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頭痛を侮ってはいけない-Wellness

こんにちは。Wellnessのパーソナルドクターを務める内科医の中田です。

今日のテーマは多くの人が悩む『頭痛』。その頭痛がなぜ起こっているか、考えたことはありますか?

今回は『予防』に焦点を当てて、頭痛を深掘りしていきます。

1, 見逃していはいけない頭痛を知ろう

皆さん、頭痛が起きた時、どう感じていますか?『頭痛薬を買いたい』『寝ていたい』などでしょうか?頭痛が起こった時にまず気をつけるべきは、『手遅れになると死んでしまう重篤な頭痛』を見逃さないことです。怖い頭痛も勿論山ほどあるのですが、頻度が多く最も怖い頭痛は、『くも膜下出血』と『髄膜炎』です。この2つの病気については最低限知って起き、頭痛があった時に「違うかな?」と考えられるようにしましょう。

*くも膜下出血

「頭痛が起きた瞬間に自分が何をしていたか覚えているような、突然発症する頭痛」が特徴です。「バットで殴られたような痛み」と表現されることもあります。「気づいたら頭が痛かった」というような頭痛ではなく、「一気に最強に達する」頭痛であることがポイントです。アルコールをよく飲む方や血圧が高い方は特に注意が必要です。これからは、『どのように頭痛が起こったか』を意識してみましょう。ちなみにくも膜下出血のリスクを最も高めるのは、高血圧でも糖尿病でも喫煙でもなく、アルコールです。脳ドックを受けることを決断し脳動脈瘤を指摘された場合は、まず減酒を第一の目標にしましょう。

*髄膜炎

「発熱を伴い、首が硬い頭痛」が特徴です。早期発見が難しく、細菌性髄膜炎では10-30%と高い死亡率で、秒単位での早期治療が求められる病気です。風邪症状が先行することもあります。「熱を伴い、意識が朦朧とする」頭痛であることがポイントです。少し専門的ですが、首を水平方向にブンブン振った時に痛みが増悪する(Jolt Accentuation)ことが特徴です。これからは、『頭痛以外に症状があるか』を意識してみましょう。

(※)例えば、頭痛の他に「めまい」や「嘔吐」がある場合には、小脳出血・小脳梗塞といった病気も考えられます。「他にいつもと違う症状があるか?」は常に注意してみましょう。

2, よくある頭痛(一次性頭痛)を知ろう

一次性頭痛とは、「原因となる病気がない頭痛」のことです。主に、片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛の3つを指します。命に関わることはありませんが、生活の質を著しく下げるため予防が大切になります。それぞれの特徴を知っておくとともに、予防法を理解しましょう。

*片頭痛

片側あるいは両方のコメカミ~目のあたりに、「脈打つようにズキズキ痛む頭痛」がポイントで、吐き気やめまいを伴うこともあります。体を動かすと悪化し、暗いところで横になると改善します。時に、「閃輝暗点」というギザギザした光が見えることがあります(前兆症状)。予防として、疲労やストレスを避ける他、ビタミンB2(リボフラビン)の補充によって頻度が減る可能性が高いというエビデンスがあります。月に2回以上発作がある場合には、病院で出す予防薬(Ca拮抗薬etc.)の内服も検討します。

*緊張型頭痛

両側に、「ぎゅーっと締め付けられるような頭痛」がポイントです。片頭痛と違い、歩いても悪化しません。肥満、喫煙、運動不足が独立した危険因子とする報告があり、予防としてまずは生活習慣を整えることが大切です。また、「肩コリに関連する頭痛」として有名で、デスクワークの方は適度に肩を回す、運動する、温めるといった工夫も予防に繋がります。毎日のように頭痛がある場合には予防薬の内服を検討します。

*群発性頭痛

「じっとしていられないような、目の奥をえぐられるような頭痛」がポイントです。ある期間に集中して症状が毎日のように起こり、男性に圧倒的に多い頭痛です。一度なったら群発期間を把握しておき、寝付きの悪さや夜間の覚醒といった予兆の段階で予防薬を飲むことが大切です。また、アルコールや喫煙、睡眠不足が悪化因子となるため、生活習慣を整えることが最も重要になります。

3, 防げる頭痛を知ろう

上記の他、日常的に見られがちな頭痛を2つ紹介します。アルコールや薬など、身体に負担のかかるものはなるべく取らないのが一番というお話です。

*アルコール性頭痛(二日酔い)

アルコールを代謝する過程で生じるアセトアルデヒドの蓄積によって血管が拡張し、頭痛を起こします。どんなお酒でも大量に飲めば起こりますが、血管拡張作用のあるポリフェノールを含むワインや、微量のメタノール(エタノールより分解に時間がかかる)を含むウイスキー・ブランデーを飲んだ次の日にはより起こりやすくなる可能性があります。また、アルコールを分解するために水分や糖質が枯渇することで、脱水や低血糖で頭痛が起こっていることもあります。自分の適量を知り、水分をよくとることが大切です。二日酔いで頭痛薬を飲む方がいますが、これは絶対に避けましょう。肝臓に負担がかかり脱水にもなっている状態でロキソニンのような鎮痛剤(NSAIDs)を飲むことは、心臓や腎臓など臓器に大きな負担がかかります。

*薬物乱用頭痛(MOH: Medical Overuse Headache)

「薬を飲んでいるのに毎日頭が痛い」という訴えがポイントです。もともと生活に支障をきたす程度の片頭痛がある方が慢性的に鎮痛薬を飲むことで、痛みに対する感受性が過敏になることが原因と考えられています。薬に依存してしまう人は増えており、疑い例を含むと片頭痛・緊張型頭痛の次に多い頭痛と言われています(特に頭痛外来ではよくみられます)。薬の用量は必ず守り、「痛くなると思うから先に飲んでおこう」といった飲み方は避けるようにしましょう。生活習慣を整えるのが一番です。

さて、今回は様々な頭痛について整理し、注意点や予防法について示しました。症状が起こる仕組みやリスク因子、治療法を深く理解することで漠然とした不安が解消し、自分にできることに確実に取り組めるようになります。

気になる症状や将来の健康に不安がある方は、是非Wellnessの無料カウンセリングをお試しください。医師がマンツーマンで、あなたの課題に向き合います。

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