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就労伴走事業部密着企画!〜クリスさん×ネントリーズ社 前編〜

"This Month's Feature 今月の特集"では月に1度、WELgeeの活動の最前線で何が起きているのかをお伝えしています。今回からは特別編!数ヶ月間にわたって就労伴走事業部に密着取材します。第一弾となる今回は、難民人材のマッチング事業JobCopassの概要と3月からネントリーズ株式会社でお試し雇用を開始するクリスさんの事例を紹介します。


JobCopassとは

日本に逃れてきた才能や可能性に溢れる難民の方々の育成、採用から定着までを一貫してサポートする事業です。現在は主に就労許可が与えられている「特定活動」の在留資格を持ち難民認定を申請している方々を対象としています。

JobCopassのフェーズは主に以下の4つに分かれます。

フェーズ1:難民・企業との出会い
様々な方からの紹介やインターネット等を通じてWELgeeを知ってくださる難民の方々、企業の方々と出会うところからJobCopassは始まります。WELgee自体やJobCopassについて説明するとともに、難民の方々からは現在の生活や在留資格の状況、過去の学歴や職務経験、また今後のキャリア形成に関する展望等について、企業の方々からは事業の課題や人材ニーズについてヒアリングを行います。

また、難民の方々にはWELgeeサロンへの登壇等を通してソフトスキルトレーニングを積んだり、Senpai Session等日本社会や日本での働き方等について理解を深める機会に参加したりして頂きます。履歴書の作成等もサポートします。

▲Senpai Sessionについてはこちらから。

フェーズ2:マッチング
難民の方々の資質や経験、希望職種、また企業の課題や人材ニーズ等を鑑み、マッチング可能性のある候補者の履歴書を企業と共有します。その後、候補者と企業の担当者が面談する機会を設けます。

フェーズ3:本採用
難民の方々と企業、双方の合意が得られた場合、契約を締結の上、正式に採用となります。また本採用の前に、候補者の能力や適性を試すためにインターンやアルバイトの形で数ヶ月間のお試し雇用を実施する場合もあります。

フェーズ4:就労後の定着サポート
就労後も難民の方々と企業双方に対して、定期的なフォローアップを行います。また、企業向けに異文化理解・協働に関するセミナーを実施したり、行政書士の協力のもと「特定活動」より安定した「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に切り替える手続きのサポートを行う場合もあります。

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▲JobCopass フローチャート

<数字で見るJobCopass(2021年3月現在)>
現在WELgee就労伴走事業部とつながりのある難民の方々は約30名。その内...
フェーズ1:約10名
フェーズ2:約5名
フェーズ3:約5名
フェーズ4:約10名

なぜ就労伴走事業なのか

難民申請者として来日された方々はほんとんどの場合、難民申請をした後6ヶ月ごとの在留資格である「特定活動」を更新しつつ、難民認定を待つだけが日本で暮らし続けるための方法でした。

しかし、現状として日本の難民認定率はおよそ0.3%。難民認定されなかった場合や在留資格の更新ができなかった場合、強制送還・入国管理センターに収容となるケースもあります。

難民認定を待ち続ける以外にできることはないのか。WELgeeが出会ってきた難民の方々は、その半数以上が大学・大学院を卒業されていたり、プログラマーや社会起業家、4ヶ国語話者、アスリートであられたりと、可能性に満ちた方々ばかりです。

「難民」としてではなく「人材」として、日本に移住するオルタナティブをJobCopassでは模索しています。ユニークな人材の宝庫である難民の方々が日本で就職することで法的な在留資格を得て、安心して生活を送れるようになること、そして共に日本社会を発展させていくことを目指しています。

続いて、以下にクリスさんとネントリーズ社の事例を紹介します!

フェーズ1:クリスさん、ネントリーズ株式会社との出会い

クリスさんは1994年生まれ、中部アフリカ出身の男性。エンジニアリングで学士号を取得し、約2年前に来日されました。通っていた日本語学校の方からWELgeeを紹介され、その後オフィス訪問や就労伴走事業部山本との対話を通して、WELgeeに興味を持ったそうです。

日本には難民と活動する団体が複数ある中、なぜWELgeeを選んだのか。クリスさんは、「WELgeeは”難民”を”難民”と捉えるのではなく、家族や友達のように接してくれる。日本に知り合いや家族がほとんどいない中でそれがとても嬉しい。」と話します。

「母国を離れた時に自分のプロジェクトや人生計画も置いてきてしまった。難民認定の可否が出るまで、今後の人生計画を構築するのは難しいと思っている。でも、自身が今まで勉強してきたエンジニアの仕事を通して、人に喜んでもらえる仕事をしたい。」その想いとともに、クリスさんはWELgeeと就職活動を続けて来られました。

▲クリスさんの人生経験や想いについてはこちらから。

対してネントリーズ株式会社は「世界中で働く人々の笑顔と未来を繋げよう」のビジョンのもと、中古商用車(トラック・バス・重機)の売買をメインとしたオンラインプラットフォームを運営している企業です。

WELgeeとの出会いはおよそ1年前。2018年以来WELgeeとコラボしているPR Times社の担当の方が日頃から周囲の知人にWELgeeの取り組みを紹介してくださっていたところ、そのうちの一人がネントリーズ社の宮田副社長とWELgeeを繋げてくださいました。

そして去年の夏頃に顔合わせを行い、WELgeeの活動やクリスさんのMeet refugee talentsの記事(上記)について話したところ、宮田副社長が「じゃあこの記事にある"クリスさん"と一度会ってみたいです。」と仰り、WELgeeとの協働が開始しました。

フェーズ2:クリスさん×ネントリーズ株式会社のマッチング

では、クリスさんとネントリーズ社はどのようにしてマッチングに至ったのでしょうか。担当の就労伴走事業部坂下に聞きました。

坂下「まずマッチングでは、三者(WELgee、企業、難民の方々)が、WELgeeのビジョン”自らの境遇にかかわらずともに未来を築ける社会を作る”を理解し、それに意欲的であることを前提としています。」

坂下「それを踏まえた上で2つの視点からマッチングを進めています。1つは人間性。前向きに日本での未来を築こうとしているか、WELgeeのビジョンを体現できるか等を難民の方々に求めています。そしてもう1つは会社が求めている職種と難民の方々の希望職種や経験が合致しているかどうかです。この2つが揃っていれば、例えば日本語力等、他の要件が揃っていない場合でも、一度マッチングを試みることもあります。」

クリスさんは穏やかで思いやりにあふれた方、また母国でのアプリ開発の経験等エンジニアとしての実績も豊富な方です。また、ネントリーズ社ではWebサービス開発の人材を求めていました。

そこで、WELgee×クリスさん、WELgee×ネントリーズ社の複数回のミーティングを行なった上で、クリスさんをネントリーズ社に紹介しました。そして三者でのミーティングを重ね、マッチングに至りました。

フェーズ2.5:いよいよお試し雇用!〜就労準備・就労前後の伴走〜

クリスさんは3月からフルタイムのアルバイトの形でネントリーズ社での仕事をスタートし、半年間エンジニアとして働かれます。

就業前準備として、WELgeeは雇用条件調整のサポートやメンタリングに加え、社会人基礎力シートでもクリスさんをサポートしています。

「社会人基礎力」とは
経済産業省が提唱している「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」。「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成される。(経済産業省HPより要約)

社会人基礎力シートは、日本のビジネスカルチャーに親しみの少ない難民の方々の日本におけるビジネススキル工場や、日本企業での採用・定着に向けて、WELgeeが導入した新たな取り組みです。「留職プログラム」を通じてWELgeeで勤務していた岩瀬さんが紹介、難民の方々向けにアップデートしてくださいました。

▲「留職プログラム」と岩瀬さんの経験や想いについてはこちらから。

社会人基礎力のそれぞれの能力要素について自己・他己分析を行い、それを発展、または改善するためには何をしたらよいか、難民の方々とWELgee就労伴走事業部で就業前・中・後に定期的に議論していきます。

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▲社会人基礎力シート インターナショナル・バージョン

この他にも、クリスさんやネントリーズ社との定例ミーティングも行います。日本語能力に起因したすれ違いや、難民の方側と企業側の常識のズレによるコミュニケーションの課題等について、第三者の視点から解決をサポートします。

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▲クリスさんと坂下、ネントリーズ社オフィス前にて。

そして、3月8日クリスさんはネントリーズ社に初出勤し、お試し雇用を開始しました!後半では、クリスさんの初出社の様子について、詳しくお伝えします!↓

参考文献
『令和元年における難民認定者数等について』(出入国在留管理庁、2019)http://www.moj.go.jp/isa/publications/press/nyuukokukanri03_00004.html

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WELgeeでは、難民人材に特化した伴走型人材紹介サービス『JobCopass』を通じて、クリスさんのように「難民」と呼ばれる人たちが、これまでに培ったスキルと経験、あふれる情熱や志、逆境の中でも道を切り拓き、挑戦を諦めないタフネスを活かして、日本の企業に貢献できる仕掛けをつくっています。

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