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なぜあなたは家の中にあえて段差をつけようとするのか

 とある工務店の動画を見ていた時にカナメくんが叫んだ。

カナメ「なんで?なんでそこに段差つけるかな?」

いわゆる「ダウンリビング」と呼ばれるものである。ダウンフロアサンクンリビング(sunken living room)とも。リビングのエリア一体が周囲から一段下がった感じになっていて、ちょっとした区画感がある。

その段差の設置目的に興味があったので身を乗り出して見ていたら、その段差を利用してちょっと座ったりするのに使うとのこと。なるほど。ホームパーティーなどを頻繁にされるお家であれば、その人数分の椅子を用意する必要はなくなる。ダウンリビングが欲しいなと思う方の気持ちは分からないでもない。

それでも大声を出したカナメの言葉に、同調してしまう私。

私「あああ、夜中に寝ぼけて転けるやつやな……。年取るとちょっとの段差でも怖いんやけどな。」

マジで危ないんですよーっ!!!!!

家の中の段差は、一ミリでもない方がいい。

車椅子の生活になる未来があるとかないとか、そんな大袈裟な話ではない。とにかく段差はアクシデントのリスクを指数関数的に上げる。ハイハイしたての子供が転けて、角で頭を打つ可能性だってある。子供が集まればハイテンションになっておふざけが始まる。そこで事故が起こらないとも限らない。結局、その年齢の子供がいる場合は、角部分に安全クッションを貼り巡らすことになる。

安全のためとはいえ、それは実に美しくないのだよ。

とにかく、とにかくだ。できることならば、家の中すべて、水回りもキッチンも、単調なまでにフラットにして、段差を一切噛ませずに設計することをお勧めする。

その設置コストを考えれば、高級ソファーを置いてもお釣りが来るかも。

調べてみたら、こんな動画を見つけた。

そうなのだわ。

子供の頃からの夢で、これをやらないなら家を建てた意味がない!とまで思い詰めている方には何も言わないけれど、なんとなく良さげと思っている程度ならば、全力でお止めしたい。自宅内にある見えているリスクはできるだけ減らしておく方が絶対に良いのだ。それでもリスクはゼロにはできない。

そして、ロボット掃除機が困るっ!!!そこだけ掃除してくれないよっ!!!
ホコリって隅に溜まりがちだけど、それがリビングのど真ん中にあっていいの?

段差以外にも、素材にもトラップがある。

海外(特に暑い国)ではあるあるでも、日本人には違和感たっぷりの「大理石の床」の存在。子供がおふざけして転けて頭を打ったら、一発であちらの世に行けてしまうやつ(汗)。

日本でもそれを好んで施工されることがあるらしい。それも小さいお子さんがいらっしゃるようなお宅で!!!工務店の方も一応は注意喚起されるそうなのだけど、施主さんの強い希望があったらその通りにせざるを得ず。

ちなみにうちの両親は台湾に駐在していた時期があり、その時に何度か遊びに行ったのだが、リアルにお風呂上がりにツルツルの床で豪快に転倒したことがあった。母に聞くと浴室でも転けたことがあるから、それ以来、浴槽内にも転倒防止のシートを敷くようになったとか。

大理石のテーブルも、実は怖いのである。私の世代では知らない人はいないほどの有名な漫画家だった方が、引越し時の事故(大理石のテーブルで頭を強打)で突然お亡くなりになってしまった。不慮の事故とはいえ、テーブルの素材が違っていたらと思わずにはいられなかった。

さてさて。実は、高齢者の転倒の5割以上が自宅内!!

大理石の床で転倒なんて怖すぎるっ!!!

そして、段差で転ぶことがいかに多いことか!

私なんぞ、自分自身が浴槽内で何度も寝ちゃった経験があるので、シニアになって水没する自分の姿が何度となく見えた。ということで、居室には浴槽はなくシャワールームだけである(いや、本音は浴槽の掃除がキライなだけなのだが…….。)。

シニアになるとさらに懸念が増える。備える必要のあることは色々とあるのよね。

火事が怖いので、オール電化にするとか、

足を引っ掛けないように、ケーブルを床に這わせないような工夫をするとか、

棚など重いものが落ちないように固定するとか、

そもそも椅子に乗って取らないといけないような場所に棚を設置しないとか、

深夜でもアクセスが容易なように廊下には人感センサーライトを設置しておくとか、

ヒートショック防止のためにトイレには人感センサー付きヒーターを置いておくとか、

ちょっとした対処でぐんとリスクを減らしておける。

細かいリスクを上げるとキリがないけど、意外と家の中には危険がいっぱいなのだ。

カナメ「まぁリスクなんてさ、なんでもかんでも備えるっていうよりかは、発生頻度にもよるよね。大きな地震が来たときのリスクに備えるってのもあるけど、それよりも毎日の生活で頻繁に遭遇する小さな段差なんかは、対処すべきと思うけどな。」

まさにそれ。

ちなみに暖房効率が最も良いものはエアコンらしいけど、気密性と断熱性の高い住居にしておくことが前提なのだ。

日本では、表面的な顧客対応にめちゃくちゃ「おもてなし感」を出して丁寧にやっているように見えるけど、本当の意味で顧客の満足度を上げるには、社内の無駄を限りなく省く努力をした上での適正な価格とサービスに尽きる

IKEAのサポートとかすごいからね。

ということで、ダウンリビングをお考えの方、今一度ご再考を!


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