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2000年代のスーパー戦隊シリーズ

      現在にまで46年にわたって放映されているスーパー戦隊シリーズ。
1990年代はシリーズの存続危機でありながら、高年齢層・オタク層といった視聴者をターゲットにしたり、海外進出をするなど試行錯誤で継続させていた。しかし、2000年代に入るとスーパー戦隊シリーズは「第2の全盛期」を迎えました。ちなみに「第1の全盛期」は80年代で「低迷期」が90年代。 

歴代の特撮作品出身の俳優

それと同時に出演している俳優陣たちの改善も行われた。90年代までとは異なり、出演者のルックス・年齢・容姿などが求められる時代になり、作品に出演する俳優さんたちは「イケメン俳優」と呼ばれるようになった。放送時間が夕方から休日の朝に変わったことで子供と一緒に見る母親は主役のイケメンを応援し、大人のドラマに移ってもそのままファンとして応援し続けるといったパターンが定番となった。これによりスーパー戦隊シリーズまたは仮面ライダーシリーズといった特撮作品で活躍する若手俳優陣が「男性アイドル」のポジションとなり、視聴者もオタク層(腐女子)・主婦層・大人など新たなファンを獲得することに成功した。イケメン男性俳優=女性ファンという構図が出来上がっており、またその俳優も歌手活動やバラエティなどに出演したりするため、事実上「ソロの男性アイドル」と見ても良い。

2012年から開催されている「超英雄祭」は出演者のほとんどがイケメン俳優さんなので女性ファンの割合も多く、男性アイドルのコンサートのようです。

◎2000年代(2000年~2009年)の戦隊作品

★未来戦隊タイムレンジャー

2000年2月13日から2001年2月11日まで放送

平均視聴率:7.1%
「時間」をテーマにした作品であり、「未来戦隊」というタイトルは、大戦隊ゴーグルファイブの企画段階で挙がったタイトルを再利用したものである。高年齢層も視野に入れた「大人向け」の作品作りがなされており、主人公たちの恋愛模様などを織り込んだストーリーもそれが色濃く表れている。さらにタイムレンジャーの目的は敵を倒すことではなく逮捕することであり、一度も敵を殺していないという珍しい作品でもある。

★百獣戦隊ガオレンジャー 

2001年2月18日から2002年2月10日まで放送

平均視聴率:8.8%
星獣戦隊ギンガマンと同様、「動物」をモチーフにした作品。前作の「未来戦隊タイムレンジャー」が高年齢層に人気を博した一方で児童層からの評価がイマイチだったため、その反省点として今作は完全に「子供向け」の作品となっている。物語が進んでいくごとに、新しいパワーアニマルが登場し、仲間が増えていくというのはとても面白かった。携帯電話の変身アイテムやパワーアニマルシリーズなど玩具面でもかなりの好成績を残した。特に「百獣合体ガオキング」は発売当初からすぐに完売状態が続き、ガオハンター、ガオマッスル、ガオゴッドといった他の合体ロボットもかなり売れるなど番組だけではなく玩具の人気ぶりも凄まじかった。番組終了から5年くらい経過した後も合体ロボットの人気は続いており、ネットオークションではプレミア価格(定価の倍以上)で取引されていた。さらに1990年代中盤から途絶えていた劇場版製作が再開され大ヒットとなった。以降の作品においても劇場版の制作が継続されるようになった。この作品のヒットにより戦隊シリーズは第2の全盛期を迎える事となる。

★忍風戦隊ハリケンジャー

2002年2月17日から2003年2月9日まで放送

平均視聴率:7.5%
この作品にはモチーフが3つあり、第1のモチーフは「忍者」、そして第2のモチーフが「超獣戦隊ライブマン」、第3のモチーフが「重甲ビーファイター」である。それに加えて忍者学校で落ちこぼれの学生が主人公など当時、人気のあったアニメ「NARUTO -ナルト-」の影響も受けている。
超獣戦隊ライブマンは、レッド・ブルー・イエローの3人戦隊でスタートし、中盤でブラックとグリーンが合流して最終的に5人戦隊となる。メカのモチーフが動物でそれぞれ「タカ」・「イルカ」・「ライオン」となっている。ハリケンジャーもレッド・ブルー・イエローの3人戦隊から始まる。中盤でゴウライジャー2人が加わって5人戦隊になるところは同じでシノビマシンのモチーフも動物のタカ・イルカ・ライオンである。

さらに電光石火ゴウライジャーが昆虫モチーフなのは、重甲ビーファイターと共通する。変身アイテム「ゴウライチェンジャー」もビーコマンダーの造形に酷似している。シノビマシンのような巨大メカは¨ビートマシン¨を彷彿させるし、異次元侵略集団ジャマールのシュヴァルツと宇宙忍群ジャカンジャのサタラクラ(キャラ)、異次元調達屋カブトと日向おぼろ(関西弁を喋る)、老師グルと日向無限斎(人間態ではなく昆虫や生き物の姿)などいくつか似ている点が見られる。
そして超獣戦隊ライブマンのグリーンサイ・ブラックバイソンにも関係性がある。グリーンサイは、動物の「サイ」がモチーフでサイは角が1本ある。カブトライジャーは「カブトムシ」がモチーフであるが、カブトムシも角が1本ある。ブラックバイソンは「バイソン(牛)」がモチーフで角が2本。クワガライジャーのモチーフである「クワガタムシ」も角が2本だ。つまり両者とも「角の数」が同じというネタが隠されている。
太陽戦隊サンバルカンに続く陸海空のコンセプトで、同じ忍者モチーフだったカクレンジャーよりも楽しい雰囲気を目指した。ヒーロー側に正体不明(シュリケンジャー)の人間を作り、そこに歴代戦隊俳優のOBを起用するというやり方はとても面白かったと思う。

★爆竜戦隊アバレンジャー

2003年2月16日から2004年2月8日まで放送

平均視聴率:7.1%
「恐竜戦隊ジュウレンジャー」と同じく「恐竜」をモチーフにした作品。
¨アバレンジャー¨という名前は、恐竜戦隊ジュウレンジャーの製作段階で既に挙げられていた名前で当時は没になったがスタッフたちは「面白いタイトルだからいつか採用しよう」と考えていたらしく、ジュレンジャー終了後に再び恐竜モチーフの作品を制作することになったため再利用したという。企画段階では「5人の戦士と10匹の爆竜たちの15人戦隊」というテーマだったため、企画通り爆竜たちには自我と言語能力が与えられている。主人公たちの名前は、白亜紀(白亜凌駕)、三畳紀(三条幸人)、ジュラ紀(樹 らんる)、中生代(仲代壬琴)と恐竜が住んでいた時代の名前から付けられている。

★特捜戦隊デカレンジャー

2004年2月15日から2005年2月6日まで放送

平均視聴率:7.1%
モチーフは「警察」と「刑事」、サブモチーフが「探偵」・「宇宙」・「エイリアン」である。作品のテーマは「正義と情熱」。
タイトルは「刑事レンジャー」→「デカレンジャー」と名付けられ、司令官であるドギー・クルーガーもドーベルマン(警察犬)がモチーフになっている。また敵の名前がエイリアンをもじったアリエナイザー、デカレンジャーの強化装備であるスワットモードなど、メタルヒーローの「ブルースワット」の影響も僅かに受けている。 超力戦隊オーレンジャー以来、9年ぶりに登場した組織に属する戦隊であり、女性戦士が2人のダブルヒロイン体制は電磁戦隊メガレンジャー以来、7年ぶり。さらに番外戦士まで合わせれば女性戦士が3人以上存在する作品でもある。警察や刑事をモチーフしていたことから女性視聴者にも大変人気を得た作品だった。また番組の主題歌(シングルCD)も当時のスーパー戦隊シリーズでは最高記録で10万枚以上を売り上げた。

★魔法戦隊マジレンジャー

2005年2月13日から2006年2月12日まで放送

平均視聴率:7.7%
放送当時、人気のあったイギリス映画「ハリ・ポッターシリーズ」の影響を受けたため、「魔法」をモチーフにした作品。 
タイトルは言うまでもなく「魔法使いの戦士」→「マジックレンジャー」→「マジレンジャー」と名付けられた。「地球戦隊ファイブマン」・「救急戦隊ゴーゴーファイブ」に続いてシリーズ3作目となる「5人の兄妹戦隊」である。レッドが長兄であった過去2作品に対し、本作品ではレッドが末っ子に設定されており、女性戦士がブルーである数少ない戦隊でもある。
韓国でも人気を博した作品であり、男の子だけではなく女の子にも好評だったようで変身アイテムや合体ロボットなどの玩具も通常はアメリカからパワーレンジャー版のモノを輸入して販売されていたが、今作では日本で発売された玩具商品がそのまま韓国で発売された。

★轟轟戦隊ボウケンジャー

2006年2月19日から2007年2月11日まで放送

平均視聴率:6.7%
「トレジャーハンティング」と「車」をモチーフにしており、それに加えて「冒険」がテーマとなっている。スーパー戦隊シリーズ第30作の記念作品。
タイトルは「冒険者」→「ボウケンジャー」と名付けられており、作品に登場した巨大メカは当時最多の18種類に及んだ。さらに電磁戦隊メガレンジャーとの共通点がある。まずメンバー構成(レッド、ブラック、ブルー、イエロー、ピンク、シルバー)が同じでシルバーの個人武装も可変式武装という点が一致する。また、シルバーの個人メカが最終主力メカと合体になるという設定、そして最終主力メカの名前にボイジャー(メガボイジャー/ダイボイジャー)という名前が付いている、5体合体&両者宇宙飛行が可能という点、さらに両戦隊ともレッドとピンクの間にある程度フラグがある、両戦隊のブルーが女性に優しくてモテるなど全体的に酷似している部分が多い。

★獣拳戦隊ゲキレンジャー 

2007年2月18日から2008年2月10日まで放送

平均視聴率:5.2%
「中国武術」と「動物」がモチーフとなっている。
幽幻道士をはじめとする香港映画(カンフー映画)の要素を取り入れた作品であり、ヒーロー側だけでなく敵側にもドラマの比重を重く置いたので敵側のキャラクターも人気を得た。「超獣戦隊ライブマン」や「忍風戦隊ハリケンジャー」と同様に最初は3人戦隊から始まり、最終的に5人戦隊となる。玩具面でも変身アイテムは近年主流の携帯電話型ではなく体術を意識したグローブ型にするなど戦隊チームがスポーツメーカーに所属している設定を生かしたデザインとなっている。しかし、様々な実験的要素を投入したものの、視聴率・商業面において失敗が目立つ結果となった。

★炎神戦隊ゴーオンジャー

2008年2月17日から2009年2月8日まで放送

平均視聴率:5.1%
「高速戦隊ターボレンジャー」と「激走戦隊カーレンジャー」に続いて3回目となる「自動車」と「動物」をモチーフにした作品。
タイトルは「エンジン」→「炎神」、「轟音」→「GO ON」→「ゴーオン」と言葉遊びのようになっている。過去の自動車モチーフだった2作品との差別化のため「乗り物+動物」という二重モチーフが採用された。作品の雰囲気はとても明るく活気のある方で、登場する主人公やキャラクターがギャグを披露する点は激走戦隊カーレンジャー、3人戦隊からスタートして、序盤で5人戦隊になり、中盤からは電光石火ゴウライジャーのように2人組のゴーオンウィングスが登場するところは忍風戦隊ハリケンジャーと共通している。また爆竜戦隊アバレンジャーの爆竜たちのようにゴーオンジャーの相棒的存在である炎神たちも喋ることが出来る。前作の「獣拳戦隊ゲキレンジャー」は不振だったが、同時期に放送されていた「仮面ライダー電王」は大ヒットしたので、今作は仮面ライダー電王の「携帯電話の変身アイテム」・「声優陣をたくさん起用する」といった要素を取り入れた結果、商業的に成功を収めた。2000年代としては百獣戦隊ガオレンジャーに続いてヒットを記録した作品である。

★侍戦隊シンケンジャー

2009年2月15日から2010年2月7日まで放送

平均視聴率:5.9%
シリーズとしては初となる「侍」をモチーフにした作品で、当時の戦国武将ブームの影響も取り入れている。
忍風戦隊ハリケンジャー以来、久しぶりの和風スタイルのスーパー戦隊であり、エンディングテーマは実際にハリケンジャーの主題歌を歌った高取ヒデアキが起用された。オープニングテーマは、特捜戦隊デカレンジャー以来、5年ぶりにサイキックラバーが担当。松坂桃李をはじめとする俳優陣(イケメン俳優)やストーリーも評価され、児童層よりも主婦層・女性層に多くの人気を獲得した。メンバーはレッドが殿、他がそれに対する家巨という設定であり、メンバーの中に明確な上下関係が存在している。本作の4年前に放送された魔法戦隊マジレンジャーとの類似点・相違点・オマージュがある。「主人公6人のカラーが順番は違うが同じ」・「変身アイテムが携帯電話」・「メンバー6人はそれぞれ元素属性を持っている」など。2000年代に放送された「スーパー戦隊シリーズ 人気ランキング TOP10」で第1位に選ばれている。

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