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非財務情報の開示に備えていますか? 経営戦略のトレンドは「人」

8月22日に始まった「令和4年度健康経営度調査」も4週目。中盤にさしかかりました。本記事では、今年の調査でも潮流が明確になった「非財務情報の情報開示」について解説します。

企業戦略を「健康経営®」の観点から振り返り、今後のトレンドを取り込む年に一度のチャンスです。逃さず活用しましょう。

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非財務情報の情報開示は、具体的内容がまもなく示される

7月25日に開催された日本公認会計士協会定期総会に出席した岸田文雄首相は挨拶の中で、非財務情報を有価証券報告書の記載事項の具体的として位置づけ、来年度から開示を義務付けることと、その具体的な内容を秋頃に示す考えであると表明しました。

政府は、企業の情報開示について、人材育成方針、男女別賃金、女性管理職比率などの人的資本・多様性に関する情報や、近年とりわけ投資家の注目を集めている気候変動対応などのサステナビリティに関する情報有価証券報告書の記載事項として位置付け、来年度から開示を義務付けることとしています。その具体的な内容については、現在、金融庁において検討しており、本年秋頃には、お示ししていきたいと考えております。
 (太文字はWellGoにて加筆)

日本公認会計士協会定期総会 総理挨拶(2022/7/25)

非財務情報として人的資本・多様性に関する情報とサステナビリティに関する情報が挙げられ、この秋にも具体的な内容が示される方向です。
これは、政府の進める「新しい資本主義」のコンセプトの一環として行われるものです。

新しい資本主義については、6月の経済財政諮問会議(R4年第8回)・新しい資本主義実現会議(第9回)にて、グランドデザイン及び実行計画(案)が示されました。
この中で、非財務情報の市場への開示強化指針の整備は、重点投資の筆頭項目に位置づけられた「人への投資と分配」のひとつとして明確に示されています。

世界の流れはすでに「無形資産」に向いている

米国市場の企業価値評価は人的資本・知的財産資本の量や質といった無形資産を高く評価する流れになっています。2020年には、米国証券取引委員会(SEC)が人的資本に関する情報開示を義務化しました。

欧州も同様の流れです。2019年には ISO30414(人的資本に関する情報開示のガイドライン)が示されました。この中で、人的資本の領域として組織文化(エンゲージメントなどの従業員の意識)や健康・安全といった指標が明示されています。

R4健康経営度調査でも指標の「可視化」が進む

このような世界の潮流を踏まえ、日本でも今後は非財務情報の開示が強化される方向となっており、今年の経営度調査票でも情報開示がより具体的な内容を問うものになり、可視化の指標となるポイントが示されつつあります。

例えば、経営層の関与を示すものとして、経営会議での議題化の内容や回数を記載する項目や、従業員への浸透を示すものとして、健康経営施策への従業員の参加率を問う項目など、定量的・具体的な項目が追加されています。

経済産業省「令和4年度健康経営度調査」の例


人への投資の具体的指標、ありますか?

R4健康経営度調査では、人的資本への投資として、従業員の業務パフォーマンス(アブセンティーイズムプレゼンティーイズムワーク・エンゲイジメント)に関する項目が具体的になりました。測定方法の開示と開示URLの記載が求められるなど「見える化」が促進されています。

経済産業省「令和4年度健康経営度調査」の例


従業員の業務パフォーマンスや満足度、社内の活性度といった質的な状況を定量的な指標で評価するには、平常時に得られる勤怠、健康診断、問診などのデータと、従業員に対するアンケート調査をうまく組み合わせて分析し、その結果を踏まえた健康施策を具体的に実施して環境を整備するマネジメントが重要になります。

データのとりまとめや健康施策の企画・実施、アンケート調査は、頭では重要な人的資本への投資だとわかっていても、日々の業務に追われながらでは負担が大きく、人の手に頼っていると持続が難しくなりがちです。

非財務情報の情報開示には、適切な指標をもとに多様なデータを統合管理するシステムを活用して人への負荷を軽減し、タイミングを逃さず施策を打てるよう支援する「健康経営プラットフォーム」の構築によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)」が不可欠といえそうです。


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