キミのクレームは、もうどこにも届かない(汗)
少し前のことなのだが、カナメがある料亭に「大事な方との会食」の予約を入れたときのことだった。
実は前回、同じ場所での会食で、アルバイトと思われる女性スタッフの配膳がバタバタ過ぎて、同席した方からチクッと言われたらしい。お皿の向きも配膳順もテキトーで、「あ、このお皿そっちに回してもらっていいです?」などと、お客様を使うような状況だったらしい。
再度同じことがあってはならないと思ったカナメは、予約の電話口でチラと前回の婉曲なクレームと今回の要望を伝えたらしい。できればアルバイトの方ではなく、きちんと教育を受けた方にご担当いただきたいとかなんとか言っていた。
彼の口ぶりは、そんなにキツイものではなかったのだが、お店の方から「努力は致しますが、保証はできかねます」ということを言われたらしい。
「うっわあああああ、来た来た来た!人材難の波、ここまで来たーっ!!」
という感想しかなかったよ。
結果的には、男性の正社員と思われる方に完璧なお給仕をしていただので、今回は一件落着。もう感謝しかない。
でも、消費者側からの細かい要望には、もう応えられない時代が目前まで来ているなと思ったのだ。
「高いお金を払おうとも、そもそも対応できる人材はいない。そして優秀な人材は一朝一夕には育たない」
のである。
少し前までは、「人を動かすのには、それなりのコストを払わないといけない」と思っていたが、それをすっ飛ばして、すでに「コストを払っても、すでに人はいない」状況に、すでになりつつあるのだ。
こうなってくると、テクノロジーに頼る以外の選択肢はないのである。
「モノづくり」がお家芸だったかつての日本ならば、日本製のロボットが、ありとあらゆる分野で活躍する未来もあったはずなのに、と思わなくもない。
ちなみに、テクノロジーで解決する以外の方法としては、10年くらい前なら「移民を受け入れる」選択肢もあったかもしれない。が、バーゲンジャパンなうの状況で、労働報酬の少ない国に来てくれる人材なんざ、もう世界中どこを探してもいないのである。
移民として日本に住みたい外国人は、「サクッと(彼らにしてみれば)少額で法人を設立したり、投資するだけで、高額医療費使い放題で安全で清潔なニッポンに住めるw」という、いわゆるフリーライダー気質の人ばかりだろう。
そして「リタイア後の高齢者に来ていただくオプション」もすでにないのだ。すでに介護職の人材難はすごいことになっている。
ちなみに「介護施設」は余っている。大阪で何件もの介護福祉施設を見学したけれど、ウェイティングかけないと入れないような民間施設はほぼなかった。でも受け入れるための介護職の人材が全くもって足りていない。
これからの日本で生きていくには、「人を動かすコスト、人の時間をうばうコストについて理解することが必要」だと以前書いた。
が、それだけではなく、「クレームをつけても、そのクレームが通らない可能性があり、それに対して怒らないこと」も追加しておくよ。
お金を払ってもリクエストに応えてくれる保証すらない時代に、大したお金も落とさない不機嫌なシニアのクレームなど、聞いてももらえるはずはない。そして、おそらく電話も繋がらない。現地に乗り込んでも、すでに顔認証で出禁措置が取られてしまうかも。
人ではなく、システムに相手してもらうしかない。その方がお互いに幸せだよね。
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