副業推奨のムードに物申すで

 過去に色々なことをやってきたのだが、実務翻訳者になる前に(というかなった後にも)、心の底からやりたい仕事があって、その準備に熱中していた時のことだった。朝から晩までそのことばかりを考え、ネットにも情報サイトを立ち上げて、その当時の自分にはできる限りのことをしたつもりだったが、いかんせん時間が足りない。何をどうやってもスピーディにコトを進められない。そんな折に、自分とターゲットは違えど、似たようなことをやっている日本人男性を見つけてしまい、その人の言動をモニターするようになった。

 彼はキラキラのキャリアを持ち、頭脳明晰でパッションに溢れ、順風満帆でそのサービスを展開しているように見えた。当然のように株式会社を構え、CEOの座についた。

 悔しかった。持てる時間の全てを仕事に当てられる彼が羨ましかった。

 子供4人を抱えて毎朝5時半に起きて、お弁当を作り、家事をして、夫のカナメの話を聞く。その残りの、私が自由に持てる時間の全てを注いでも、彼ほどの時間を捻出できない。睡眠時間を削っても削っても、脳は冴えずに思考は劣り、キラキラキャリアで頭脳明晰な彼の思考には大抵及ばず。

何に負けたのかな。

環境の差のせいにはしたくなかったが、そもそも脳味噌の出来が違う。

たぶんこれを突っ切ることは、離婚することを意味するのかなと漫然と思った。

それ、違うくね?

すべてをうまいことマネージできるのが、真に頭の良い人なのでは?

と思い直した。

自分なりのスタイルを模索するしかない。自分の人生だからね。

ビジネスの世界は、少なくとも初動の頃は、寝ている時間も脳をフル活動させているような感じで、それでも遂げられないことばかり。

副業で大成功なんて、できるわけないやん!

競争相手は、朝から晩までフル回転でやっているのに。

もちろん、副業で成功している人はいるよ。でも、それは本業で成功しているような人が、その研ぎ澄まされたビジネス感覚でもって、横展開しているような場合が時々散見されるだけ。または「そちらが本業では?」という才能とスキルを元々持っている人が、マネタイズに成功したなどで、例としては圧倒的な少数派である。何らかの副業をしている人のほとんどが、すべて大成功しているわけではない。

月額にして数万円プラスするという程度のスタンスなら、難しくはない。でもそれならば、本業で本気で結果を出して、社内で評価される方が簡単かもしれないし、本業と関連した何か(関連する分野での書籍を出版するとか)であれば、それは本業+αであって副業というものでもない。

副業というものが、労働+労働の単なるダブルワーク、つまり労働報酬の足し算でしかないなら、本業でがんばれよと思うし、今の環境から脱するための足がかりにするなら、それは次の本業への鞍替えのための自己投資であって副業というようなものでもない。

そのため、将来に悩める会社員の若い方は、副業よりも

本業+投資

のスタイルで行くことをオススメしたい。投資は、リスクもあれど労働報酬ではないからね。

ピケティ氏が唱えた「r(資本収益率)>g(経済成長率)」の法則が当てはまる限り、「r」を意識しないと将来詰むのであーる。

ピケティ氏については、2014年に以下の本と雑誌の特集くらいしか読んでいないが、それで十分だよ。大事なのは、理論を詳細まで理解することよりも、大まかな流れと本質を理解して、自分がアクションをとることの方だから。

ということで、ざっくりと。フリーランサーの私が伝えたい、重要視すべきことは以下の通り。

1、本業のレベルを上げるために自己投資する。

まず自分のいる業界についての学びを深めることだ。有利に働くスキルがあるなら、会社任せにせずに自分のお金を投じて勉強すること。その際に、資格学校に行くという発想はやめること。その発想がすでに学習に能動性がない。まずたった一冊の本からでも、できるだけ多く学びとる努力をすること。と同時にたくさんの本から、必要な箇所だけをピックアップするスキルを獲得すること。スキルアップすると、本業の報酬が上がる可能性が格段にUPする。そしてそれが将来の投資の原資となる。

2、積立NISAとiDECOを始める

ネット証券(楽天かSBI)に口座を開設して、少額でもいいから今すぐに始めること。積立については時間を積み上げるしかないので、早く始める方が圧倒的に有利である。これは深く考えずに無理のない範囲で淡々とその仕組みを利用すること。

3、投資情報を収集する

「クレカで暗号通貨を買って億ったー」という人を見かけるかもしれないが、バクチをやってもメンタル病むだけだ。おすすめしない。

楽天マガジンなどの読み放題サービスや、kindle unlimitedを利用して、マネー情報を読みまくる。その中で自分に合いそうな投資スタイルを模索する。情報収集は早く始めた方が有利だ。

4、見栄消費から完全に足を洗い、できるだけ貯金をして原資を貯める

見栄で幸せは買えない。でも快適な住環境、美味しい食事、誰にも譲れない自分だけの趣味、気のおけない楽しい仲間や家族は、幸せに大きく貢献する。お金と時間をかけるならそちらだ。ちなみに見栄消費には限度がないので、そのサイクルに陥っている間は、原資が全く貯まらないので実にクリティカルである。

5、原資がある程度貯まったら、自分のスタイルで投資を始める

投資についての王道はなく、個々人の性格との相性がある。これは本人にしかわからない。不動産投資が向く人もいるし、株式投資が好きな人、FXトレーディングが三度の飯より好きという人もいるので、一概には言えない。

 前述した通り、労働報酬をいくら足し算しても「r」の世界には絶対に近づかない。若いうちは本業にエネルギーを投入しつつ「r」の世界をチラチラと常に意識して動くことが大事だ。そうすると別の世界が見えてくるはず。その頃には本業の方も多少力を抜いてもスルスルと動けるようになっているので、それから次の展開を考えても遅くないよ。

言いたいことは、労働報酬を得る副業をするくらいなら本業をがんばれやるなら労働以外に経済的価値を得る何かの方で、それは個々人の性格によって異なるので、早いうちにそれを見つけてトライ&エラーすべし、ってことであーる。

投資についてざっくり知りたいなら、インベスターZを全巻読むのが一番早いで。全高校生に読ませたいくらい。マジで。


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