歩幅と歩隔

前回のコラムでは胴体の可動性の重要性を述べ、日頃から胴体が固まってしまわないような取組についても述べてきました。

今回は日常動作が胴体に及ぼす影響について解説します。日頃から胴体をしなやかに保つストレッチや意識を持ち続けることは大切で、例えば長時間座っている時等は浅く座って、肋骨が下垂し、円背になり頭部も前方にもたれ、生理的湾曲が乱れてしまうことが多いです。しっかり深く座り、猫背にならないように姿勢を保ち、長時間座位が続いた後はストレッチポール等でも胴体を広げる作業等も必要となります。

この座位姿勢中や座位後の取り組みに対する意識も大事なのですが、他の日常動作として、歩容も大きく姿勢に関わってきます。

まずは脚の前後幅、歩行時のストライドです。胴体が固まると歩幅も狭くなりますし、大腿二頭筋や殿筋群が衰えてきても歩幅は狭まります。歩幅が狭まると骨盤や肋骨、脊椎、肩甲骨の動きは極端に小さくなり、胴体の可動性は失われていきます。中高齢年になると、殿筋や下肢筋力の低下は必定なので、意識的に歩幅を拡げて歩行できるかが分かれ道になります。歩幅を保つように歩行すると、いやがうえにも殿筋群や大腿部の筋肉を稼動させるので、結果として胴体の硬化も緩やかにすることが可能となります。

もう一つの歩容として、脚の左右幅、歩隔も忘れてはいけないポイントで、胴体が固まる、殿筋が衰えてしまった高齢者の多くは極端に歩隔も狭く、結果として殿筋も更に弱体化し、外足(小指側)重心となる為、外反母趾の場合は増長され、O脚となり、膝や股関節、腰への負担、変形が増長されてしまいます。

少しの意識で歩幅も歩隔も変わってくるので、歩容は若いころから意識し続ける必要があるのかもしれません。

もう一つ、歩容に対し相互的に影響する身体の部位は足関節の関節可動域です。

前述のように歩幅も歩隔も狭まった歩行動作だと、殿筋群や大腿部は勿論、下腿筋群も衰えが増長されるので、全体重がのしかかかる足関節にも圧縮からくる負担が増し、可動域が制限されてしまいます。歩容を意識することで足関節の柔軟性も維持できますし、日頃から足関節の柔軟性、可動性を留意した取り組みを継続することも胴体のしなやかさを結果的に保つこととなります。

アスリートであってもアキレス腱損傷等、年齢を重ねると怪我のリスクが増すのに、一般人が足関節のケアを意識せずジョギング等行うのは非常にリスクが高まります。間違いなく膝や腰にも勤続的負担が溜まり、何かしらの弊害が出ることでしょう。

足底筋のしなやかさ、足趾の可動性、足関節の柔軟性等はもっと留意し、日頃のケアを行うべき大切なポイントだと知って頂きたいです。

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