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『お色気番組』減少の理由は?

お色気番組』は、下ネタや性的な描写、いわゆるお色気を扱ったテレビ番組。主に深夜番組の枠で放送され、「エロ番組」と表現されることもある。現在でもお色気番組の制作や放送は可能であり、時代に合わせた表現を用いて継続されている。しかし、2000年代以前の時代に比べると番組自体の数は少ない傾向にある。それは一体なぜなのか?

1.少子高齢化
現代の日本は高齢化社会となり、テレビの主な視聴層が若者ではなく高齢者になったこと。お年寄りは安心して観られる番組を好むので当然、その世代の人達にお色気番組はウケません。テレビも商売ですから急に裸が出てきたり、エッチな番組が放送されるとチャンネルを変えられてしまい、高齢者までテレビを観なくなってしまう可能性があります。TVを見る高齢者が減れば視聴率も下がり、スポンサーも減ってしまうのでテレビ局は儲からなくなります。

2.女性の社会進出
終戦後の日本は男性優位の社会でした。これは「男は外で戦う」→「男は外に出る」→「男は外で働く」→「男は仕事、女は家庭」といったように戦時中からの価値観が残っていた影響です。しかし、1980年代以降、女性の社会進出が進みます。女性も外に出て働く時代になり、女性優位の世の中となったため、テレビも自然と女性向けの番組が増加しました。またテレビ業界だけでなく、各会社や企業のスポンサー、広報部、宣伝部といった分野でも女性社員・女性従業員が多く活躍しています。購買力の高い女性のために番組を作れば女性視聴者がたくさんテレビを観てくれるし、儲かるからです。

3.テレビ局内の世代交代
昭和のテレビ番組を作っていたプロデューサーやスタッフなどが現役を引退し、現在はゆとり世代、Z世代などの若い社員や制作陣が増えています。テレビ局で働いている若い人たちは自分たちが生まれる前の時代はもちろん、昔のテレビ番組を知りません(リアルタイム世代ではない)。それでもテレビ局で働いていれば待遇も良く、高い給料が貰えます。それならば、わざわざ昔のような過激な番組を放送して世間から非難を受けるよりも、今の厳しいルールの中でも現状を維持したいという実情があります。安定した状況を維持したままテレビ番組を作っていれば高い給料がもらえるし、テレビも儲かるのでテレビ局側としてもデメリットが少ないのです。

4.制作費がかかる
お色気番組にかかる制作費は約150万円程度とされています。
これだけのお金を費やしてわざわざ批判を受けるような番組を作る必要があるのか?ということが課題になります。批判されるということは同時に視聴率低下やスポンサーが減る恐れもあり、結果的に番組が終了になった場合はテレビ局にも赤字が出るためデメリットでしかありません。一方でインターネットにはアダルトコンテンツや女性の裸が溢れており、テレビと違って制作費もかからない(またはテレビより制作費が安く済む場合もある)ので尚更、地上波でのお色気は需要が減るでしょう。

5.ビデオデッキの普及
1980年代以降、ビデオデッキ&ビデオテープ(VHS)が普及して多くのテレビ番組は視聴率を取れない状況が続きました。これは当時、ビデオテープにテレビ番組を録画して観た場合、視聴率には反映されなかったためである。VHSに録画して見る人が増えれば増えるほど、テレビの視聴率はどんどん下がっていくことになります。さらにお色気番組の視聴層は主に成人男性であり、その視聴者がアダルトビデオや家庭用テレビゲームなど他の娯楽に流れた結果(番組の視聴者が離れた)、番組の継続が困難となったのです。お色気番組が飽きられ、男性のテレビ離れが加速化した最初の時代です(当時の大人はそういう類の番組を観ない時代)。一方で、インターネットの普及でアダルトコンテンツが誰でも気軽に見られるようになったからという意見もあるが、これも少し違う。インターネットが一般家庭にも普及し始めた2000年前後は、既にVHSやDVDなどでアダルトビデオが視聴できる時代になっており、お色気番組の数も減少していました。ネットが普及する以前の1980年代後半~1990年代後半までの10年程の間で深夜のお色気は一部の人気番組(ギルガメッシュNIGHTなど)を除いて、ほとんどが短命に終わっていたため、インターネットの影響でエロ番組が消えたというのは時代背景がズレている(実際に深夜のお色気が減少したのは80年代半ば~後半から)。

6.権利関係などの問題
お色気番組に出演するのは、グラビアアイドル・セクシー女優など主に女性が中心となります。これらの女性タレントたちは入れ代わりが早いため、デビューして2、3年経った頃にはもう引退しているといったケースがほとんどです。引退した場合は、芸能人&タレントから一般人の扱いへと変わるので個人情報、肖像権、プライバシー権(女性タレントが所属している事務所との問題)といったものが厳しく厳守されることになります。また、女優やアイドル、歌手などに転身した場合も名前を変えたり、エロのイメージを払拭しながら違うジャンルで活動することになるため、AV女優やグラビアイドル時代の名前・写真・映像(現役当時に所属していた事務所などが管理している場合もある)などが使用できなくなります。このような事情からお色気番組 = 女性が多く出演するコンテンツは、権利関係や出演者1人1人の情報管理がテレビ局側にとって非常に困難であると言えますね。

例えば、放送開始から最終回までお色気番組に約100人のセクシータレントが出演していたとします。その番組が終了した後、100人の女性タレントが全員が引退した場合、テレビ局は100人分の個人情報を管理し、映像や写真を利用する場合は全員に二次利用の許可を取らなければなりません。承諾を取る方も受ける方も相当な時間と手間がかかります。当時の出演者本人の連絡先や住所などが不明になっているケースもあるため、それならば最初から許可を取らない・映像を利用しない・破棄してしまうという選択肢をとる場合もあります。承諾を得られない人たちの情報まで管理しなければいけないのは局側として結構、大変なことだと言えますね。

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