見出し画像

人吉市にスマートシチズンあり

先日、7/15(土)~16(日)に熊本県人吉市に行ってきました。
お伺いしたのはこちらの「緑の流域治水スタディツアー」です。

ニュース等で記憶に新しい方もいらっしゃると思いますが、熊本県は度々水害に遭っており、令和2年7月には一級河川である球磨川が氾濫し10本もの橋が流失しています。

度重なる水害の中で暮らしを持続的なものにするため、球磨川では流域治水(この範囲に雨が降ったらこの川に流れるよね、という範囲を流域と呼ぶそうです)が行われており、その見学にお伺いしたという訳です。
なお、昨年お伺いした際にはまだ樹の上にビニールが引っ掛かっていたりと爪痕が多い印象でしたが、現在も壊れたままの家屋はあるものの豊かな自然の中でラフティングが楽しめたりします。ええとこっすよ。

宿泊したのはこちらの「水上荘」さんでしたが、ホントいいとこでした…BBQ最高やった…。

で、なんでそんな流域治水学びに行ってんのというと、私はオシンテックなるスタートアップを通じて知り合った面々と水害流失リスクのある橋をオープンデータから読み解いて地図上に可視化していく「X-Bridge(クルスブリッジ)」なる大人の部活動的な取り組みを実施しており、その一環でお伺いした、ということなのでした。

現地に行ってお話を聞いた感想を一言で述べるなら、タイトルにある「人吉市にスマートシチズンあり」といったものでした。最近よく言われる「スマートシティ」(DXの方が増えてきた感はありますが)は箱を作って万歳ではなく、自分たちの暮らしをよりよくするために主体的に考え組織に使われるのではなく組織を使って行動する「スマートシチズン」が大切だと私は考えていますが、島谷先生から説明いただいた姿は正にそれそのものでした。
・河川を安価なネットワークカメラで監視し映像がLINEで確認できるようにする、どんどんトライアンドエラーを繰り返す市民参加型のIoT
・森が雨を貯め込み水害を遅らせる力を検証するため樹木に市販の水量計を取り付けて樹皮を流れる雨量を測定する(雨は気孔からの蒸散や、樹皮からの蒸発、地面への浸透、と分かれる)
・雨を植栽空間で一時的に保留し川への流入を遅らせる雨庭や、田んぼで一時的に保水する田んぼダム
などなど…

塀の上にカメラ、箱の中にルーターやバッテリーがあり、写ってないけどソーラーパネルから給電
幹の周りで雨を掬えるように工夫し、市販の水道メーターで計測
南陵高校のみなさんが作った雨庭、樋から流れた水を木箱内のこれまた水道メーターで計測

ただ上記取り組みをガンガン推し進めていくのは、私が住んでいるような関西やとりわけ政令指定都市においては、なかなか簡単なものではないと思います。安価なネットワークカメラを置こうとしても堅牢性が重視されて高価になったり、コンソーシアムを組んでとなると大所帯になりすぎたりベンダーが入って費用がかさみ過ぎてしまったり云々…。人吉市だからこそ、今関わっている方々だからこそ出来る面は否めないなという風に感じます。
では、どうすれば良いのか?もちろんそういった地域で実現できたことを水平展開というのはよくある話ですが、私は自分たち自身が関係人口として関わりながら考え方を学び、その上で自分たちの地域に持ち帰って取り組むのが最も良いのではないか、と今のところ考えています。他所で出来上がったものを紋切型で入れてもどうしようもなく(失敗例やまほどありますよね?w)、やはり自分たち自身が考えて動くこそが必要なことだと思うのですよね。なので引き続き関わりは持たせていただきたいなと。
あとはやってみて楽しいとか心地いいとかも大切なので、その辺りはシビックテックって言うかCode for Kobeとしても先々取り組んでいけたらなと考えております。まる。


いいなと思ったら応援しよう!