「プロが作ったエンターテインメント」2020年代に気づく少年隊の凄さ
「令和の少年隊ミュージック論」全起こし⑦【最終回】
⑥の続きです。みなさんからの質問コーナー、ラストスパートです! 時間にして15分くらいですが、「こんなに喋っていたの?」と驚きます(笑)。最終回まで読みごたえたっぷりです。まもなくクリスマスですが、かつてジャニーズの合宿所にも謎のトナカイが現れたようで……。
Text by WE LOVE SHONENTAI編集部
Photograph by 宮田浩史
ジャニーズ合宿所にトナカイ現る!?
鎌田 他にもコメントとかありますか?
高岡 いっぱいありますよ。
スージー あと15分しかないですね。
鎌田 もうファンのみなさんの質問に答えますよ。
高岡 「『じれったいね』に鎌田さんの声が入っている?」
鎌田 あの「あーん」がそうですね。
スージー おー(笑)。すぐに答えた。
高岡 「鎌田さんだけが知るマル秘エピソード。3人の仲のよさとかケンカだとか、レコーディング現場とかで何かそういうのをご覧になったこととかありますか?」
鎌田 植草とヒガシは同い年だからよくケンカしてましたよ。つまんないことで(笑)。
スージー この方は、そのつまんないことを知りたいと思うんですよ。
鎌田 3人でサビ歌うぞってやってるときに、植草がヒガシんとこ歌っちゃったりして。「植草、俺んとこ歌うなよ」「うるせえな」「うるせえじゃねぇだろ」で、ボコボコボコボコ……。
矢野 殴り合いになる。
スージー それは植草さんが悪い(笑)。
鎌田 そんなくだらないこと、だいたい。「足踏んだだろ」とか。
スージー 若い、若いです(笑)。
鎌田 くだらないんですよ。
矢野 若者って感じですね。
鎌田 ニシキはニヤニヤしちゃって、ひとつ上だから巻き込まれないんだけど。しょっちゅうケンカしてました。
スージー いい話だなぁ。
高岡 あれぐらいの年齢、20歳前後ぐらいの1歳違いってけっこう……。
スージー 大きいですよ。
高岡 ですよね。そのひとつ年上のニシキさんと同い年のふたりには、ちょっと距離ってありましたか?
鎌田 まあ、あるでしょうね。面白いのは、(合宿所に)田原俊彦とマッチと少年隊と、中村繁之とか、何人かいるじゃないですか。で、植草とかが風呂に入って髪の毛シャンプーしてると、田原が帰ってきて「植草、出ろ」って言うと、そのままこう(頭に手を当てシャンプーを泡立てるしぐさ)出て、外で待ってんですよ。腰にタオル巻いて。「もう、トシちゃん早く出てくんないかな」って。で、ヒガシがやってても、マッチが帰ってきて「ヒガシ、出ろ」「わかりました」って。ヒガシもこう(頭に手を当てシャンプーを泡立てるしぐさ)やって。体育会のノリなんですよ。
矢野 牛乳パックに「トシ」って書いてあって、それを飲んだらめっちゃ怒られるとか(笑)。それで諸星(和巳)がしくじったとかね。
鎌田 そうそうそうそう。
矢野 そういう話ありましたよね。
スージー 今日は話題が幅広いですね。
鎌田 前ね、僕が行ったとき、昼間ですよ。トナカイのこんなの(トナカイの角を手で表現しながら)をかぶってテレビゲームやってる人がいて。僕は諸星だと思って「お、諸星。社長いつ帰ってくんだ?」って言ったら、「何?」って(振り返って)、見たらジャニーさんだった。
全員 (爆笑)
スージー なぜトナカイ着てたんですか?
鎌田 わかんない。
矢野 そういう気分だったとしか言いようがないんでしょうね。
鎌田 よくスーツ着てんだけど、白いワイシャツの下に「TOSHIHIKO TAHARA」とか、赤文字で書かれたTシャツかなんか着てて。「ジャニーさん、透けて見えてますよ」みたいな。「そう? やっぱり」って言って、こうやって(少し猫背の姿勢をして)ずっと。
スージー イメージが違うな~。
鎌田 最高なんですよ。
スージー トナカイ。これ、今までメディア出たことない話ですよね。今、「トナカイ」がツイッターでトレンドになってますよ(笑)。
鎌田 あるとき、僕がテープを届けに行ったんですよ。ガチャッて入るとリビングにでかいソファーがあるんだけど、そこにマイケル・ジャクソンとシルヴィ・ヴァルタンが座ってて。
スージー ちょっと、ちょっちょっちょっと!?(笑)
矢野 それはやばい。
スージー いわゆるあの、あのマイケル・ジャクソンですよね?
鎌田 マイケル・ジャクソンと。
スージー あのシルヴィ・ヴァルタンですよね?
鎌田 シルヴィ・ヴァルタンが座ってんですよ。
スージー 「アイドルを探せ」。
鎌田 で、「ハーイ!」とか言われちゃって、ふたりから僕が聞かれるんですよ。「ジャニーはいつ帰ってくるんだ?」って。「俺も待ってんです」って3人でソファで待って。
スージー (笑)
鎌田 午後の情報番組見ながら。
スージー (手を叩きながら爆笑)。
鎌田 ちょいちょいちょい会話を交わして、英語で。
矢野 それ何年ぐらいですか?
鎌田 マイケルの『スリラー』の頃かなぁ。
スージー あー、じゃあ、仮に1983年。
鎌田 ジャクソンファミリーは、お父さんからお母さんから、みんなジャニーさんと友達だから、マイケルは友達んちの子どもなんですよ。
スージー はいはいはいはい。
鎌田 で、シルヴィ・ヴァルタンも長~~い昔からの友達だから。日本に来ると、時間があるとみんな遊びに来るわけですよ。だからもう、仕事じゃないんですよ。
矢野 ほー。
鎌田 ちょっと顔見に来た。
スージー マイケルもすごいけど、そのころのシルヴィ・ヴァルタンきれいでしょ。
鎌田 それはそうですよね。なんか宇宙というかね。次元が違うとこ来ちゃった感じですよね。
矢野 ほんとですね。
鎌田 だってシルヴィ・ヴァルタンとマイケル・ジャクソンがソファに座ってることもあんまりないじゃないですか。
スージー すごいですよね。麻雀でいえば満貫ですよね、国士無双ですよね。
鎌田 それもないし、僕がそこの真ん中に座って、会話を交わしてるっていうのもないじゃないですか。
矢野 それはすごい。
スージー 「シルヴィさん、お茶を」とかって(笑)。
高岡 あのですね、えーと……。
スージー もうそろそろラストクエスチョン?
「いないと困る」メンバー3人は“夫婦”
高岡 そうなんですよ。さっきケンカのエピソードをお話しいただきましたので、3人のお互いを思いやってる友情みたいなのがわかるエピソードとか、ご記憶のことがありましたら。
スージー あー、逆にええ話を最後に聞きたいと。
高岡 そうです、そうです。
鎌田 『TIME・19』を青山劇場でやってるときに、植草がバイクに乗ってて車にはねられたんですよ。そのとき錦織が運転手に向かって「てめぇこの野郎」って、もう自分のこと以上に怒り爆発で。やっぱりそういうことなんだなって。それで俺たちも病院行ったりしたんだけど、「もうふたりでやるしかない」と。僕が台本を持って、ヒガシとニシキが朝まで寝ないで植草のセリフを覚えてました。
スージー これはいい話ですね。
鎌田 フォローするんですよ。誰かが振りができてないと、植草にヒガシが振り写しをしたりとか、ニシキがやったりとか、お互いに。
矢野 それは信頼関係ですね。
鎌田 「おまえそこわかんなかったら、俺がこうやってごまかすから」って。
スージー いい話。
鎌田 それでちゃんとやるんですよ、本番。
高岡 めっちゃいい話です。
スージー いい感じで締まってきましたね。シャンプーで終わらせなくてよかった(笑)。
鎌田 あるときね、3人に「おまえたちさ、24時間ずーっと一緒にいてどんな感じ?」っつったら、「空気みたいな存在だな」って。夫婦みたいになってんですよ、3人で。
高岡 ほんとそうすよね。
鎌田 夫婦みたいになってんの、空気みたいな存在。だからいないと困るし。
スージー いい話だな。
矢野 ほんとファミリーですね。
鎌田 そう。いるとケンカもするんだけど、でもいないと酸素なくなっちゃったみたいなね。
スージー えー、いい話だなあ。
高岡 ファンの間では、さっきの事故のエピソードはすごく有名らしいです。
スージー あ、そうなんですか。
鎌田 そうそうそう。
高岡 (チャットで)「その場に鎌ちゃんいたんだ!」って来てますね。
鎌田 いや、俺はね、いなかったんだよ。
高岡 聞いた話?
鎌田 いなくて、俺はその病院に駆けつけたんですよ。そしたらボビーがいて、「ニシキがすごかった、やばかったよ」って言ってたんです。「止めなかったらぶっ飛ばしてた」みたいな。
高岡 アツいですね。
鎌田 そう。だからそのへんは、フォローし合うの。3人夫婦だから(笑)。
スージー いい話で終わりそう。
鎌田 でもほんと最高峰ですよ、あの3人は。僕はたまたま運よく巡り会えて、一緒にできたってことはほんとに末代までの宝というか、誇りですよね。ジャニーさんに出会えたこともそうだし。メリーさんも、それをやらせてくれたっていうのはすごいことで。ほんとにみなさんに感謝です。みなさんがこうやってファンでいてくれることもすごくありがたい話で。ずーっと3人のファンでいてほしいと思ってますね。
スージー 今、コメント欄が「泣」「うわー、今日来てよかった」っつって。「この話、末後の代まで語り継ごう」って言ってますよ。
高岡 「鎌ちゃんありがとう!」っていっぱい流れてます。
スージー まだ鎌田さんもみなさんも生きてますからね(笑)。
矢野 こうやって話してくれてるのがうれしいですよね。なかなかそんな話聞けないですから。
少年隊のプロフェッショナリズム
高岡 矢野さんとスージーさんの少年隊論も、ちょっとお聞きしたいんですけど。
スージー いやいやそんなもん、鎌田さんの話に割り込むのもアレですから。
鎌田 言ってくださいよ、言ってください。
スージー 最後ひとことだけ言うと、やっぱりBTSが頭に浮かぶんですよ。マキタスポーツとの対談にも出てきて。BTSの「Dynamite」。これはいろんなご意見があるかもしれないけど、僕はもう垣根なくすばらしいと思ってて。なんつうんだろう、いつのまにか日本のアイドルが、やや幼い感じとか、あどけない感じとか、ちょっと失敗して「テヘッ」みたいな感じっていうのが普通になって、あどけない少年少女が苦労して、がんばってる過程そのものが商品になってるじゃないですか。で、BTSはこれと違うと思うんですよ。BTSはほんと完成品っていうか。マキタスポーツがあんだけ(対談で少年隊のことを)力説して、今日話を聞いて思いましたけど、言い訳なしに本当にいいものを作るんだってギリギリまで突き詰めていた、さすがにスタジオでメロディ変えるって話は初めて聞きましたけど(笑)、その少年隊のスピリットっていうのが、なんかもっと日本の、特にその若者を相手にしているアイドルと言われるジャンルのなかで盛り上がってくれるといいなっていう。もう単純にBTSに対して「悔しいな」っていうのを、少年隊と重ね合わせて、今日ちょっと感じましたね。
高岡 わかります。少年隊とBTSを重ねる声、もしかして鎌田さん、ときどき聞かれるんじゃないですか?
鎌田 BTS、すばらしいと思いますよ。少年隊も大人っぽいですよ。やっぱりプロがエンターテインメントをちゃんと植えつけてるから。
スージー ですよね。いつのまにかそういうのが……逆に少年隊が珍しかったってことかもしれませんけど、今はないカルチャーですよね。そんなことを思いました。
高岡 ありがとうございます。矢野さん、どうですか?
矢野 いろいろあるんですけど、さっきスージーさんがおっしゃったことはまさにその通りで。プロフェッショナリズムというか、プロフェッショナルであるっていうことが、そのまんまかっこいいんだっていうことを……。僕が音楽を聴き出したのは90年代で、90年代はアマチュアリズムもそうだし、もうちょい生身の感じがかっこいいみたいなのがあって、着飾ったりするのがダサいっていうのが自分の中学校時代なんですけど。そういうなかで、1コ戻って少年隊を見てみると、やっぱりプロフェッショナルなんですよね。そのプロフェッショナリズムをリスペクトしちゃうというか。そこが少年隊にはあります。今BTSの話出ましたけども、K-POPも今、ほんとにループミュージックになっていて。
スージー BTS、そうですよね。
矢野 メロディの展開とリズムでずーっと同じフレーズが続いてく。そういうのが今、主流になってる感じもするし。あと今のシティポップブームとか。そういう視点で眺めると、全部やってるんですよね、少年隊は。山下達郎さんの話もあったし。まさに令和の少年隊論なわけですけど、2022年に気づく少年隊の魅力もやっぱりあって、それはループしてるのに、ちゃんと歌えているということ、そしてダンスもできているから、K-POP以降の時代から再評価できる。実際にYouTubeでみんな見て夢中になるわけじゃないですか。そう考えると、今まで気づいていなかった少年隊の魅力、2020年代だからこそ気づくものがすごくありました。
鎌田 矢野さんの世代が少年隊を認めてくれるってすごくうれしいですよ。
矢野 けっこういると思います、ほんとに。
鎌田 着飾るのがダサいっていうカルチャーのとこで育ってるはずだから、そこはびっくりするくらいですよ。
スージー さっき『ウエスト・サイド・ストーリー』の話が出ましたけど。あの最新版を見て考えるわけですよ。日本でできないのかなって。頭の中でかき集めるんですよ。これは誰、これは誰って(キャストを)ね。でも、トニーがいないんですよ(笑)。少年隊がいたら、あそこの位置に行けたかもしれないと思うんですよね。
鎌田 そうね、そうですね。
矢野 僕、普段、(仕事で)中高生と接していますけど、いますよ、ちらほら。少年隊がいいって(いう子が)。
鎌田 あ、そう。
矢野 今っていろんなところから聴けるし、親世代が少年隊のファンだったりするから。そういう継承があるから、むしろ今の10代後半なんかは、偏見なくスッと少年隊に行けるっていうのもあると思いますね。
鎌田 スージーさんって、なんでスージーさんっていうの?
スージー (笑)今日の2時間のなかで一番どうでもいい話ですよ。
高岡 あと1分しかないところでそれを(笑)。
スージー このメンバーでもう1回……。
高岡 やりましょう(笑)。チャットでも「もっと聴きたい」とか「また配信して」とか「終わらないで」とか反響がすごいので。
矢野 ぜひやりたいですね。
高岡 やりましょう。今日はみなさんどうもありがとうございました。
鎌田 ありがとうございました。
矢野 ありがとうございました。
スージー ありがとうございました。
高岡 見てくださったみなさん、ありがとうございました。
スージー 私が一番楽しみました。ありがとうございます。
高岡 おやすみなさい!
~終~
ここまで読んでくださったみなさん、
ありがとうございました✨
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