意図を察しているのか、勇司は満足げに頷き、続いて朱雀達も不満なしという素振りで頷く。
「わかりました。博士もよろしいですか?」
「オッケーよ」
 一樹は笑みを浮かべ頷き博士に同意を促すと、押されて博士も同意する。

「……さて、水原(みずはら)黄泉(よみ)一佐。君はどうしたい?」
 俺は水原を見て改めて問う。正直、今でも夢を見ているんじゃないかと思う――彼女は俺を守ろうとして吹き飛ばされているのだから。
「貴方が許してくれるなら、傍においてほしい」
「わかった。おかえり、黄泉」
 黄泉の希望に俺は大きく一度息を吐き笑みを浮かべ同意する。

「……ただいま」
 黄泉は恥ずかしく頬を染め微笑む。
「さて、長くなったが、各々紹介が終わったところで今後方針について話をしたい」
 勇司は軽く咳払いをして改めて宣言する。
「今回、九州ひいては日本最強と言っても過言ではない我々が攻略する初期の作戦目標は四国だ。その攻略前段階について決めたい。比良坂陸将、意見はあるか?」
 勇司はそう言って改めて俺を見る。

「前段階以前の問題がある。1師団であの広い領域を攻略するのか?」
「いや、それについては中国方面に展開中の師団と、関西要塞の共同戦線を展開できるよう話をしている」
 勇司を見返し質問する俺に本部長が代弁する。
「なるほど。それならば先に四国攻略に集中できるように後顧の憂いを断つべきですね」
 俺は本部長に目を向け答える。一応合同作戦は計画しているわけか。

「現在、九州及び中国地方で脅威となっているのは対馬と隠岐の島だ。このどちらかを攻略する必要があると俺は見るが……どうだ?」
「そうだな……両方というわけにはいかんからな――隠岐の島を攻略しよう」
 勇司の問いに俺は私見を述べる。九州全体で考えた場合、対馬を攻略するべきだが、対馬を開放してしまうと、ラシア大陸で幻獣に抵抗している多国籍軍が間違いなく奪いに来る。挙句避難してくるであろう難民の救済をしなくてはいけなくなる。政治的にも物資的にも面倒が増え、日本引いては九州要塞に余計なしわ寄せがきてしまう。

「対馬は良いのか?」
 勇司は俺の見解を聞きたいのか念を押してきた。
「確かに戦略上対馬を攻略するのが九州にとっては利益が大きい。しかし、政治的な面を含めるとむしろ不利益が目立つ。なら、今現在挟み撃ちを受けている中国地方の連中、そちらの状況を改善してやった方が後顧の憂いがなくなる」
「わかった。他に意見は?」
 俺の解説に勇司は同じ状況を想定していると理解したのか、全員を見て確認をとる。

「すいません。陸将がそう決めたのであれば従いますが、対馬を攻略しないということは現在展開中の他の師団は四国へ振り向けないという事ですか?」
「そうだな。あくまで我々主力師団だけで事に当たる。無論、海上及び航空部隊については可能な限り四国攻略に振り分ける」
 朱雀の意見に俺が答える代わりに本部長が答える。

ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く


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