2/19(水)第6回全世代型社会保障検討会議の概要

2020/2/19(水)に第6回全世代型社会保障検討会議が行われた。

全世代型社会保障検討会議とは、少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討を行うための会議だ。

今回の論点

今回の論点は、介護サービスの生産性向上について。具体的には以下の4点について議論がなされた。

1.介護サービスにおけるテクノロジーの活用
2.文書の簡素化、標準化、ICT化の活用
3.介護サービスの効果を正確に測定するためのビッグデータの整備
4.利用者のニーズに沿った介護事業者の創意工夫を引き出す弾力的な取組の推進

1.介護サービスにおけるテクノロジーの活用

人手不足と高齢化に伴う需要の伸びに対応するためにテクノロジーを活用して質と生産性を向上すべきという議論がなされた。実際にテクノロジーを活用することで、平均2:1となっている入居者:職員の割合を2.8:1まで向上させた施設の事例も紹介された。

政府はこうした先行事例をもとにパッケージモデルを構築し、全国の施設に普及させていく方向性を示した。

また、エビデンスをもとに介護報酬や人員基準を見直す必要も示唆。人員基準に関しては、現行の制度では入居者:職員が3:1となっているが、先行事例のように生産性が向上すれば職員1人あたりの入居者数をより多くすることも可能になる。

会議に参加したSOMPOホールディングスグループの櫻田謙悟CEOからは4:1という提案もあった。

2.文書の簡素化、標準化、ICT化の活用

介護職員が行政に提出する文書については、記載項目や添付書類の多さや自治体ごとのローカルルールの存在が指摘され、これらが介護サービスの時間を奪っているとされた。

そのために
・簡素化(様式や添付書類、手続きの見直し)
・標準化(ローカルルールの解消)
・ICT化(ウェブ入力や電子申請)
をインセンティブ交付金も活用して推進していくとした。

3.介護サービスの効果を正確に測定するためのビッグデータの整備

現在の介護データベースの情報は不十分で適切なケアや効果測定ができない問題を指摘した。データを用いた正確な効果測定は介護報酬などの意志決定にも役立つので非常に重要。

そこで、介護分野のビッグデータの整備が必要で、そのために医療データとの連携を進めるべきとされた。

現在の介護・医療分野のデータベースは以下であり、これらの連携・連結が必要となる。

・介護データベース(介護レセプト、要介護認定情報)
・VISIT(リハビリの状況を記載したリハビリ計画書を収集するシステム)
・CHASE(リハビリ以外のケア内容や、高齢者の日常生活に関する動作の状況(ADL)等の記録を収集するシステム)
・医療データベース(NDB)(医療レセプト・特定健診)

4.利用者のニーズに沿った介護事業者の創意工夫を引き出す弾力的な取組の推進

現行の介護報酬は、介護事業者が利用者の自立支援に取り組むインセンティブとして機能していない問題がある。

2021年の介護報酬改定において、ADL維持等加算の拡充をはじめとした自立支援に取り組むインセンティブの強化はすでに議論されている。また、自立支援の効果が高い事業者にある市町村に国からインセンティブ交付金を付与するべきという指摘もあった。

介護サービスと保険サービスを組み合わせた混合介護を促進するという議論も行われた。事前説明や時間等のルールを2020年度中に明確化し、結論を出すことになった。

ただ、混合介護に関しては、経済的に余裕があって保険外のサービスを多く使う利用者ばかりが優先されるようになる、という批判や利用者以外の家族などの意向でサービスが左右されてしまう、との指摘もあるため、慎重な議論が必要になるだろう。


参考


簡易ですが、今後このようなニュースのようなこともやっていこうと思います。