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雑誌のライターとwebライター

今は、ライターって名乗れば誰でもなれる職業だと思います。私がライターになった二十数年前当時は、ライターといえば、雑誌でクレジットがのるライターのことでした。自分の名前が載った時はとても嬉しくて、スクラップにして大事にしたものです。

さて、雑誌のライターとwebのライターの違いについて今日は書いてみたいと思います。大きな違いで言うと、校正がしっかりあり、字数制限があるのが雑誌のライターの大きな特徴だと思います。1回刷ってしまえば、間違いは訂正できません。(その次の号で訂正とお詫びを出したりすることもありますが、これは基本的にはしたくない)だから初校と色校と2回だします。校閲さんも入ります。ギラギラ目を光らせて、修正します。昔は、バイク便なんかで飛ばしてもらった校正紙も、今はPDFにしてメールで送れるようになりましたから、かなり作業がスムーズになりました。(私がライターになりたての頃はワープロで、フロッピー入稿溶かしてましたから汗)それでも、校了の時は編集部に行くこともまだまだありますから、とにかくチェック、校正は入念です。

webの記事を間違えていいって言ってるわけじゃないですよ。こちらももちろん、校正だしてますし、します。でも間違いを見つけてもすぐに訂正することができるというのは、紙と大きな違いですよね。

そして、字数制限。これも雑誌の大きな特徴ですよね。雑誌は、デザイナーさんがレイアウトを組んで、字数もきっちり組みます。ズレてもせいぜい1行増やすか、減らすか程度。基本的には、ネームもデザインの一部なので、早々変更はできません。大体のネーム数はレイアウトを入れる際に、このくらい欲しい、と伝えますが、デザイン上のことで、減らされたりすることもあります。

そのくらいデザイン、ビジュアルにこだわっているのが紙です。

でもそこが好きです。

ただ。

その字数制限にものすごく苦しめられることもあります。

これも書きたい。あれも書きたい。だけど、字数制限があるから、全部は書けません。要約にも限度があり、本当に少ない時はほんのちょっとしか書けません。取材はたくさんしていますから、その中から一番相応しい内容を選び、ギュギュぎゅっと縮めてわかりやすく書く。これがライターの仕事。

私は、欲張りライターさん(まとめが下手とも言います)だったので、この作業で、内容を減らさなければならないことがとても苦しい時がありました。だけどそれがプロ!わかりやすくコンパクトにまとめる!まとめなければならない!

そう思って、ライター業を続けてました。

色々な雑誌で書かせていただいてきましたが、本当に本当に本文が少ない時は泣きそうでした。どうやってこの字数にこの内容をまとめるんだ!名前だけで10文字だぞ、、、、とパソコンの前で数時間何も書けずに座っていたこともあります。一文字がものすごく大切なので、必要ない表現はどんどん削る。

デザイナーさんの理想とする字の位置、量は理解できる。だけどさ、このネーム数でさ、この内容をどうやって書くのよ。何度心の中で叫んだことか。長時間かけて書いた原稿を、まるまるっと編集さんになおされた時の切なさ。いや、私が未熟ゆえになおされていたんですけどね。

私はどうも語り手さんの口調をそのまま書きたいという気持ちが強いようです。でもそれだと要約できないので、大体こちらでまとめ直すのですが…でも、語り手さんの話し方、言葉の並べ方でその方のひととなりや、言いたいことが凝縮されてると思うんですよね。これには色々な意見があると思うので、このへんにしておきますが、今でもあのまとめが良かったのかどうかはわかりません。だけど、キュッとまとめた文章が載った初校を見るのは嬉しかったですね。このネーム数の中で仕上げる、だからこそ、雑誌のお仕事は本当に面白くて、勉強になることばかりでした。編集者の方がいて、カメラマンさん、モデルさん、ヘアメイクさん、スタイリストさん、デザイナーさん、ライター。チームがそのページを作るために動く。一緒に製作物を作り上げる作業は、とても好きでした。

そんなわけで、雑誌を中心に、何文字何行でまとめる、という作業をひたすら繰り返し、ライターを二十数年やってきました。

産む時は苦しい。でも。

きっちりと、その字数ギリギリにまとめられた時の快感といったら。

アドレナリンが出る瞬間ですね。

だけど、webはまず字数制限なるものはありません。ページ制限ないから当たり前ですが、制限ないから、いくらでも書けます。といっても、ダラダラと書いていては読んでもらえないので、もちろんコンパクトにまとめようとはしますが、雑誌ほど厳密でなくてもいいのです。


最初は、これに手間取りました。ラフがあって、デザインがあって、字数が決まっていて、、、その雑誌のやり方で生きてきた私はこのやり方に慣れず、どのくらいの字数があれば良いか、と言うことをいちいち最初は聞いていたように思います。

だけど、今は大体こちらの裁量に任せてもらっているので、自分で判断してまとめて書いていますが、いつも長くなってしまう。伝えたいことはたくさんあるからです。だけど、やっぱり人はコンパクトに、わかりやすく、楽しく、読みたい。だから、ダラダラと書いていてはダメなんだと思います。まだまだwebの記事の方は勉強することいっぱい。

今、だいぶwebの記事を書くことが多くなりました。

雑誌の時は、レイアウトが出てからそれを見ながら、イメージを膨らませて書くことが多かったのですが、webの場合は、デザインがしっかり決まってないうちに書くことが大半です。だから、実際にネームを入れてもらった時に見ると、ちょっと多さが気になるな、ということが多いんです。難しい、、、、


紙がだいぶ減って、どんどんwebに移行していますが、私は雑誌が好きです。

なくならないでほしい!

雑誌には雑誌の、webにはwebの良さがあり、使い勝手もそれぞれあると思います。いいバランスで続いていってほしいと思ってます。


正直、今後の雑誌ライター、webライターさんがどうなっていくかは私もわかりません。昔、ライターになった時に専門性が欲しいと思って美容ライターになりましたが、今求められているのは、専門性は当たり前で、ただ美容だけではだめ、美容のその先。美容を専門としながらも、たくさんの知識を備え持っていないとダメなんだろうと思います。

私は、美容では満足できずに、その先のウェルネスに魅力を感じ、この道に進みました。あっちもこっちも、とにかくその時興味を持ったもの、魅力を感じたものなど、いろんなことに手を出してきましたが、今はこのバラバラの点がつながっているような気がしています。

だから、これからも興味を惹かれたものに関しては、どんどん足を突っ込んでいこう!と思ってます。


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