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大胆予想!リノベ業界の次なるトレンドは、駅近商業ビルの住宅転換かもよ?

 これから向かう日本の未来で、確実に起こり得ることがいくつかあるが、その中でも「少子高齢化」というのは「すでに起きている現実」となっている。この状況は、さらに悪化するしかない。国が移民政策を大きく転換させるようなことでもない限り、人口は増えない。そして人は必ず老いる。

日本に住む人々が、そんな状況でも「少しでもマシな環境を維持する」ためには、人々が思い思いに色々な場所に薄く散らばる未来は非効率極まりない。個々人が自給自足の生活をするというなら止めないけれど、インフラの維持にはそれなりの公的資金を使うことになる。そして「数名しか住んでいない村に通じる道路の整備」よりも、多くの人が住み、多くの住民税や固定資産税を払ってくれる人のいるエリアの開発が優先されるのは言うまでもない。

要するに、地方都市はコンパクトシティ化を目指さない限り、完全に詰むのである。パラパラと辺鄙なところに自らの意志で住んでいる人たちの対応に、コストなどかけてはいられなくなっていく。国が豊かで有り余るほどの資金があるならば、ザブザブとご支援できたかも知れないけれど。

地方都市では、自家用車を手放した高齢者たちは、徒歩圏内ですべて完結できる駅近のマンションに移動し始めている。とはいえ、そういった駅近のマンションの供給が十分にあるかというと、そんなことはない。そして田舎の古民家を売ろうと思っても、駅近マンションに引っ越せるほどの売値がつくとも限らない。

行政側としてはコンパクトシティ化を進めたいが、そのコストをすべて公的資金で担えるわけではないしね。

でね。

今、私たちはアラ還で、すでに「高齢者である」という自覚があり、自家用車を購入するという選択肢を早々に捨てている。海外ではバンバンと大型の車を乗り回していたのに、である。その理由はひとえに、今住んでいる場所が「駅至近で、買い物その他の生活に必要な施設がすべて徒歩圏内にある」からである。

つまり、私たちが今住んでいるような場所に人間が集まってくれば、それでコンパクトシティ化が完了するのである。

簡単やんけ。

いや、それが簡単ではない。

うちのエリアにも駅近エリアにいくつか新しいマンションが建設されたが、販売後すぐに完売になる。その理由は「需要に対しての供給が圧倒的に足りない」のである。そのために新築マンションの価格は、ジリジリと吊り上がっていく。それでも売れるからだ。

こうなってくると、年金で細々と生活している高齢者には、手も足も出ないのである。

地方都市の駅近のエリアには、まず商店街がある。そしてそこの多くはシャッター街になっている。地方での生活は車必須で、その土地の発展の過程で、車でのアクセスの良い国道沿いなどに大型店舗が集まってくるようになり、そこが新たな中心的商業エリアと化したからだ。駅前の商店街は多くの場合、自分たちの商圏を守るために大型店舗の出店を拒み、そのために人の流れを途絶えさせてしまったのだ。

人は減ったにも関わらず、駅前から伸びる商店群と、その周囲に並ぶ事務所用の建物がたくさん存在し続けている。物理的にそこに留まり続けているわけだ。が、中には使われていないフロアがたくさんある。今後そこにテナントが入る気配は一切ないのである。

そこで、ふと思いついたのが、事務所フロアの内装リノベをして、住宅に転用するトレンドが次に来るだろうなと思ったのである。

(じゃあ今のトレンドは何かと言うと、ちょっと前までは古民家DIYリノベ、今は高気密高断熱住宅とコンパクトハウスかな?)

まず、商店街の有効活用をしている事例を見てみよう。
ポツポツと閉じたシャッター店舗を活用して、ホテル転換した事例である。
まさに「商店街のど真ん中に住む」感覚である。

強調したいことは、店舗仕様(多くは二階以上にオーナーの自宅あり)の建物でも、ホテルライクな室内にリノベ可能であるということだ。

そして、かつて多くの日本の都市計画においては、商業エリアと居住エリアを分けた末に、都心部の空洞化が起こったのだが、それと同じ轍を踏まぬように、うまく都市計画を進め、成功している事例を偶然見つけた。

先日読んだ本の中で、香川県高松市にある長いアーケード商店街の奇跡の復活劇についての記述を見つけた。調べてみると、なかなか興味深いことが分かった。
この商店街の再開発のコンセプトに、「都心居住」「コンパクトシティ」があり、要するに「商店街の中にも住空間を確保して、観光のための街ではなく、住む人のためのコンパクトシティ化を実現」し、現時点で大成功を収めている。

そこに人が住んでいる限り、人の流れは途絶えない、人の流れがあり活気のある街は、若い家族を呼び、店舗も新陳代謝されていくことが予想される。

つまり、現時点での需要と供給、そしてそれにどれだけコストをかけられるかを考えてみると、

すでにある建造物を人が住めるようにリノベするしかない

のである。

商店街にある店舗を住宅仕様に転換するには、今現在そこに住んでいる人がいる限り難しいのであるが、駅近の商業ビルのフロアは、多くの場合「テナント募集中」である。

リモートワークも選択肢に入り、人口も減り、そもそも事務所ニーズなど今後も増えない、っていうか減る一方である。でも場所としては一等地にある

住めるなら、めちゃ良くない?

空室だらけの駅近ビルオーナーさん!
フロアを住宅用にリノベして、賃貸に出してください!!!

そして、高齢者との賃貸契約を渋らないで!
駅近に住むべきは、自動車を持たない高齢者の方だから!

さてさて、これが机上の空論ではないことを少しお話せねば。

我が家の4階は、過去に事務所フロアとしてテナントが入っていたのだが、そこをジムとリラクゼーションエリアとして改装(リノベ)したのだ。十分に人が住めるような仕様にしたため、今はなぜかそこに末っ子のバクが住み着いているのだが(汗)。

事務所と住宅で異なる部分は、上下水やガスなどを通すために床を上げる(床ふかし)が必要になるくらいで、あとは普通のマンションリノベとほぼ同じじゃないかなと思う。

逆に、すでにいろいろと住宅として使われている場合は、すべてを壊してスケルトンにして、再度部屋割りを作り直したりするのであるが、そもそも事務所エリアの場合は、そもそもスケルトン状態である。

床を高く設定すれば、排水の傾斜も取れるので、ある程度は自由に水回りの位置も設定できると思う。

ただし、事務所設定だと、貧弱な給湯器しかついていないことがあるので、給湯システムは見直す必要があるかもしれないし、換気用の通気孔の設定に制限があったりする可能性もあるので(コンクリートでも後から通気孔の穴を開けることは可能だが)、それぞれの建物特有の課題はあると思う。

それでも、今度テナントが入る可能性がほぼないのならば、住居に転用された賃貸物件は、内装によってはかなり魅力的に映るかもしれない。余力があれあ、インバウンド観光客向けのエアビーに転換するのも良いかも。運営管理コストがかかるが、賃貸に出すよりもリターンは大きいかも。

さてさて。

解体直前の商業ビルを住宅転用した例といえば、これを思い出す方も多いかと(若い方は知らないかしらん?)。

これを見ると、ちょっとは興味がわくかも。

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