2.4 書類を片付ける。シュレッダー必須

 実に偶然なのであるが。

実家の片付けとリノベにとりかかる近い未来が全く見えていなかった時期に、なぜか私はちきりんさんのリノベ本を読み、カナメと一緒にNetflixで「Tyding Up with Marie Kondo」をすべて見ていたのだ。英語圏で話題になっていて何気なく見始めたのだが、非常に感銘を受けた。特にカナメには大きなインパクトを与えたようだった。米国で日本女性が正攻法で成功していることも衝撃的だったし、その内容が単なる片付けメソッドのノウハウを伝えるものではなく、それぞれのストーリーが胸を打つものであったことで、脳裏に焼き付いてしまった。そしてカナメは、今後の人生を考えたときに「実家をキチンと片付けること」を、最優先課題の一つに置くことにした様だ。

っちゅうことで。私たちの実家の片付けプロセスも、こんまりメソッドを踏襲するものであった。衣類を片付け、本を片付ける。容量にすると、これだけで相当の量をさばけるので、かなり片付いた感と達成感も得られる。これからも片付けを続けていくことができるという自信もできてくる。

書類の整理は、カナメの判断基準を待つまでもなく、思い出品に分類されるようなもの、明かなに重要書類だとわかるものはまとめておいた。本の片付けにひと段落をつけたカナメが、残された書類の山を再チェックし、フォルダにまとめたり、保管箱に分類して入れたりした。書類とともに小さな雑貨も紛れているので、それも一緒に分類していった。

書類の片付けは、衣類や本と異なり身体を大きく使うことがない。畳の上に座布団を敷き、ゆっくりと座ってお茶を飲みながら一枚一枚確認していく。義理とは言え、若い時の義父母の人生の足跡を見つけることも多く、感傷的になることもあれば、騙されたとしか思えない高額商品の領収書を見つけて唖然としたりもした。

そして。

個人情報がたーんまり、である。

そのまま燃えるゴミに捨てるのは正直ためらわれるので、最初のうちは手で千切っていたが、私自身が使っていたシュレッダーはソウルに廃棄してきたので、この際、今のタイミングで買ったからと言って支障があるわけではない。すぐに注文した。購入したのはコレ。

ちなみに、帰国して以来、カナメはなぜか「アイリスオーヤマ」ファンである。もともとコスパのいいものを買うことを趣味としている彼には、アイリスオーヤマのどの商品も、求める機能はキッチリ提供してくれて、しかも安い!らしい。ということで、私ではなくカナメのセレクトである。私なんぞ、まとめて粉々にしてくれれば何でもええねん.....。

 無事にシュレッダーが届き、個人情報がチラとでも入っている書類はすべてシュレッダーにかける日々が続いた。何度となくシュレッダーから粉々になった紙をゴミ袋に移さねばならなかったが、その際に盛大にこまかくなった紙を撒き散らしてしまう。その度に掃除機もかける。

それでも作業は室内だ。エアコン効いてる部屋だ。天国だ。

  そう言えば。実家の片付けには、エアコンがついていない部屋の片付けも含まれる。私たちの場合は、屋上に作られたプレハブ小屋の片付けもあった。悲しいことに作業は真夏で、毎日べっとりと汗をかいた。片付けにおいて、自身が着る服の洗濯も忘れてはいけない。汗だけではなく、ダニもホコリもつく。

 ところで、書類の処理は時間はかかるものの、意外と簡単ではあった。すでに誰も住まなくなって10年以上も経っているので、その期間に必要とされた書類は一つもない。カナメの判断を待つまでもなく、大方のものは廃棄できる。義母はダイレクトメールなどもそのままにしていた時期があったので、そのあたりは考えずに捨てることができる。家族が残した手書のメモなども、内容を見れば重要そうなものとそうでないものは区別がつく。思い出品に分類されそうな書類だけは分けておいて、カナメに最終確認してもらう。私の方はそのまま可燃ゴミまたは資源ゴミの袋に入れるか、「個人情報の入っている書類」に分ける。個人情報(住所や名前など)の入った書類はまとめてシュレッダーにかける。このシュレッダー作業が意外にも長時間に渡った。ダイレクトメールには宛名が書いてあるし、金融機関などから来る封書などは、中の書類にもあちこちにトラップの様に個人情報が散りばめられている。

そんなに面倒なことをするなら、すべてシュレッダーにかければいいのに、と思うかもしれないが、いかんせん個人用のシュレッダーで、一回につき5枚程度しかさばけないので意外と時間がかかる。シュレッダーにかける紙は一枚でも少ない方がいい。時には、書類全体ではなく、書類の名前部分だけちぎってシュレッダーにかけるようなこともした。

とにかく、過去の書類を片付ける時に個人情報を守りたいと思う方は、シュレッダーを準備しておくことを強く強くお勧めする。DVDやプラスチックカードも裁断できるものだと尚良い。意外と個人情報は書類のいたるところにあるのだ。

ただ、デメリットもある。空気を含んで細かく裁断された紙は、意外と質量が増えてしまう。そして資源ゴミでは出せずに可燃ゴミ扱いになる自治体がほとんどだと思う。シュレッダーにかけられた細かい紙が大量に入った複数個の大型ゴミ袋を収集日に出すと、なにやら事業ゴミの様にも見えなくはないが、とりあえず問題なく回収されていった。

 雑然とあちこちに散らばっていた紙類の整理が一気に進むと、片付けの大半が終わったような気分になって、これまでの疲れも少し癒える気がした。

よし、明日からもがんばろう。


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