見出し画像

1980年代後半のカフェワーク

 今でこそ、カフェにラップトップを持ち込んで仕事をするのが一般的にはなったが、カフェで仕事をするようなことが、かつてはなかったかというとそんなことはない。

作家さんは喫茶店で煙草を燻らせながら、原稿用紙にペンをいれていたりした。そして、私自身のカフェワーク歴も、かなり長い方だと思う。

私が新卒で入社したのが外資系のコンピューターメーカーだったのだが、当時の女性の大学進学率は1割程度。かつ採用枠に総合職と一般職という分け方があった時代に、今でいうジョブ型採用の「エンジニア職」として入社した数少ない文系出身者であった。そしてその時の私はバリキャリ第一線を果敢に攻めており、まさに24時間戦闘モードであった。いや、マジで。

一人での出張もあれば、当然、客先にも出向く。プレゼンもすれば会議にも出る。複数社が集う会議室の紅一点というのがデフォで、よく男性同期に「女性というだけですぐに名前を覚えられてズルい」などと言われたこともあったな。束になった名刺の女性名が私だけだったからだ。トラブル時には現場で人質要員になったことも(私が開発したヤツじゃないのに!!)。女性の方が、客先の怒りが多少和らぐという思惑があったと思われ......。

それくらい割とレアな存在だったかもしれない。

さてさて。当時からなので、カフェワーク歴は35年以上になる。

 客先の最寄りの駅まで出向いたところで、時間調整をすることが多々あった。アポが午後一番の場合は、ランチを食べて珈琲を飲んで時間を潰すことが多く、それ以外の時にはカフェ..........ではなく、当時かなり頻繁に出入りしていた場所がある。それは、

ミスタードーナッツ(通称ミスド)

である。

その当時の記憶では、どこの駅前にも必ず店舗を見つけられるほどで、珈琲とドーナッツ一個(安い)で、そこそこの時間を潰すには格好の場所であった。

その頃は、スマホどころかラップトップのコンピューターすら実際に持ち運びに耐え得るものは多くなく、もちろんネットにつながっているわけもない。そんな時代にカフェで何をしていたのか。

手帳を見たり、それにペンで予定を書いたりしていたのだよ.........。

そして、仕事関係の資料を読んで、メモを書き込んだりしていたのだよ.......。

日経新聞やコンピューター系雑誌、プログラミングの本を読んでいたことも。

その当時、すっごく困っていたことがあったのだが、それは「A4サイズのフォルダが入る、レディースのビジネスバッグが市場に皆無」だったのだ。

このサイズのバッグは男性用しかなく、女性用はなぜかハンドバッグかトートバッグっぽいものしかなく、半年ほど探し続けて、ようやくキャメル色の横長のバッグを見つけた時には、小躍りしてすぐに購入した。数万円したと思う。

びっくりするよね?
今や女性用のリクルートバッグなんて、どこでも買えるし。
そんな時代があったのかと思うだろうが、あったのよ!!!!
A4サイズの書類が入る女性バッグのニーズが、ほぼほぼなかった時代が!!!

なので、一人で客先資料を必死の形相で読み込み、必要な場所にはメモを書き込みまくっていたなぁ。今みたいに、その場でスマホでチラッと検索することも電話で会社に確認することもできなかったので、客先で即答できないことがあると、すべて手書きでメモを残して、次回のミーティングはその返答から始まる…..みたいなことをやっていたなぁ。

というわけで、そんな時代から一人でカフェワークをしていたのだけれど、それ以前の学生時代にも、もともとバックパックを背負って一人旅(アジアと国内)していたので、一人での行動には1ミリも違和感も不安感もない。

最近、「海外では一人での食事を許容しない文化もあり、日本はおひとりさまに優しい」という記事を見かけるようになって、ハタと思ったことがあったのよ。

韓国はつい最近まで「一人で食事をすること」を非常に嫌うカルチャーがあった。最近は一人でカフェワークする人が増えて、そこから一人での食事も違和感がなくなってきたように思う。

1980年代当時は、何度も訪れた韓国の飲食店でいつも「一人?」って聞かれていたけど、だからって「一人で食事したらいけないルール」があるわけでなし、別にどうってことなかったよ。

つまりどんな国でも「本人が気にしなければ一人で食事していい」わけで。他人にどう思われようと、別に人に迷惑かけているわけじゃないなら、気にしないでいいのだよと、どこかに書いておかなきゃと思いたったのだ。

許容されない文化が存在する

というよりも、そういうものに敏感になって行動を起こせない自分、がいるだけ。

自由って尊い。一人で行動できると強い。
そして一人の方が、色々な人と繋がることができたりするのよ。
常にグループで行動すると、新しい人と出会うための時間が減っちゃうからね!

あああ、また旅したいなぁ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?