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国立大学で社会保障や社会福祉について研究している学生です。とくに高齢者福祉が専門です。

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  • 介護・福祉ニュース

最近の記事

高齢者福祉の概観②

このnoteは、今後の高齢者福祉がどのような理念、思想のもと、誰によって、どのように行われるか、という問いに取り組むべく、これまでの日本における高齢者福祉についておおまかにまとめたものである。 前回は明治期以前から戦後1950年代の生活保護法までの時期についてまとめた。   明治以前は救貧者を家族や隣人が救済するという相互扶助が主たる救済であり、それは日本初の統制的な救貧制度である恤救規則や第一次大戦後の救護法においても変わらなかった。  一方で、明治期には現在の老人ホー

    • 高齢者福祉の概観①

      今後の高齢者福祉がどのような理念、思想のもと、誰によって、どのように行われるか、という問いに取り組むべく、まずはこれまでの日本における高齢者福祉についておおまかにまとめた。 本記事では、明治以前から1963年の老人福祉法制定前までをまとめたものになる。 明治以前日本は古代や中世において、児童、高齢者、障害者、傷病者などが貧困者として一般救貧施策の一部として救済されていた。救済の基本は家族や近親者による相互扶助、それがない場合は地域共同体による救済が義務付けられていた。

      • 2020/3/11~3/13のニュースまとめ

        名寄市の介護報酬不正1億2千万円 去年10月に明らかになった北海道名寄市の介護支援事業所が介護報酬を不正に受け取っていた問題で、市は監査の結果、不正額は1億2,000万円余りに上ると発表した。名寄社協居宅介護支援事業所は、去年9月までのおよそ5年間でケアマネージャーが高齢者の自宅に訪問したと偽るなどして、介護報酬を不正に受け取っていた。 2018年の介護事業所の指定取消・停止処分は153件  厚生労働省によると10日、2018年に何らかの問題があって自治体から指定の取り消し

        • 2020/3/7~3/10のニュースまとめ

          金沢の専門学校が昨年の2倍の介護福祉士を輩出 石川県金沢市にある、外国人の介護福祉士を養成するアリス学園が今春、20人の留学生を介護福祉士を輩出する。この数字は前年の2倍以上。アリス学園の介護福祉学科では、介護事業者側が留学生に対して2年分の学費約200万円を貸与する奨学金制度を実施している。4月の入学希望者には全国の約40法人、100施設から奨学金付き求人の申し出があった。 自動運転車いすの実験開始 筑波大学発スタートアップのピクシーダストテクノロジーズ(東京・千代田)が

        高齢者福祉の概観②

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          6本

        記事

          2020/3/4~3/6のニュースまとめ

          2019年の特殊詐欺、認知件数と被害額ともに減少 警察庁によると、2019年のオレオレ詐欺などの特殊詐欺の認知件数は1万6836件(前年比5.6%減)、被害額は301億5000万円(前年比21.3%減)だった。特に被害が多いのは65歳以上の女性で、全体の65.0%、オレオレ詐欺の84.3%ととなっている。  また、最近は警察や金融機関の職員を装ったキャッシュカード窃取が増えており、被害件数は3773件(前年比2.8倍)、被害額も約52億1200万円(前年比2.8倍)に達した。

          2020/3/4~3/6のニュースまとめ

          2020/3/1~3/3のニュースまとめ

          厚生労働省、新型コロナウイルス対策に関する新たな通知を発表 厚生労働省は2/28に、新型コロナウイルスの流行に伴う介護施設・事業所の運営基準の特例について解説する新たな通知を出した。通知のなかでは、居宅介護支援のサービス担当者会議や事業所の人員基準における柔軟な対応をするとした。 新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて アメリカの介護施設で新型コロナウイルスの感染者 アメリカの西部ワシントン州の高齢者介護施設で、2人が新型コ

          2020/3/1~3/3のニュースまとめ

          2020/02/27~2/29のニュースまとめ

          新型コロナウイルス対策として、厚労省が高齢者施設と医療機関の連携を要請  厚生労働省は27日、サービス付き高齢者向け住宅などに新型コロナウイルスへの対策についての通知を出した。そこで、医療機関などと連携し、利用者等に感染者が出た場合の対応について予め十分に検討することを要請した。  今回の通知は、主に医師や看護師の配置が運営基準で必須となっていない施設に対するもの。詳細は介護保険最新情報Vol.771で確認できる。また、デイサービスなどの介護施設に対する通知は介護保険最新情報

          2020/02/27~2/29のニュースまとめ

          2020/2/23~2/26のニュースまとめ

          2020/2/23(日)~2020/02/26(水)までの主な介護・福祉系ニュースです。 現役ヘルパーが国を提訴 2019年11月に現役の訪問介護員(通称ホームヘルパー)3名が、訪問介護の現場で労働基準法が守られていないことを訴え、国を相手に国家賠償訴訟を提起した。 原告はこの問題を事業所の責任ではなく、現行の介護保険制度の問題だと捉え、国を訴えている点が特徴。  第1回裁判は2020/1/20に東京地裁で行われており、第2回は2020/3/30を予定している。 介護施設

          2020/2/23~2/26のニュースまとめ

          第6回全世代型社会保障検討会議における櫻田氏の提言

          2020/2/19に首相官邸において全世代型社会保障検討会議が開かれた。その内容については以下にまとめた。 今回は、この会議に参加したSOMPOホールディングスグループCEOの櫻田謙悟氏の意見を提出資料をもとに紹介する。 櫻田氏提出資料 改革の考え方櫻田氏は全世代型社会保障の基本的な考え方として、以下を示した。 人生100年時代の到来を踏まえて、働き方改革を含め、「年金、労働、医療、介護などの改革をパッケージ」として行い、誰もが安心して暮らすことのできる全世代型社会保

          第6回全世代型社会保障検討会議における櫻田氏の提言

          2/19(水)第6回全世代型社会保障検討会議の概要

          2020/2/19(水)に第6回全世代型社会保障検討会議が行われた。 全世代型社会保障検討会議とは、少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討を行うための会議だ。 今回の論点今回の論点は、介護サービスの生産性向上について。具体的には以下の4点について議論がなされた。 1.介護サービスにおけるテクノロジーの活用 2.文書の簡素化、標準化、ICT化の活用 3.介護サービスの効果を正確に測定するためのビッグデータの整備 4.利用

          2/19(水)第6回全世代型社会保障検討会議の概要

          メモ:コンパクトシティとは

          専門外なのですが、先日コンパクトシティについての話をして全然知識がないことを痛感したので、簡易にまとめます。 1.コンパクトシティとはそもそもコンパクトシティとは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策を指す。 都市計画分野の研究者たちは以下のように定義している。 谷口守は、「都市活動(居住・業務他)の密度が高く、効率的な空間利用がなされた、自動車に依

          メモ:コンパクトシティとは