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共同取材で語られた先駆企業の本音とは【世界難民の日アイデアソン2024 報告レポート③】

WELgeeでは「世界難民の日アイデアソン2024 本気で考える『ビジネスと人権』 〜 難民と出会い、新たな未来を創発する 〜」と題し、多様な業界・業種の企業・ビジネスリーダーと、難民人材がともに「ビジネスと人権」をテーマにアイデアを創出するアイデアソンを開催いたしました。

当日は1日がかりでダイバシティを体感!当日は難民人材と企業人でのディスカッションも白熱しました。計4回のレポートにわたって当日の様子についてお届けします。

レポート第3弾となる今回は共同取材。6月20日は国連が定めた「世界難民の日」です。1年に1度の世界難民の日は、普段社会からの光があたりずらい難民問題への関心が高まるタイミングでもあります。

WELgeeは、毎年の世界難民の日のイベントを開催し、日頃から難民問題に積極的に取り組まれている企業さまの声を、メディアを通じて日本社会に広く伝えるために、多様なメディア関係者を集めた「共同記者会見」を実施しております。
記者会見には6社のメディアの方々にご参加いただきました。登壇企業からは企業の難民活躍への熱い思いが語られました。

WELgeeが企業との協働を進める思いとは…?

共同取材のはじめにはWELgee代表理事の渡部カンコロンゴ清花より難民をとりまく背景や、今回のアイデアソンについてお話いたしました。

今世界では、1億2000万人の方々が母国を追われるという状態になっています。これは第二次世界大戦以降で一番多くの人数で、日本の人口ぐらいの人たちが今、故郷を逃れざるを得ないという状況です。

日本にたどり着く方々、難民の方々の数も増えて、その背景も多様化しているというのが最近感じる部分になっています。2018年に国連で「難民に関するグローバルコンパクト」が採択されました。これは国際的な枠組みで、その中でも重要な考え方が「Whole-of society approach」すなわち政府だけではなく、民間企業、非営利団体、市民社会、学術機関、メディアなど社会全体のあらゆるセクターが協力して問題解決に取り組むというものです。
WELgeeはそんな中で、キャリアという手段を通して日本にたどり着いた難民の方々の人生の再建を後押ししている非営利団体になります。そこでパートナーとして非常に重要になってくるのが、今日いらしてくださった、そして今回のイベントを開催するにあたっても、多くの応援をいただいた企業の皆さまになっています。

イスラエルとパレスチナを含む中東情勢や、ウクライナ情勢、人権問題が国際経済が大きな影響を与える時代となりました。ビジネスの潮流でも、気候変動アクションと並び重要アジェンダとして「ビジネスと人権」という概念が扱われるようになりつつあります。今回はビジネスと人権をテーマに、グローバルの社会課題の当事者でもある難民のパイオニアたちと、多種多様な次世代リーダーたちとともに、人権問題の解決に焦点を置いた新しいサービスを考えるアイデアソンを行います。

6月20日が国連が定めた世界難民の日になります。本日は、各業界のリーディングカンパニー28社から約100名のビジネスリーダー、そして難民の若者たちが11名参加をしています。これまでNGO、国連、弁護士など専門的だと思われがちだった難民の課題に対して、世界の企業と並ぶ先駆的な日本のパイオニア企業が、それぞれが強みを活かして、考え、動き始めているというところでもあります。今回は独自の取り組みとして難民問題の解決の一端を担われている皆さんにご登壇いただき、なんでこの課題に関心を寄せていただいているのか、具体的な取り組みなどをお話いただきます。

5社が、メディアの前で語った
企業が難民課題に取り組む意義とは…?

共同取材において、WELgeeとともにメッセージを伝えたいというお声をいただいた5社の代表、それぞれの目線から「なぜ、今、難民問題に着目するのか?」について生の声を語っていただいた後、質疑応答を行いました。
共同取材では、各社の代表の方よりコメントをいただきました。いただいたコメントを紹介いたします

◆ アクセンチュア株式会社  製造・流通本部 マネジングディレクター 奈良 綾子氏

私は普段、デジタル変革や事業変革を提案する仕事の傍らで、弊社のコーポレート・シチズンシップ(企業市民活動)活動の一環として、社員の社会貢献を促進するチームの統括もしております。弊社はグローバルに展開するコンサルティング会社で、「テクノロジーと人間の創意工夫でまだ見ぬ未来を実現する」というパーパスのもと、お客様への価値創造と同時に、社会課題を解決していくことをミッションに活動しております。
コーポレート・シチズンシップにおいては、コンサルティングの現場で培ったスキル・知見を社会課題解決に用いて、社会に貢献できればと活動を進めております。難民問題に対する弊社の取り組みについては、北米・中南米・ヨーロッパなど、難民が身近な存在になっていると言える国のオフィスでは長らく、比較的規模の大きな形で難民支援を行っております。具体的には、緊急支援だけでなく、就業支援や、企業と難民の方のマッチングなどです。日本においては、7~8年ほど前に有志社員の取り組みから、まずは難民と呼ばれる方々が置かれている状況や課題を知る、という事から活動を始めました。WELgeeさまとお付き合いが始まったのも7年ほど前になります。ソーシャルビジネスのピッチ大会において、弊社のボランティア社員がWELgeeさまとお会いして、そこから伴走支援をする形でお付き合いが始まっています。その流れの中で、WELgeeさまに登録されている、難民の背景をもつ方々で、お仕事を探す準備をされている方の履歴書のレビューや、面接準備の支援などといったボランティア活動をしたり、ワークショップを一緒に実施させていただいたりしました。ワークショップでは、難民の方が置かれている現状、課題がどういうものなのか、難民の背景を持った方々がどのような未来を描いているかなどを、弊社の社員と一緒に学ばせていただくような機会を作っていただいたこともあります。
WELgeeさまに限らず、複数のNPOの方と一緒に支援活動を行っておりますが、まずは「知る」という活動、難民の背景を持っている方がどういった課題を持たれているか、どういう生活をされているか、そのようなことをまず知ってみる機会を、弊社の中で設けております。弊社では、国籍や文化、性別、障がいの有無など、その他さまざまな違いを相互に尊重し合い、多様な人材のコラボレーションでより大きな価値を創造していくことを重視し、そのための職場環境を社内で、またお客様と共に創出しています。本日のアイデアソンでは、自国に帰ると命を落としかねない、という非常にクリティカルな状況に置かれた方々が、これまでに培った専門性やキャリアを活かしながら、専門スキルを持った人材として活躍する機会、また、職場・生活環境におけるダイバーシティを更に推進させる人材として活躍する機会の創出に向けて、コンサルティングの知見を活かして、積極的に携われることを嬉しく思っています。

◆ 株式会社オウルズコンサルティンググループ プリンシパル    矢守 亜夕美氏

弊社はサステナビリティや社会課題解決、また今回のテーマである「ビジネスと人権」といった領域に特に強みを持つコンサルティングファームです。
今、「人権」というテーマが企業経営にとって非常に大事になってきています。一昨年に経済産業省がガイドラインを出すなど、国内外でルールやガイドラインが次々と作られてきている所です。
一方で、ここで主眼になっているのはあくまで「守り」の対応です。自社のバリューチェーン上において人権のリスクを無くしていきましょう、人権侵害に関与しない企業でありましょうということは勿論非常に大事なんですが、今後は「取り組んで当然」の領域になってきます。「守り」を固めるだけで褒められるということは当然ないわけです。
そうした中で、以前から我々が提唱している「攻め」の人権対応、つまり「『守り』の対応に留まらず、自社の事業を通じて積極的に人権課題を解決していく取り組み」が同時に必要になってくるものと考えます。ビジネスセクター全体でこの動きを推進していくべきだという強い想いを持っております。その最先端の例が難民の雇用や就労支援であるという考えからWELgeeさんと長らくご一緒させていただいている次第です。
この「ビジネスと人権」というテーマについて、昨年辺りから国内の企業様からも問い合わせを多く頂くようになりました。「何かやらなきゃいけないということは分かっているけれど、何をしたらいいのかは全くまだ分からない」とか、「『守り』の最低限のところまでは着手しているけれども、そこからどう進んだらいいんだろう」という段階の企業が多くあります。こういった企業の方にも、ぜひ「攻め」の観点を持っていただく、その一つのアプローチとして難民雇用、就労支援ということをぜひ考えていただきたい。こうした呼びかけに今後も注力していきたいと思っております。
日本では、これまで多様性の議論と言うと得てしてジェンダー関連に偏りがちでした。ジェンダーの観点はもちろん大事ですが、「多様性」の意味というのはそれだけではないはずです。出自・背景・国籍などの観点からも考えていくべきですし、特に難民の方等、これまで注目されてこなかったけれども非常に才能・ポテンシャルがある方とどう一緒に働いていくか、これもやはり「多様性」の一つの重要な論点として、ぜひ日本企業には捉えていただきたい。そういった想いから、今回のイベント・ワークショップをご支援させていただいております。

◆ デロイト トーマツベンチャー サポート 株式会社 代表取締役社長 / 経済同友会共助資本主義実現委員会委員長 斎藤 祐馬氏

ちょうど1年ほど前に、経済同友会の活動で、「共助資本主義」が打ち出されました。これ端的に言うと、経済を伸ばしていくのと同時に社会課題をソーシャルセクターの方々と組んで解決しようとこの二つを両輪で回そうという考え方です。
この取り組みの中で様々な課題ある一つとして、難民問題をWELgeeとご一緒させていただくというのを1年ほど担当させていただいてます。
これまで何度か経済同友会の大企業の皆様向けに、勉強会等もご一緒させていただいたんですが、かなり企業としても、難民の方への関心が非常に高まってるなと感じています。毎回勉強会も多くの方にご参加いただいてまして、少しずつこの環境が受け入れていくところが変わってるなと感じているところです。

同友会に加えて、このデロイト ベンチャー サポートの中でも、様々な国の方を採用させていただいています。この中で難民の方にどんな方がいるとか、議論をさせていただくと、実際優秀な方すごく多いんですよね。こういった方々が日本だとなかなかうまく就職先を見つけづらいという環境です。スキルがきちんとマッチングするというところに加えて、やはり企業サイドも、そもそも英語だけでとか、日本語以外で働く環境を整えていくところがまだ弱いんだと思うんです。こういったところを経済同友会の会員の皆様も含めて一緒に進めていくことで、これからこの問題に対して経済側からも、解決に向かえたらと考えてるところです。我々の会社含めて、事例を一緒に作っていけたらと思っております。

◆ PERSOL Global Workforce株式会社 代表取締役社長 多田 盛弘氏

パーソルグループは“はたらくWell-being”創造カンパニーとして、人材派遣や人材紹介など、人と組織へ、はたらくに関わる様々なサービスを展開しております。その中で私が代表をしているPERSOL Global Workforceは、外国人材の派遣と紹介に特化し、外国人材の就業や日本での定着支援などをしております。外国人材に関わる業務が増えたということもありまして、難民とも非常に関わることも多く、WELgeeさんとは様々な取り組みで連携させていただいております。難民人材活躍プラットフォームにグループとして参加させていただいたり、先日も日本国内での難民の働き方をどうすれば良くできるかというディスカッションをさせていただいたり、世界難民の日に合わせてパソナグループの中での難民の理解を増やしていこうというイベントにもご協力いただいております。

パーソルグループとしては様々な難民支援の取り組みをしております。
いくつかご紹介させていただくと、パーソルクロステクノロジーというグループ会社にウクライナの学生へインターンシップをやっておりまして、その中でインターン・育成というかたちで、グループのアセットを使ってサポートをしております。また、PERSOL Global Workforceでは、JICAのJISR(シリア平和への架け橋・人材育成プログラム)でシリアの留学生の方の就職の伴走支援ということでプロボノを3名派遣しています。海外の方、大学院を出てとか優秀な方など、いろいろな難民の方もいらっしゃいますが、言葉の問題・文化の違い、日本の就業のプロセス、様々なところで困難にある中で私達のようなはたらくことに関わるサポートはいろいろあるんではないかと考えております。また、その他にも、昨年、JICAの研修員でアフガニスタンから来て、帰国困難になられた方へ日本での就業のためのセミナー・研修というのを私どもで実施しております。

私はこれまでのキャリアで紛争地などで難民に関わる仕事をしてきております。その中でやはり短期的な人道支援もとても重要ですが、自分の生計を立てる、働くというのが生活基盤のコアなところにある就業に関わる人材サービスのグループとしてできることはか数多くあるのではないかと思っておりまして、今やってることをさらに広げて、私たちができることを難民支援に繋げたいと思っております。

◆ シティコンピュータ株式会社 代表取締役社長 川原 雅友氏

私達の会社は会社のミッションとして「世界中の人々の雇用環境の創出を通じ、心物(しんぶつ)両面の豊かな社会の実現。」を目指しています。和歌山県が本社で国内約10拠点、東南アジア中心にフィリピンやバングラデシュなどに事務所をもっています。東南アジアに事務所があるので海外から日本で働きに来る外国人を自社で受け入れていたんですけども、その中で、「すごく面白い方がいるよ」というところで、WELgeeさんと出会いまして、一昨年前に1人採用しました。去年、無事にビザが下りて、今年、奥様と4年ぶりに、日本で合流できたそうです。
難民という言葉を聞くと私達とは関係ないんじゃないかと思われるところも多いと思うのですが、私の中で(難民ではない)海外の方と難民というのはほとんど変わりないと一定数と思っております。
日本はコンビニであっても、いろんな飲食店であっても、海外の方がありふれてると思うんです。それと同じように日本の企業の中でも、難民の方も含めて海外の方が企業で働くっていうのも私は、絶対に5年後10年後、当たり前になってくると思います。最初にそういった取り組みができるのは大きい企業様と思われるところもあるかもしれないのですが、別に私どものような中小企業であってもそういったことは実現可能だというのを、WELgeeさんを通して広めていきたいなと思っております。
最初から100点満点取っていくっていうことは、日本人の新卒を採用するにおいても、海外の方を採用するにおいても、なかなか難しいところあると思うんですが、やっていきながら、100点、100点以上を取っていくっていうのが必要かなと思います。こういったものを通して、私達の良かった点・課題点っていうのを共有し1社でも多くの学びになり、海外の方の就職に繋がって、「日本に住みたい。日本で良かった。」と思ってもらえるように進めていきたいなと思っております。


難民人材と一緒に働くことに興味がある方へ

WELgeeでは、難民人材に特化したキャリアコーディネーションサービス『WELgee Talents』で、「難民」あるいは「避難民」と呼ばれる人たちが、これまでに培ったスキルと経験、逆境の中でも道を切り拓き、挑戦を諦めない情熱や志を活かして、日本企業で活躍する採用事例を創り出しています。

■ 導入企業
ヤマハ発動機株式会社・シティコンピュータ株式会社・ベースフード株式会社・ネントリーズ株式会社など。

「難民の人たちと交流してみたい」
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「自社や知り合いの会社のニーズと照らし合わせてみたい」
  
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